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黒い夢と白い夢Ⅵ ――漆黒の楽園――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第3章 白の招 ――水流都市ウォルタミアシティ――
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第7話 魔法を使うタイプのクローン兵だな

 【ステイラル州中部 水流都市ウォルタミアシティ】


 晴れ晴れとした空のステイラル州ウォルタミアシティ――

 その真っ青な空に現れたのは、黒色の軍艦。軍艦の艦隊から、次々と同色のガンシップが飛び出していく。機体の両翼にプロペラを付けた大型の戦闘ヘリ――ガンシップは、多くが市街地へと入っていく。


[この都市は、次世代統治機構ヒーラーズ政府の管理下に置かれることとなった]


 ガンシップの1機が、白色をしたコンクリートの地面に着陸する。機体後方の扉が開き、中からアサルトライフルを持った数十人のクローン兵が出ていく。


[ウォルタミア市民は、我々の指示に従い、速やかに避難して頂く。――臨時政府のパトラー=オイジュス、クラスタ=セルヴィタスの両名が、この都市にやってくるのも時間の問題。それはつまり、戦いが始まるのは、時間の問題ということだ]


 ガンシップから出てくるのは、クローン兵だけじゃない。黒色の低空浮遊戦車も出てくる。武器などの軍需物資を満載したガンシップもある。


[ヒーラーズ駆逐部隊及びヒーラーズ掃討部隊総員に告ぐ。パトラー=オイジュスとクラスタ=セルヴィタスの両名を見つけ次第、即刻射殺せよ! ――以上]


 低空浮遊戦車に乗ったクローン軍人が、コンクリートの地面に飛び降りる。側にいたヒーラーズ駆逐兵に小型マイクを渡す。


「お疲れっ、アーカイズ!」

「クリア、もう少し緊張感を持て。敵がその辺りにいるかも知れないんだぞ」

「ふふ、大丈夫。パトラーなんか数秒でやっつけるからねっ!」


 ……戦闘士アーカイズと召喚士クリアだ。立派な装甲服に身を包んだクローンが、戦闘士と名高いアーカイズだ。12、3歳ぐらいの女の子は、召喚士クリア。あれでも、七衛士の1人。

 そして、その後ろにいる大柄のクローン兵。全身を黒衣に包み、頭部もヘッド・アーマーを付けているアイツは、狂戦士ハンターZ型。クローン兵をベースにした生物兵器…… 人間としての意志はすでにないらしい。だが、それでも七衛士の1人だ。


「……行こう」


 私はクラスタと一緒に建物やガンシップの影に隠れながら、隙を見て移動していく。

 ヒーラーズ軍は駆逐部隊と掃討部隊の2兵団で、攻撃してきた。この2兵団の出現で、ステイラル州中部に位置する水流都市ウォルタミアシティは降伏。この都市は占拠されていた。

 経済都市エコノミアシティが政府首都グリードシティの南西に位置していたのに対し、ウォルタミアシティは、グリードシティの南東に位置していた。首都への距離は、どちらもそんなに変わらない。すでに占拠されてしまった分、今回の方が厄介かも知れない。

 ヒーラーズ軍による第二の攻撃。総兵力は36万人。前回の60万人に比べれば少ないが、それでも首都攻撃には十分かも知れない。なぜなら、ヒーラーズ駆逐兵とヒーラーズ掃討兵は、ヒーラーズ制圧兵・ヒーラーズ鎮圧兵よりも強いからだ。


「…………! お前たち、そこで何をしている!」

「ヒーラーズ政府の名の下において、お前たちを逮捕する!」


 建物の角を曲がったとき、とうとうヒーラーズ駆逐兵に見つかってしまった。相手は2人もいる。私たちは剣を抜き、戦闘態勢に入る。

 ヒーラーズ駆逐兵の1人がアサルトライフルで銃撃してくる。私は銃撃と共に空中に飛び上がり、彼女たちのすぐ近くまで迫る。勢いよく剣を振り、ヒーラーズ駆逐兵の1人を斬りつける。


「あぅっ!」


 眩しい太陽の光が照り付ける白色の地面に、真っ赤な血が飛び散る。だが、そのクローン兵は倒れなかった。後ろに飛び、素早く手を振る。その瞬間、炎の弾が現れ、私を目がけて飛んでくる。

 私は魔法発生装置を内蔵したハンド・グローブを振り、魔法シールドを張る。火炎弾は、私の身体に着弾し、火の粉と共に火柱を上げる。それでも、大きなダメージにはならなかった。シールドのおかげだ。

 私は手を振り、白い魔法弾を飛ばす。爆発と共に衝撃派を生む魔法弾だ。それは後ろへと飛んだヒーラーズ駆逐兵に向かって飛ぶ。爆発。ビリビリと大気が振動し、強い衝撃派が走る。そのヒーラーズ駆逐兵は勢いよく吹き飛ばされ、白い地面に横たわった。


「ソフィアの言った通り、魔法を使うタイプのクローン兵だな」


 もう1人のヒーラーズ駆逐兵を倒したクラスタが声をかけてくる。ここへ来る前にソフィアから聞いていた。ヒーラーズ駆逐兵とヒーラーズ掃討兵は魔法発生装置なしで魔法を使う、と。この点が私たち人間と少し違う点だ。

 だからこそ、36万の兵力で、国際政府の首都を攻撃するつもりなのだろう。彼女たちは1人1人が一般の人間に比べて明らかに強い。


「この強いクローン兵たちを率いるのが、更に強い戦闘士アーカイズ……」


 戦闘士の名を持つだけに、彼女は強い。剣闘士レーリアとどちらが強いだろうか? それに、アーカイズだけじゃない。召喚士クリアと狂戦士ハンターZ型までいる。この兵団が首都を攻撃しようとしている。危機的状況なのは、もしかしたら一週間前のエコノミアシティのとき以上かも知れない……

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