第102章 氷封銀月―絶対防御の崩壊
一万二千本の氷矢が同時発射された!
「シュオオオオオ――――ッッッ!!!」
それは空気を裂く音ではなく、一面を覆う鋭い咆哮だった!
無数の氷矢が空気を引き裂き、密集した白い軌跡を残しながら、四方八方からヴァイパーに襲いかかる!
ヴァイパーは瞳孔を収縮させ、迷わず右手を地面に叩きつけた!
「銀月魔法・スライムの壁ウォール!」
彼の掌から大量の銀色の液体が溢れ出した――それは彼自身の身体ではなく、純粋な魔法造物だ!
銀色の液体は生き物のように地面を這い、膨張し、成長していく。ほとんど瞬時にヴァイパーの周囲に円形のバリアを形成した!
銀色のスライムは急速に膨張し、最終的に直径五メートル、高さ三メートルの巨大な銀色の球体となり、ヴァイパーを完全に内部に包み込んだ!
球体の表面は滑らかで湿っており、月光を反射しながら絶え間なく蠕動している。まるで巨大な水銀の泡のようだ。
これは銀月族の上級防御魔法――銀色スライムは特殊な魔法生物で、その身体は魔法攻撃を吸収し、分散し、無力化することができる。理論上、魔力供給が十分であれば、五環クラス以上のあらゆる魔法攻撃を防ぐことが可能なのだ!
「カンカンカンカンカン――――ッッッ!!!」
第一波の氷矢が銀色スライムに衝突した!
だが氷矢は貫通しなかった――それらはスライムの表面に当たった瞬間、水中に投げ込まれた石のように、銀色の液体の中に沈み込んでいった!スライムの表面に波紋が広がり、すぐに平静を取り戻し、氷矢を飲み込み、消滅させていく!
数百本の氷矢がこうして銀色スライムによって難なく無力化された!
ヴァイパーはスライムの内部に隠れ、顔に得意げな笑みを浮かべた。
「フン、たとえ一万本以上の氷矢を同時に放てたとしても、絶対防御の前では……」
彼の言葉が突然詰まった。
なぜなら彼は見てしまったからだ――
スライムの表面に異常が現れ始めていた。
飲み込まれた氷矢は消えずに、スライムの体内に残っていた!しかも……それらはまだ冷気を放出し続けている!
「シュウウウウ――」
スライム表面に白い霜が浮かび上がり始めた。
外部からの凍結ではない。内部から凍結し始めているのだ!
ヴァイパーの表情が固まった。
「まさか……これは普通の氷矢じゃない……」
彼はついに問題の本質に気づいた。
普通の氷矢は純粋な物理攻撃だ――鋭い氷が人体を貫く、それだけのシンプルなものだ。たとえ三環クラスの氷矢でも、威力が大きくても、本質的には「より大きく、より鋭く、より速い」物理攻撃に過ぎない。
銀色スライムの防御原理は、液体の身体で物理的衝撃を無力化し、氷矢の運動エネルギーを分散吸収することだ。
しかしヴェラの氷矢は……
物理攻撃だけではなかった。
一本一本の氷矢の内部には、大量の氷系魔力が圧縮されている!氷矢がスライムに飲み込まれた後、これらの魔力はスライムの体内で放出される――爆発ではなく、凍結!
純粋な、極限の、持続的な凍結効果!
「ピキ……ピキピキピキ――」
スライムの表面が凝固し始めた。
銀色の液体が銀色の固体へと変化していく!かつて流動的で、柔軟で、攻撃を無力化できた液体スライムが、少しずつ流動性を失い、硬直し、脆弱になっていく!
そして第二波、第三波、第四波の氷矢がまだ襲い続けている!
一本一本の氷矢がスライムに飲み込まれ、そして内部で冷気を放出する!
「カンカンカンカン――――ッッッ!!」
「ピキピキピキピキ――――ッッッ!!」
衝突音と凍結音が交錯する!
スライムの凍結速度がどんどん速くなっていく!
表面の銀色が白く変色し、液体から半固体へ、そして完全な固体へと変化していった!かつての柔らかな波紋は消え、代わりに冷たく硬直した氷の殻が現れた!
ヴァイパーは顔面蒼白になった。
彼は必死にスライムへ魔力を送り込み、液体状態を維持しようとする!
しかし間に合わない!
凍結速度が彼の魔力供給速度を遥かに上回っている!
「ピキ――ピキ――ピキ――――ッッッ!!」
銀色スライムの球体全体が、わずか十秒で、表面から内部まで完全に凍結した!
巨大な銀白色の氷彫のような球体へと変貌した!
月光がその上に照りつけ、眩い冷光を反射している。
内部のヴァイパーははっきりと見える――彼は両手を前に伸ばし、魔力を送り込もうとする姿勢のまま、スライムの中心部で凍結されていた。まるで琥珀の中の昆虫のようだ。
彼の目だけは動き、外の光景を見ることができた。
ヴェラがゆっくりと歩いてくるのが見えた。
残りの氷矢がまだ空中に浮遊し、いつでも再攻撃できる状態なのが見えた。
ヴェラの唇の端にある嘲笑的な笑みが見えた。
しかし彼は動けない。
銀色スライムは彼が召喚したもので、今スライムが凍結されたため、彼もその中に閉じ込められている。氷を破って脱出するには、最低でも三十秒の魔力蓄積が必要だ。
だがヴェラは……
彼に三十秒を与えるだろうか?
