表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

雨はキライ

 

 冷たい雨の雫が忙しなく窓を叩き、時折外に閃光が走り雷鳴が轟く。

 それが“一人”でいる事の不安を煽る。

 《……今日は仕事で遅いのかなぁ……》

 いつもならとっくにご飯を食べている時間。それなのに帰って来る気配も感じられない。

 今日は朝から土砂降り。だから電車が遅れているのか、それとも止まってしまったのか。

 理由なんてどうでもいい。

 早く帰って来てほしい気持ちで苛立ちが爆発しそうになる。

 《……寂しくてたまらないよぉ。言われた通り、おとなしく待ってるよ。だから早く帰って来て抱っこしてよ!》

 我慢し切れなくなり、ドアに向かうとおもむろに爪を立てて引っ掻きはじめる。

 《遅い! 遅い! 遅い! 遅すぎるよ!》

 苛立ちは頂点に達し“両手”でドアを激しく引っ掻く。

 ドアの下辺は削れ、木片が床にこぼれる。傷つけたので後で怒られるかもしれない。

 一瞬、怒った顔が浮かんできたが何かしていないと泣きそうになる。だから、頭ではわかっていてもドアに爪を立てて削り続けた。

 ……しばらくの間ドアに八つ当たりしたものの、疲れたので居間に戻りクッションの上に寝そべる。

 ――雨は激しく降り注いでいた。しかも風も強いし雷も鳴っている。どこかで雨宿りしているのかな?

 《……外は冷たい雨が降ってる。寒いし雷が鳴ってて怖くて帰れなくなってたりして……》

 そう思うと心配になり再び不安な気持ちになる。

 いつもならそこまで気が回らない。でも、今夜は雨も風も強いし雷も鳴っている。


 ……寂しくてたまらない。早く帰って来て……。


 ――気がつけばグッスリ眠っていた。起きるとベッドで安らかな寝息を立てている主人の姿があった。

 《……もう! 心配してたのに幸せそうに寝ちゃって! 帰って来たなら起こしてくれたっていいじゃない!》

 こんなに心配してたのに。気づいてくれない主人に腹が立った。でも、何事も無く帰って来てくれて嬉しい。

 不意に風が窓を叩いた。そして雨音も大きくなる。

 《……そうよ、すべては雨のせいよ! 雨が降ったから帰りが遅くなるのよ!》

 この天気がすべて悪い。そう決めつけると安心したのか、なんだか眠くなってきた。

 ベッドに上がり毛布に潜り込むと主人の胸の上に登る。その暖かな温もりを感じると静かに目を閉じた。

 今宵は夢の中で甘えよう……。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