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寂しい。[異世界]

※この話はフィクションであり、実在する人物、組織、団体等全てとは一切関係ありません。

 またこの作品内での規則、法規等も実際のものに則したものではありません。

 暴力表現・同性愛などございますので苦手な方、R15作品で年齢満たない方の閲覧は一切ご遠慮ください。


 夜に広場に来きてみたら、


「何してるの?」

「ん?」


 空をな。

 と、夜空を見上げてたシキが俺を見て苦笑した。



     ― 寂しい。 ―



「夜にうろつくなと言ったはずだ」

「いいじゃん別。見回りしてるアンタが今ここにいるんだし」

「……」


 そう言って俺は何かあるのかと、つられて見上げてみるが、これと言って目に止まるものはない。


「何かあるの?」

「……星を眺めていた」

「星?」


 コイツ、ロマンチストで、乙女みたいなところあるからな……。

 そう思いながら、自分よりも遥かに高いというか、デカイ男を見上げる。

 男の俺から見ても、見惚れるほど凛々しい姿を。


「あぁ、あの星々は、どこから来るのかと不思議に思う」


 そう呟くとシキはまた空を見上げた。

 いつもの俺なら「そうだねぇ」と、適当に受け流すところだけど、


「星って……太陽と同じなんだ」

「太陽と?」


 俺は自然と言葉を口にしていた。


「自分で光を発して、遥か彼方の星達にその光を送ってるんだ」

「ほぅ……」

「でも俺達が見る頃には、その星は存在しない事もある」

「何故だ?」

「うーん……、光が届くまでに凄い時間がかかるから俺達の一生なんて一瞬なくらい。だからその間に母体の星は消えちゃってる……なんかよく解らなくなった」


 この世界ではどうか知らないけどね。

 と、俺はまたシキを見上げると、


「……」

「どうした?」


 綺麗な瞳が俺を見下ろしていたもんだから思わず見入ってしまった。


「……寂しいな」

「え?」


 何が?と首を傾げると、


「確かにそこには見えるのに今はもうないなんてな」


 寂しそうに呟くその表情に、胸が締め付けられる。


「……そうだね」


 そう言うだけで精一杯の俺。

 すると、頬に何かが触れて来た。


「え?」

「お前は、ここにいるな」

「あ、当たり前だろッ!」


 優しく温かな手を頬に感じながら、そう言うだけで精一杯の俺は、


「アキ……」

「し、き?」


 明日自分の世界へ帰る事を、


「お前には、消えて欲しくない……」

「……っ」


 大切なお前に告げれなかった。



end


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