02 呪いの言葉
「ルナ一緒に帰ろう。」
「うん。」
真衣たちが誘って来たのでいつものように、そうする事にした。
学校を出て、商店街のスグ側のファーストフード店に行こうと、みずきが言ってきたので立ち寄る事にした。
「何がいい?」
「何がいいかな?」
「私は、テリヤキチキンバーガーにする。」
「じゃあ、私もそれにする。」
「私は、サンドイッチがいいな~~。」
4人で大きな窓のある席についてハンバーガーをほうばって、ありがちな女子のトークを皆でしていると急にみずきが「ねぇ見てみて、あの人ずっと、こっちを見てるよ。」と
言った、見てみると、明らかに、どこかで見たことがある顔だった。
・・・・あの男だ・・・・
「ずっとこっちを見ているんだけど、誰か知ってる人?」
真衣が目を極端に細めたので、私は知らないフリを全力でして、ほかの話題にすり替えようとしたけど、その男があまりにもこっちを見て来るので、
「なにあれ、気持ち悪い、警察呼んだ方がいいんじゃない。」
皆がアイツの異常さに段々と気が付き始めていた。すると、その男はじっと、こっちというか、明らかに私の方を見ながら向かい側の横断歩道へと歩いて行った。
「誰か本当に知っている人いるんじゃないの?どこかで見覚えあるとか。」
そうみずきが言ってきたので、私は、猛烈に拒否した。
今ここで私が、本当は、あの男は私の義理の兄だと言ったら皆に軽蔑されるだろう。あんな髪もヒゲもボサボサでホームレスのような男を・・
「なんかスゴク気持ち悪かったねぇ、今の人。」
「きしょくわる。」
私も自分も全く知らないよ、あんな人って言うくらいに暴言を吐いた。
「また明日ね。」と別れるとスグさま私は勢いよく走って家に帰り母の元に行って言った。
「お母さん!!あの男何なのよ!!あの男さっき私の所に来てじっと私のこと見てたのよ、異常よ!!あの男に私の近くに絶対来ないでって言っといて。」
「う~~ん。」
と母は、ずっと考えているフリをしているつもりだったのだろうけど。こっちには、見え見えだった。
目覚ましのジリジリと言う不快な音を三度聞いて、私は起きリビングへと向かった。すると、
テレビの前にあるソファーに、その男は横になって口を大きく開けよだれをたらし、眠っていた。その男がいるだけで、この場の雰囲気が気持ち悪くなり、周りが薄暗く感じられた。私は、母に聞こえないくらいの小さな声で、この男に学校で今流行っている、この言葉を唱えられると絶対に不幸になると言われている呪いの言葉を2回言った。でも、
まさに今のこの男の状況が不幸なので、意味ないなとも思った。すると・・・男は、寝言なのか、いきなり「あ”っーあ”っーあ”っー。」と言う何かに怯えているような、苦しい口調で言葉を数秒間発して更に、大きな声で「え”へーえ”へー。」
と言う声を出して、やがて静かに収まった。
呪いの言葉が効いたのか?さだかでは、ないが私は、この男が、この世からいなくなるのを願った。そして、父と弟が起きてきてリビングにあるイスに座って母の作った朝食を一緒に食べた。だけど、その男だけがソファーへと横たわって、何も息の根も立てずに死んでいるかのように眠っていた。