第202章 修道院の秘密(後編)
テレサは深く息を吸った。ゆっくりと話し始める。
「あの日……あなたが台所で料理を試していて、火が大きくなった時……炎が上がるのを見て……頭にあの光景がフラッシュバックしたの……」
「どんな光景?」
「修道院が燃えた光景」
テレサの声が小さくなる。
「あれは……ドニ神父が真相を知った、あの夜……」
ルーアンはそっと彼女の手を握り、続けるよう促した。
テレサは顔を上げた。涙に濡れた目で彼を見つめる。
「ルーアン……誰にも全部は話したことなかったの……でも今夜は……あなたに聞いてほしい……」
彼女は深く息を吸い、辛い過去を語り始めた。
「サン=ジュヌヴィエーヴ修道院の院長……エロイーズ修道女という人で……表向きは敬虔で聖なる人だったけど、裏では……若い修道女たちに、異常な……執着を持っていたの」
ルーアンとテレサはベッド脇に座っていた。彼の手はまだ彼女の手首に冷湿布を当てている。
ようやく誰かが聞いてくれるからか、テレサはどんどん詳しく語った。辛い記憶を一つ一つ吐き出していく。
修道女は話しながら、時々涙を拭った。
ルーアンは心の中で思った。修道院はこれほど閉鎖的で、外部の人間は中の真相を知らない。なぜ被害を受けた修道女たちは逃げられなかったのか。教会の支配は本当にそれほど強固なのか?
テレサは続けた。
「エロイーズには姪がいて、スザンヌという子だった。十五歳で修道院に送られて、とても美しい子で。エロイーズはいつも彼女だけを呼び出して、自分の部屋に行かせたの。時には一晩中出てこなかった」
彼女は言葉を切った。ルーアンは今度はもっと注意深く彼女の言葉に耳を傾けた。次に語られることが残酷なものになることを察し、胸に怒りが湧き上がった。
「最初は誰も理解できなかったの」
テレサの声がさらに震えた。
「他の修道女たちはひそひそ話していたけど、誰も詮索する勇気はなかった。ある夜、マリーという若い修道女が夜中に水を汲みに起きて、院長の部屋を通りかかったの……」
その修道女は呆然とし、目を見開いてルーアンを見つめた。彼がまだ聞いているか確認するように。それから続けた。
「マリーは中からスザンヌの泣き声が聞こえたの。それと……エロイーズの低い喘ぎ声。ドアの隙間から覗くと……エロイーズがスザンヌの上に覆いかぶさって、手をあちこち這わせているのが見えたって」
この言葉はルーアンを震撼させたが、彼はようやくテレサの恐怖がどこから来るのか完全に理解し、すぐにもっと強く彼女の手を握った。自分が今できることは、彼女を支えることだけだ。
この時、二人はまだベッド脇に座っていた。燭光が揺れる。ルーアンの胸に怒りが湧き上がる。でもテレサは薄着で、ミルクで濡れた修道服が体に張り付き、中の曲線がうっすらと見えていた。普段はしっかり包まれている姿とはまったく違う。
テレサはルーアンの視線に気づき、頬を赤らめ、思わず隠そうとしたが、ルーアンは静かに言った。
「動かないで。服が濡れてる。毛布を持ってくる」
彼は立ち上がって毛布を取りに行った。テレサは彼の背中を見つめ、目に複雑な感情を浮かべた。
ルーアンは毛布を持ってきて、そっと彼女の肩に掛けた。テレサの顔がさらに赤くなったが、拒否はしなかった。
ルーアンは再び座り、静かに言った。
「続けてくれ。聞いてるから」
テレサは毛布を引き寄せ、語り続けた。
「スザンヌは二年間ずっと苦しめられたの。逃げようとしたけど、捕まって……エロイーズは彼女を地下牢に三日間閉じ込めたわ。食べ物も水も与えずに。みんな知っていたけど、誰も何も言えなかった」
彼女は顔を上げた。涙が頬を伝う。
