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第63章 死の教室



「死体?」ルーンは眉をひそめた。


「魔法を学ぶには、まず何を学ぶべきだと思う?」ヴィラは直接答えず、逆に尋ねた。


「瞑想?精神の海を感知すること?」


「それは基礎に過ぎない」ヴィラは身をかがめ、手で土を掘り始めた。「本当の基礎は、自分自身の体を理解することよ」


彼女は顔も上げずに続けた。「魔力の流動経路は、人体の血液循環系、リンパ系と密接な関係がある。魔力は精神の海から生まれ、特定の経路を通って体内を循環する。これらの経路は、あなたの血管、神経に沿って分布している。もし人体の構造を理解せず、血液がどう流れ、神経がどう分布しているかを知らなければ、魔力の運行を真に掌握することは永遠にできない」


ルーンは彼女が土を掘る動作を見て、不吉な予感が胸に湧き上がった。


「待って、まさか――」


「死体を掘り出すのよ」ヴィラはさらりと言った。「何、生きた人間を解剖しろとでも思った?」


ルーンは沈黙した。


前世では成人で、色々と見てきたが、死体を掘り出すなんてことは……


「怖がらないで」ヴィラは土を掘り続けた。「死人が一番怖くないのよ。彼らは抵抗しない、叫ばない、血も流さない……まあ、新鮮なのは血が出るけど、今日掘り出すのは半年前に埋められたものだから、大丈夫でしょう」


ルーンは深呼吸をした。


魔法を学びたいなら、代償を払わなければならない。それに、これはただの死体だ。前世の医学部でも、人体解剖の授業があったではないか。


彼はこう自分を慰めた。


しかしヴィラが本当にその死体を土の中から掘り出したとき、ルーンは思わず一歩後ずさった。


それは高度に腐敗した死体だった。皮膚はすでに灰緑色に変わり、風船のように膨れ上がり、言葉では表現しがたい悪臭を放っていた。


ルーンは鼻を押さえた。


「慣れなさい」ヴィラはローブの中から布を取り出し、ルーンに渡した。「臭いのは分かるわ。でも慣れるしかない」


ルーンは布を受け取り、しっかりと顔に当てた。それでも、あの悪臭は布地を通り抜けて鼻腔に入り込み、胃がむかむかし始めた。


「こっちに来て。教えるから」


ルーンは意を決して近づいた。


ヴィラはすでにローブから道具一式を取り出していた――解剖刀、ピンセット、小さなノコギリ。彼女の動作は熟練していて、明らかに初めてではなかった。


「まず、胸腔を開く」


解剖刀が腐敗した皮膚を切り開き、下の肋骨を露出させた。そしてノコギリの音が響く。刺すような単調な音。


ルーンは視線をそらさないよう自分に強いた。


胸腔が開かれた。中の臓器はすでに高度に腐敗しており、どれがどれだか分からない。


「この死体は保存状態が良くないわね」ヴィラは眉をひそめた。「組織が液化してしまっている。でも、骨格構造ならまだはっきり見える」


彼女は説明を始めた。「ここを見て、これが肋骨。人体には十二対の肋骨があり、前の十対は胸骨に接続し、後ろの二対は浮遊肋……ここが胸骨で、肋骨と鎖骨を繋いでいる……この位置、生前は心臓だったはず。心臓は胸腔の中央やや左にあり、大きさはだいたいあなたの拳くらい……」


ヴィラは詳細に説明し、悪臭や恐ろしい光景を全く意に介さなかった。彼女の蒼白い指は器用に死体の各部位を指し示し、まるで解剖図を説明しているかのようだった。


ルーンは必死に集中し、彼女の言う一言一句を頭に刻み込んだ。


これが死体だと思わず、解剖模型だと思えば、心理的なプレッシャーはずっと小さくなる。


「魔力は人体内で、主に三つの幹線に沿って流動する」ヴィラは続けた。「第一は、精神の海から心臓へ、これが魔力の核心循環。第二は、心臓から両手へ、これが術者が最もよく使う経路。第三は、心臓から丹田へ、これが魔力の貯蔵庫」


彼女は解剖刀で死体の上を示しながら言った。「この三つの幹線は、すべて人体の大動脈と大静脈に沿って分布している。だから、血液循環系を理解することが、魔力循環を理解する第一歩なの」


