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黒い夢と白い夢Ⅵ ――漆黒の楽園――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第6章 黒の魔 ――ジェネラル・シップ前頭甲板――
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第20話 ジェネラル・シップでも潰していくか

 私たちの前に現れた親衛士エデン。彼女はゆっくりと立ち上がる。大勢のクローン兵、ゾイサイト、ジャスパー、フェール。戦い続けで、もう体力は限界に近かった。今でさえも、立ってるのが精一杯だ。

 それにエデンはヒーラーズ最強のクローンと言われている。ソフィアも、“親衛士エデンと戦うなら、一個大隊(960名)の精鋭兵が必要”とまで言っていた。


「フフフ、どうした? セネイシアに次ぐヒーラーズ軍のナンバー2がここにいるのだぞ? 捕まえなくていいのか?」

「クッ…… 私たちが、どんな状況か分かっているくせに……!」


 エデンは私たちに向かって歩いてくる。ここで何を言っても、どうにかなるワケでもないか。私は覚悟を決め、震える手で剣を手に取る。


「うわあああああッ!」


 私は叫びながら、剣の先端をエデンに向け、力の限り走る。例え、相打ちでもエデンを倒せば、ヒーラーズは大きな損失になる。逆に、ここでエデンを倒せなければ、私たちはみんな殺される。そのまま、この艦隊を率いて、首都を攻撃されかねない。


「愚か――」


 エデンは振り下ろす私の剣を、黒い雲状のエネルギーに覆われた手で、受け止める。剣はピクリとも動かない。親衛士は無理やり剣を引っ張り、私の身体のバランスを崩す。エデンに向かって倒れそうになる。

 だが、彼女は黒いエネルギーに包まれた拳で私の腹部を殴りつける。そんなに強い力じゃないのに、骨が砕かれたかのような激痛が走る。

 私はそのまま宙に打ち上げられ、黒色のエネルギーを纏う脚で床に叩き落される。床に大きくヒビが入る。口から血が飛ぶ。意識が朦朧もうろうとする。今、自分がどんな状況なのか、理解することができなかった。


「なんだ、それだけしか戦えないのか?」


 つまらなそうな表情で、全く息の乱れていないエデンは言う。

 なんて強さだ……! あの様子じゃ、まだまだ本気を出していない。ほんのお遊び程度なんだろう。これじゃ万全の状態でもどこまで戦えるか。


「さぁ、次は誰だ!? 死にたいヤツからかかって来い!」


 七衛士のリーダー、というモノで彼女を捉えるのはやめた方がいいかも知れない。彼女を除く七衛士と一般幹部が全員でかかっても、勝てるかどうか怪しい。


「なんだ、誰もいないのか!?」


 ソフィアの言う通り、960人の精鋭を集めて、初めて“戦い”になるのかも知れない。少なくとも、数人で何とかなる次元をはるかに超えている。


「……そうか、なら――」


 エデンがニヤリと笑う。何を……!?


「――このジェネラル・シップでも潰していくか」


 ……は?

 私は、エデンが何を言っているのか、一瞬理解できなかった。この大型飛空艇を潰す? つまり、それは、何か大型の兵器かなんかを使って破壊するという意味か?

 エデンが宙に向かって大きくジャンプする。彼女の右腕に黒いエネルギーが集まっていく。さっきよりも遥かに量が多い。


「やめてっ、やめてくださいッ、親衛士!」

「ハハハハッ!」


 黒いエネルギーを纏ったエデンの右拳が、ジェネラル・シップ前頭甲板の床に付いた。彼女がジェネラル・シップを破壊? あり得ない―― それが、私が最後に思ったことだった。












































































































































「…………っ?」


 私は揺れ動く意識の中、ゆっくりと立ち上がる。頭を振りながら目を開ければ、そこには信じられない光景が広がっていた。


「な、なんだ、これ……?」


 私がいたのは、ジェネラル・シップ前頭甲板ではなかった。前頭甲板の付近に位置する廊下だった。窓ガラスは全て砕け、薄暗い空から風が吹き込んでいる。警報が鳴り響いてる。なんとなく、床が傾いている。

 そして、窓とは逆の方向。そこが信じられない状態だった。壁がほとんど崩れ落ち、隣のエリアが完全に見えてしまっている。部屋や別の廊下。そして私たちが通ってきた基幹エリア。橋や階段はほとんど崩れ、下でクローン兵の死体と一緒に山積みになっている。


「…………」


 私は身体から血の気が引いていくのが分かった。と同時に、その場に座り込んでしまう。立つ気力が湧かない。


「これが私の力だ」


 茫然とする私に、エデンが話しかけてくる。すぐ近くにいたのか。私は答えることさえ出来なかった。ただただ、瓦礫の山と、クローン兵の死体を見ていた。

 ソフィアはウソついた。エデンと戦うのに、一個大隊だけで戦いになるワケがない。彼女とまともな戦いをするなら、最低でも一個師団(6万1440人)の精鋭は必要だ……


「今ので、ジェネラル・シップは半壊状態だ。まぁ、墜落はしないだろうが、もう使い物にならないな」

「クラスタは……?」

「ああ、まだ生きてる。お前の仲間は頑丈だな」

「…………」


 ルビーは? サファイアは? ルベライトは? ルベライトの部下は? ジャスパーやフェールは? なぜクローン兵たちまで殺した? ここまでする必要は?

 他にも、聞きたいことはたくさんあった。発したい言葉がたくさんあった。だが、どれ1つとして、自分の口から出ることはなかった。

 エデンは空間を歪ませ、ワープホールを作り出す。エコノミアシティのときと同じものだ。ダーク・サンクチュアリに通じているのだろうか……?


「フフフ、ダーク・サンクチュアリで待ってるぞ。まぁ、来なければ、私から首都に行くまでだが――」


 そう言い残し、青色の服をひるがえしてエデンは消えていく。ダーク・サンクチュアリ…… 私が行ってどうするんだ? あのエデンと戦うのか? でも、行かなければ、エデン自身が首都に来る。彼女が首都で暴れたら……


「首都がエデンに破壊される……」

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