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第163章:三ヶ月の計画

聖心慈善食堂を出た時、すでに午後三時を過ぎていた。


ルーンはロランに残りの仕事を任せた。


「副料理長と給仕の件、引き続きよろしく頼む」


「承知しました」ロランは手帳を開いた。「フランソワの住まいも手配しておきます。食材の仕入れ先は来週中に決まる予定です」


「助かる」


ロランは頷いて、何かを書き込んだ。


この男は本当に有能だ。装修、調達、人員の手配——すべてを一人でこなしている。正直、自分でやるより遥かに効率がいい。


老旦那に感謝すべきかもしれない。監視役として送り込んできた人間が、これほど使えるとは。


「そうだ」ルーンは思い出したように言った。「シャルルには俺から言っておく。この忙しい時期に邪魔しに来るなと」


ロランの表情がわずかに引きつった。


「……ありがとうございます」


どうやらすでに何度か被害に遭っているらしい。


ルーンは苦笑して、踵を返した。


「何かあったら孤児院に連絡してくれ。ただし——」


「ただし?」


「些細なことでいちいち呼ぶな。開業一週間前になったら声をかけてくれ。それまでは、全部お前に任せる」


ロランは少し驚いた顔をした。


「三ヶ月間、お呼びしなくてよろしいので?」


「ああ」


ルーンは振り返らずに手を振った。


「俺にはやることがある」


---


食堂を離れ、ルーンはセーヌ川を渡った。


向かう先は、パリ郊外にある古い屋敷だ。


ヴィラの住処。


ルーンは歩きながら、これからの三ヶ月について考えていた。


レストランの準備はロランに任せた。装修は順調、料理人も決まった。開業までに大きな問題が起きなければ、彼が手を出す必要はない。


つまり——この三ヶ月間、彼は自由だ。


自由な時間を何に使うか。


答えは決まっている。


鍛錬だ。


表向きは平穏に見える日々だが、ルーンは忘れていない。


あの夜、墓地で遭遇した連中のことを。


謎の教団。闇の中で蠢く何者か。


あの時はヴィラに助けられたが、次も助けてもらえる保証はない。


そして何より——


ヴィラとの「契約」。


彼女は詳しいことを何も教えてくれなかった。ただ「いずれ対価を払ってもらう」とだけ言った。


その「対価」が何なのか、ルーンには分からない。


だが、分からないからこそ——


強くなる必要がある。


どんな状況でも生き延びられるように。誰かに頼らなくても戦えるように。


ルーンは足を速めた。


冬の陽が傾き始めている。約束の時間に遅れると、ヴィラの機嫌が悪くなる。


前回遅刻した時は、訓練量を三倍にされた。あの地獄はもう味わいたくない。


「急がないと……」


彼は小走りになり、パリの路地を駆け抜けていった。


---


夜。


昼間に食堂の改装状況を確認しに行ったばかりなのに、夜になってルーンはヴィラに城外へと連れ出された。


訓練だという。


「嘘でしょ!ヴィラ、この詐欺師!」


ルナの悲鳴が月明かりに照らされた森に響き渡った。


体格のいい角羊が狂ったように彼女を追いかけている。鋭い角は月光を受けて冷たく輝き、頭を下げて突進するたびにビュウビュウと風を切る音が聞こえる。


「走れ!左に走って!」ルーンは木の後ろに隠れながら叫んだ。


「分かってるわよ!」ルナは転げ回りながら逃げ、スカートの裾は枝に引っかかって破れていた。「問題はあいつの方が私より速いってことよ!」


深夜。パリ西郊のブローニュの森は銀色の月明かりに包まれていた。


ヴィラは腕を組み、太い樫の枝の上に立って、この光景を見下ろしていた。口元にはいたずらっぽい笑みが浮かんでいる。


「ルナ!あなたは狼人なのよ!羊を怖がってどうするの!」


「これは普通の羊じゃないのよ!」ルナは泣きそうな声で叫んだ。声は完全に裏返っている。「これは妖化した角羊!角で人を貫けるの!こんな情けない死に方したくない!」


角羊は低い鳴き声を上げた。それはまるで猛獣の咆哮のようで、四本の蹄が地面を踏む音は重く力強かった。


話は二時間前に遡る。


……


二時間前、ヴィラの住処。


「妖獣を狩る?」ルーンはヴィラを見つめ、聞き間違いではないかと疑った。「本物の……妖獣をですか?」


「そう」ヴィラは頷き、当然のような口調で言った。「地下室での練習だけでは足りないわ。実戦こそが最高の師よ」


まだ日が暮れて間もない頃で、空の端にはまだ深い青の夕暮れの光が残っていた。


三人はヴィラが借りている小屋の中に立っていた。左岸の静かな路地にある古い家で、家賃は月にたった三リーブル。信じられないほど安いが、当然条件も信じられないほど悪かった。屋根から風が入り、壁にはカビが生え、冬は凍えるほど寒い。


しかしヴィラは気にしていない。もっとひどい場所に住んだことがあると彼女は言った。


ルナも気にしていない。狼人は生まれつき寒さに強いのだ。


ルーンは来るたびに震えていたが、文句を言う資格はなかった。自分の住んでいる場所もそれほど良くはないのだから。


「何を狩るんですか?」ルナは興奮して尋ね、蝋燭の明かりの中で目を輝かせた。狼人の血統が夜の狩りへの期待で彼女を満たしているのは明らかだった。


「角羊」ヴィラは簡潔に言った。「下級の妖獣よ。普通の山羊が月華に浸されて妖化したもの。速くて力もそこそこあるけど、攻撃パターンは単調。あなたたちの練習にはちょうどいいわ」


彼女は壁際の箱から短剣二本と小型のクロスボウを取り出した。


「これは私の昔のコレクション。名器というほどではないけど、角羊を相手にするには十分よ」


ルーンは短剣を受け取り、重さを確かめた。剣身は軽く、刃は鋭く、柄には薔薇の模様が彫られていた。


ルナはクロスボウを手に取り、好奇心いっぱいにあちこち回して見た。「これ、どうやって使うの?」


「後で教えるわ」ヴィラは言った。「でもまず、囮が必要ね」


彼女の視線が意味深にルナに向けられた。


ルナの動きが固まり、ゆっくりと一歩後退した。「ちょっと待って……まさか……」


「そう」ヴィラは「優しい」笑顔を浮かべた。「あなたは狼人で、私たち三人の中で一番身体能力がいいし、走るのも一番速い。それに角羊は狼人の気配に特に敏感なの。本能的にあなたを攻撃しようとするわ」


「だから私を囮にするんですか?!」ルナは目を見開いた。


「空き地に立っていれば、角羊があなたを見つけて突進してくる。それから私とルーンの方へ走って。私たちは木の後ろに隠れてクロスボウで射る。簡単明瞭でしょ」


「なんか……そんなに難しくなさそう?」ルナは疑わしそうだった。


「とても簡単よ」ヴィラは彼女の肩を叩いた。「約束するわ」


そしてルナは信じてしまった。


……


---



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