06 ケイタイからの命令送信
窓越しに、校内にある花壇を見ると竹部先生がじょうろを持ち、花に水をやっていた。こんなにもいい天気なので、さぞかし花に水をかけている行為が極めて気持ちが良いモノだろう。
白髪がかった竹部先生の頭に直射日光がモロに直撃していた。そして、眩しそうに目を細めて周りの景色を伺っていた。そして、上の方を見て不意に私の目と合った。
私は、恥ずかしくなりサッと素早く目をそらせた。
テストが返ってきた。52点だった。結構、自信あったのにチョット微妙な点数だ。
今回は、かなり徹夜で勉強したのにな~ぁガックリだ。
真衣は、今回は、あんまりテスト勉強してないって言っていたのに、私よりも点数が断然良かった。見てみれば80点内というまぁまぁの成績だ。
気がつけば、授業中ちょくちょく居眠りをしている。真衣は、一体どこで勉強しているのだろう・・・
謎だ?
まぁ、出来るヤツは、出来るんだよな。よく、お前日頃から勉強してないから頭が悪いんだよ。って言われるけど、人間って生まれつき、頭の良い人と悪い人って決まっていると思う。
だとしたら、それって、ものスゴク不公平に思えない?
例えばこの、問題解けない人は、放課後、居残りねって言われると頭の悪いヤツは毎回のように、居残りをくらってしまう。
そう考えると、その格差に何らかの疑問の念を持たずには、いられないのだ。私は、ケイタイを取り出し学校の裏サイトに文字を打った。〔体育の前の休み時間に決行。〕
「テメーいつも臭いんだよ!!だから洗ってやんよ。」
ルナの友達の真衣がそう言うとホースから出る水を静子の体全体にかけ、洗剤を頭に振ってブラシでこすり始めた。
「やめてよ。イヤだよ。許して。」
静子は抵抗したが真衣の友達の春菜と栄子がしっかりと両腕をつかんでいて離す事はできなかった。
「テメーが臭いから洗ってやったんだよ!!感謝しろよ!!」
そう言うとその3人は、トイレから去って行った。1人うずくまっている静子、髪には、少し泡立った洗剤がつき、着けている体育着は、上から下まで全部濡れている。そして、小さな声ですすり泣いていた。
「今日、鈴木は休みか?」
体育の先生の吉田がいつもの濁った口で言うと、真衣たちが、
「さぼりじゃない、さぼり。」
「どこかで風呂でも入ってるんじゃね。」
とふざけながら言っていた。私はと言うとクラスの優等生を気取りながら静かにその話を聞いていた。
私自ら手を下さなくてもイジメを実行できるのだ。