ルーンは真剣に聞き、脳内で人体の魔力循環の三次元モデルを構築し始めた。


ヴィラは解剖を続け、胸腔から腹腔へ、内臓から骨格へ、一つ一つ丁寧に説明していった。


夜のとばりが完全に降りた。ヴィラが軽く手を振ると、幾つかの青白い光が空中に浮かび上がり、この墓地を照らし出した。


ルーンは死体の傍らにしゃがみ込み、額には細かい汗が浮かんでいた。暑いからではなく、吐き気のせいだった。


彼の胃はずっとむかついており、喉には酸っぱいものがこみ上げてきた。しかし彼は歯を食いしばって耐えた。


もし今吐いたら、ヴィラに笑われる。それに、自分にはできないと認めたくなかった。


「さて、今日の授業はここまで」ヴィラはようやく立ち上がり、まだしゃがんでいるルーンを見た。「どう?まだ持ちこたえられる?」


「僕は――」ルーンが話そうとした瞬間、胃に激しい痙攣を感じた。


もう我慢できなかった。彼は墓地の端へ駆け出し、うわっと吐き出した。


夕食で食べたものすべてを吐き出し、胃が空っぽになっても、まだ空嘔吐を続けた。


ヴィラは傍らに立ち、彼を見つめていた。血のように赤い瞳に、かすかな優しさが浮かんだ。


「吐きなさい。初めてはみんな吐くものよ」


「僕は……僕は耐えられると思ってた……」ルーンは息を切らしながら言った。


「十分よくやったわ」ヴィラが言った。「ほとんどの魔法学徒は、初めての解剖授業で、死体を見ただけで泣いて逃げ出す。あなたは少なくとも最後まで持ちこたえた」


ルーンは袖で口を拭い、苦笑して言った。「これって褒め言葉?」


「そうよ、しかもかなり高い評価」


彼女は近づいてきて、ルーンの肩を軽く叩いた――その手は氷のように冷たかった。


「今日はここまで。帰ってゆっくり休みなさい。明日同じ時間に、また続きをやるから」


「続き?」ルーンは呆然とした。「また……死体を掘り出すの?」


「当然よ」ヴィラは当たり前のように言った。「一体の死体で足りるわけないでしょう。人体の構造を真に理解するには、最低でも十体の死体を解剖する必要がある。それに、今日のは腐敗しすぎていて、細かいところがよく見えなかった。明日はもっと新鮮なのを探してくるわ」


ルーンは「新鮮な死体」という言葉を聞いて、また胃がむかついた。


「あの……そんなに新鮮じゃなくても……」彼は弱々しく尋ねた。


「だめよ。腐敗しすぎていると構造が見えないし、新鮮すぎると……」ヴィラは間を置いた。「まあ、確かにかなり気持ち悪いわね。中程度のを探すわ」


彼女は微笑み、身を翻してその死体を処理し始め、穴に埋め戻した。その動作の熟練ぶりには背筋が寒くなる。


ルーンは傍らに立ち、墓地に降り注ぐ月光を見つめた。


月が昇ってきた。冷たく清らかな光が、この死に満ちた土地に降り注いでいる。


彼はふと前世で病院実習をしていた時、初めて霊安室に入った時の光景を思い出した。あの時も吐いた。しかしその後、徐々に慣れていった。人間の適応能力は強いものだ、死に対してさえも。


「さあ、送っていくわ」ヴィラが言った。


二人は墓地を出た。月光が彼らの影を長く伸ばしていた。


蒼白い吸血鬼と、青ざめた顔の人間の学徒。


奇妙な組み合わせ。


暗黒の学習の道。


しかしルーンはすでに覚悟を決めていた。どんなに気持ち悪くても、どんなに恐ろしくても、彼は歩み続ける。


---


「そういえば」しばらく歩いた後、ヴィラが突然口を開いた。「昼間は何をしているの?」


「物語を書いている」ルーンは簡潔に答えた。


「あら?どんな物語?」


「海賊と冒険の物語」


ヴィラは眉を上げた。「物語を書いて金を稼ぐつもり?」


「そうだ」


「面白いわね」ヴィラは笑った。「暗黒の死霊魔法を学びながら、熱血の冒険物語を書く。あなたって本当に矛盾した人ね」


「人間はもともと矛盾の集合体だ」ルーンが言った。


ヴィラは彼を一瞥したが、それ以上何も言わなかった。


夜風が吹き抜け、遠くの教会の鐘の音を運んできた。


パリの夜は、依然として喧騒に満ちていた。


しかしこの喧騒の下、この光の外側で、ある人々が闇の中を歩み、常人には理解できない知識を学んでいる。


ルーンはその一人だった。


---


その後の日々は、奇妙な規則性を帯びていった。


昼間、ルーンはセラフィンの屋根裏部屋で物語の展開を考え、『海洋之王』の世界観とキャラクター設定を完成させた。


夜になると、墓地へ行き、ヴィラについて人体解剖を学んだ。


二体目の死体でも、彼は吐いた。


三体目の死体では、空嘔吐するだけだった。


四体目の死体からは、もう吐かなくなった。


七体目の死体の頃には、ルーンはもう自分で解剖できるようになっていた。


ヴィラは傍らに立ち、彼が熟練した手つきで皮膚を切り開き、筋肉を分離し、骨格と血管を露出させるのを見ていた。


「覚えが早いわね」彼女が言った。


「動機があるから」ルーンは顔も上げずに答え、手の解剖刀は安定して死体の胸骨を切り進めた。


「どんな動機?」


「生き延びるための動機」


ヴィラはしばし沈黙し、それから言った。「何を恐れているの?」


ルーンの手が一瞬止まったが、すぐに作業を続けた。「恐れてはいない。ただ……警戒しているだけだ」


「何を警戒しているの?」


「この世界の危険を」ルーンは顔を上げ、ヴィラの血のように赤い瞳を見つめた。「あなたが言っただろう。この世界には真理会があり、様々な超常者がいて、数え切れない危険があると。僕はただの普通人だ。強くならなければ、いつ死んでもおかしくない」


「だからこんなに必死なのね」


「そうだ」


ヴィラは彼を見つめ、複雑な色が瞳に浮かんだ。


この少年は、本当にただの普通人なのだろうか?


彼の眼差し、彼の決意、彼の適応能力……どれも普通の二十歳の若者らしくない。


まるで無数の生死を経験し、世界の本質を見抜いた老人のようだ。


しかし彼女はそれ以上問わなかった。誰にでも自分の秘密がある。


「続けて」ヴィラが言った。「今日は神経系を学ぶわ。これは魔力の精密なコントロールにとても重要……」


月光が墓地に降り注ぐ。


死の気配と、知識の伝承が、この闇の中で静かに流れていく。

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