「それから……私も彼女の標的になったの。十四歳の時、エロイーズが私に目をつけたの。『霊性がある』って言って、特別に育てるって。彼女の部屋に行かされて、聖書を読まされたわ」
ルーアンの手がそっと彼女の手の甲を撫でた。無言の慰めを与える。
「最初はまだよかったの。でもある時……」
テレサの声がさらに震えた。
「彼女が突然後ろから抱きついてきて、手が……体中を……『霊的な交流』だって言うの。『修道女同士の愛は清らかなもの』だって」
「必死に抵抗したわ」
テレサは嗚咽した。
「幸い、外から誰かがノックして、それで中断されたの。それからずっと彼女を避けていたけど、それでも時々呼び出されて……毎日恐怖の中で生きていたの……」
ルーアンは静かに尋ねた。
「どうやって……逃げ出せたんだ?」
テレサは深く息を吸った。
「十七歳の時。ある夜、修道院で火事があったの。台所の火が隣の干し草に燃え移って。火はすぐに広がった」
「ちょうどその夜、ドニ神父が視察に来ていたの。火事に気づいて、すぐにみんなを集めて消火を始めたわ。混乱の中で……」
テレサの声がさらに低くなった。
「ドニ神父はエロイーズが避難を指揮するんじゃなくて、スザンヌを自分の部屋に引きずっていくのを見たの。おかしいと思って追いかけて、ドアを蹴破ったら……」
「エロイーズがスザンヌを襲っているところを見つけたの。外で修道院が燃えているのに、そんなことをしていたのよ。ドニ神父はその場で激怒したわ」
ルーアンははっとした。
「つまり火事が真相を明らかにしたのか?」
テレサは頷いた。
「ドニ神父は司教に全て報告すると脅したの。エロイーズは怯えて、ひざまずいて懇願したけど、ドニ神父は譲らなかった。後で司教が調査団を送って、もっと証拠が見つかったわ。他の被害者たちの証言も。エロイーズは破門されて、遠くの隠修院に終身監禁されたの」
「被害を受けた修道女たちはみんな自由になったわ。ドニ神父が私をパリの孤児院で働くよう推薦してくれたの。『本当に助けが必要な子供たちを助けるべきで、あんな場所で人生を無駄にすべきじゃない』って」
テレサは顔を上げ、涙に濡れた目でルーアンを見つめた。
「だから……あの日、あなたが台所で料理を試していて、火が大きくなった時……炎が上がるのを見て……修道院の火事の光景が頭にフラッシュバックして……あの恐ろしい記憶が……」
「怖くて仕方なかったの」
彼女は嗚咽した。
「また……何か恐ろしいことが起こるんじゃないかって……」
ルーアンはようやく全てを理解した。彼はそっとテレサを抱き寄せた。
「すまなかった。知らなかったんだ……もし知っていたら、もっと気をつけていたのに」
テレサは彼の胸に寄りかかった。涙が彼の服を濡らす。
「あなたのせいじゃないの……私が……私が弱すぎるだけ……」
「違う」
ルーアンは静かに言った。
「君は弱くなんかない。あんな経験をして、それでも強く生きて、これだけ多くの子供たちの面倒を見ている……もう十分すごいことだよ」
テレサは顔を上げた。目に感動の色が浮かぶ。
ルーアンはそっと彼女の頬の涙を拭った。
「エロイーズはもう閉じ込められている。もう二度と君を傷つけることはできない。それにギュスターヴのことは修道院とまったく関係ない。教会が君を調査することもないさ」
「本当?」
テレサは小声で尋ねた。
「本当だ」
ルーアンは彼女の額にキスを落とした。
「それに、もし誰かがトラブルを起こそうとしたら、俺が守る」
テレサは今まで誰にもこんなふうに守ってもらったことがなかった。こんな大切にされる感覚を味わったこともなかった。体が微かに震える。
「ルーアン……ありがとう……」
ルーアンは彼女の短い青髪をそっと撫でた。優しく言う。
「これから何かあったら、いつでも話してくれ。君は一人じゃない」




