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I  作者: あると
8/10

はたらきアリ

階段の途中で蟻が荷物を運んでいた。

「よう、暑いな!」

真っ黒の身体を太陽に晒して、自分よりも大きな昆虫の死骸を引きずっている。地面の熱さと真夏の光に挟まれて、今にも干からびてしまいそうだ。

俺も乾ききる一歩手前だ。早く車に戻ってスポーツドリンクを飲みたい。

その前に、この荷物を運ぼう。車が入れない階段と細い道の先へのお届け物だ。重たい荷物を肩に担ぎなおして階段を踏み越えた。

「お互い、頑張ろう」

お前は巣に、俺は届け先に、大事な物を持っていくのが仕事だからな。仲間の喜ぶ顔やお客様の笑顔を見るために、汗水流して働こうぜ。

「終わった!」

最後の荷物を届けた後の達成感は半端じゃない。熱い陽射しもこの時ばかりは気持ちよく感じる。喉を通る水の旨さは格別だ。

「お父さん、お帰りなさい!」

「ただいまっと」

「あなた、おかえり」

子供と妻の笑顔を見て疲れが吹っ飛んだ。

この時ばかりは自分が届け物になった気になる。家族が俺の帰りを喜んでくれるなんて、こんな嬉しいことはない。

給料を運んでいるからだって、嫌みな先輩は言うけれど、そんなのあたりまえだろ? 大切な家族と暮らすためには、どうしても必要な物はあるじゃないか。それが給料ってだけだ。

「お父さん、聞いて聞いて」

「お話は後にしなさい。お父さん、疲れているのよ」

「いいって、どうしたんだ」

「あのね、今日学校でね」

それ以上に、俺は家族から大事なものをもらっている。

幸せってやつだ。

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