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黒い夢と白い夢Ⅵ ――漆黒の楽園――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第6章 黒の魔 ――ジェネラル・シップ前頭甲板――
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第21話 エデン見つけたら、殺しといてください

 【経済都市エコノミアシティ エコノミア防衛師団本部】


 あのジェネラル・シップの戦いから半月。私は経済都市エコノミアシティにいた。結局、エデンの暴挙も手伝って、ヒーラーズ強襲部隊とヒーラーズ精鋭部隊はみんな降伏してしまった。

 エデンの言った通り、クラスタは無事だった。重傷を負っていたが、ルビーとサファイア、ルベライトも生きていた。

 ただ、ルベライトの部下はほとんど死んでしまった。あのジェネラル・シップに搭乗していたクローン兵は、前頭エリア(A、B、C区画)にいた兵を中心に、300人以上が死んだ。たった一度の攻撃が、300人以上の命を奪った。

 ジャスパーも生きておらず、彼女の指揮官だったカルセドニーはその報告に泣いていた。フェールも右腕を失う重傷だ。


「ルベライト、入るよ」


 私はルベライトが治療を受けている部屋の扉を開ける。窓際に置かれたベッド。そこに彼女は寝ていた。身体の多くの部分を包帯で巻かれていた。あの攻撃で受けた傷の深さが一目で分かる。

 ルベライトは窓の外を見ていた。厚い雲に覆われた空をぼーっと眺めていた。


「……私の部下たちは、――」

「ルベライト……」

「――私の部下、B区画に配属してたんですよ。全員で240人いるんです。一個中隊の人数ですね。みんな、いい子ばかりなんです」


 エデンがあの攻撃をしたとき、ルベライトの部下の多くは、基幹エリアにいた。あの橋と階段が入り組んだエリアだ。――一番、被害の大きかった場所……

 ルベライトの部下はほとんど死んだ。ゾイサイトも、クラスタが殴り飛ばしたときは生きていたらしいケド、あの衝撃で飛んできた瓦礫に頭を潰されて死んでしまった。


「私の部下にジェダイト准将ってのがいましてね、あの子とはよく一緒にご飯食べたりしてたんです。シュークリームが好きですから、もしよかったら買って来てあげてください」


 ほぼ無表情でルベライトは話し続ける。ただ、その眼には涙が溜まっていた。ジェダイト准将は……生きていない。彼女も死んでしまった。

 私は拳を握り、その場から立ち去ろうとする。“ある報告”に来たが、伝えない方がいいだろう。そう思った。だが、――


「――近いうちに、ダーク・サンクチュアリに行くそうですね」

「…………!」


 知っていたのか…… それは、私が報告しようと思っていたことだった。もうすぐ、ダーク・サンクチュアリに行く、という報告……



「エデン見つけたら、――」


 ルベライトの声に、私は後ろを振り返る。


「――殺しといてください」


 彼女は、壊れたかのような笑みを浮かべながら言った。目線は、下をずっと向いている。一筋の涙が、頬を伝っていた。

 私は目に涙を浮かべながら出ていく。アーカイズが言っていた“自分以外、誰の血も流させない”というルベライトの信条。クラスタからも聞いていた。敵の血さえも流させない。それが、“エデン見つけたら、殺しといてください”……

 あのジェネラル・シップでの出来事は、完全にルベライトの信条を――心を壊してしまっていた。彼女のことが心配だ――

































































 ……その夜、ルベライトは部屋で首を吊って、自殺した――



















































































◆◇◆




















































































 【ダーク・サンクチュアリ 闇の間】


 私はイスに座り、自分の剣を腰に戻す。目の前にいるのは、剣闘士レーリアと戦闘士アーカイズだ。ジェネラル・シップ破壊の件で、また文句を言いに来たらしい。


「エデン、ジェネラル・シップの件はやりすぎだ」

「親衛士と呼べ。戦闘バカ」

「このことをセネイシア卿が知ったら、どんな気持ちになるか、お前は考えなかったのか!? そのことさえも考えれないで親衛士だと!?」


 レーリアが私の胸ぐらを掴む。私はそっと彼女の手をどかせる。


「そんなに文句があるなら、2人がかりで私にかかってくるがいい。相手してやる」


 私は笑みを浮かべながら言う。どうせ、この2人が勝てるハズがない。まぁ、退屈しのぎにはなるだろうが。


「クッ……!」


 レーリアが剣を抜こうとする。彼女はだいぶ、私に対して恨みを抱いているらしいな。だが、それをアーカイズが止める。余計なことを…… まぁ、今はいい。“どうせあと数日の辛抱”。


「こんなヤツが七衛士じゃ、そりゃソフィアやクリア、その他大勢のクローン兵も去っていくだろうな」


 レーリアは剣を戻しながら言う。


「フフフ、第一次討伐の責任逃れか? ヒーラーズ制圧部隊管理官さんよ」


 再びレーリアは剣に手をかける。鬼のような形相で私を睨んでくる。おお、怖いな。フフフ、実際には1分もあれば始末できるがな。


「……パトラーが近いうちにこの城にやってくる。しっかりと歓迎するといい……」


 私は、まだ何か言いたそうな顔をしているレーリアを無視し、奥の部屋へと引っ込む。

 そういえば、ジェネラル・シップの件を話したら、私の管理するヒーラーズ防衛部隊の兵が全員、夜逃げしたな。困ったものだ。残ったのはセネイシア直属のヒーラーズ親衛部隊の兵士だけか。まぁ、邪魔なゴミがいなくなってよかったか……

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