ヴェラは氷封されたスライムの球体の前まで歩き、右手を伸ばし、細い指で氷面を軽く叩いた。
「コンコン」
澄んだ叩く音。
「見えたか?」ヴェラは静かに言った。声は氷層を通してヴァイパーの耳に届く。「お前の銀色スライムは確かに五環クラス以上の魔法を防げる――もしそれが純粋な物理攻撃ならばな」
彼女の指が氷面を滑り、一本の線を描く。
「だが私の氷矢は、最初から『貫く』ために設計されたわけじゃない」
彼女は左手を上げた。手首の傷口はまだ血を流している。
「その真の目的は……お前を閉じ込めることだ」
血液が傷口から溢れ出し、彼女の掌に集まる。
「そして……その防御を破るために」
血液が変化し、歪み、最終的に血紅色の鞭へと凝縮された。
血の鞭が空中で蠕動し、鞭の先端が氷面を舐め、暗紅色の痕跡を残していく。
ヴェラは血鞭を握りしめ、手首を振った――
「バシィッ――!」
血鞭が氷封されたスライムの球体に激しく打ちつけられた!
「ピキッ――!」
氷面に亀裂が現れた!
しかしそれは表面の亀裂だけで、球体全体を破るには至らない。
ヴェラは眉をひそめた。
「硬いな。凍結後のスライムは、逆に硬度が上がっている……」
彼女の目に興奮の光が閃いた。
「なら……何度も打てばいい」
「バシッ!バシッ!バシッ!バシッ!!」
血鞭が連続で打ちつけられた!
一撃一撃が正確に同じ位置に落ちる!
亀裂はどんどん大きくなり、細い髪の毛のような状態から蜘蛛の巣状へと広がり、最後には球体表面全体に蔓延した!
「ピキピキピキ――!」
氷封されたスライムが崩壊し始めた!
ヴァイパーは内部で必死に魔力を動員し、氷塊が完全に砕ける前に行動能力を回復しようとする!
彼の指が動いた……
手首が動いた……
あと五秒で完全に脱出できる!
だがヴェラは彼にその五秒を与えなかった。
血鞭が突然形態を変えた――
鞭から鋭い血の矛へ!
ヴェラは血矛を握り、亀裂が最も密集した位置を狙い、力強く突き刺した!
「ズブリ――――ッッッ!!」
血矛が氷層を貫通した!
スライムの凍結した身体を貫通した!
矛の先端はヴァイパーの目の前で止まった――
彼の眉間からわずか一センチの距離。
ヴァイパーの瞳孔が極度に収縮し、眼球が飛び出しそうになった!
次の瞬間――
「ドオオオオンッ――――ッッッ!!!」
氷封されたスライムの球体全体が爆裂した!
無数の氷塊と銀色の破片が四方に飛び散った!
ヴァイパーの身体も衝撃波で吹き飛ばされ、十メートル先の地面に激しく叩きつけられた!
「ゲホッ……ゲホゲホ……」
彼はもがきながら起き上がる。全身が氷霜と傷で覆われ、口の端から鮮血が溢れている。
しかし彼は倒れなかった。
震えながらも立ち上がり、地面から銀槍を拾い上げた。
顔を上げ、ヴェラを見る。
ヴェラはゆっくりと歩いてくる。右手には鞭の形態に戻った血鞭を握り、左手はまだ血を滴らせている。その血紅色の瞳には、狼狽したヴァイパーの姿が映っている。
「やばい……」ヴァイパーは呟いた。声は信じられないという感情で満ちている。「なぜこんな……なぜこんな場所で……こんな化け物に……」
彼は多くの強大な敵を見てきた。
聖騎士、伝説の魔導師、古代の魔獣……
しかし誰もこんな圧迫感を与えたことはなかった。
実力の差ではない。もっと本質的な――
生命レベルの差だ。
まるで兎が狼に遭遇したように、鼠が猫に遭遇したように、遺伝子に刻まれた恐怖だ。
「超越生物……」彼は歯を食いしばり、銀槍を握りしめた。「まさか超越生物だったとは……!」
ヴェラは五歩手前で止まった。
「超越?」彼女は軽く笑った。「お前は私を買いかぶりすぎだ。私はただ……お前より少し長く生きているだけさ」
彼女はもう魔法を使わなかった。
代わりに血鞭を収め、背中から黒い長矛を抜き出した。
「お前がまだ立ち上がれるなら」ヴェラは言った。矛先をヴァイパーに向ける。「見せてもらおうか……お前の近接戦闘力をな」
言葉が終わると同時に――
ヴェラの姿が消えた!
魔法ではない、純粋な速度だ!
「ドガァッ――!」
彼女の足が地面を蹴り、石畳が爆砕した!全身が砲弾のようにヴァイパーへと射出される!
ヴァイパーは瞳孔を収縮させ、本能的に銀槍を上げて防御した――
「ガキィィィンッ――――ッッッ!!!」
黒矛と銀槍が激突した!
巨大な衝撃力でヴァイパーの両腕が痺れ、虎口が瞬時に裂け、鮮血が噴き出した!彼の全身が震動で後方へ滑り、両足が地面に深い溝を掘る!
「ピキピキピキ――」
足元の石畳が砕け、土が掘り返される。
ヴァイパーは七、八メートル滑ってようやく止まった!
だがヴェラはすでに接近していた!
黒矛が彼女の手の中で黒い弧を描き、上から下へと斬り下ろす!
ヴァイパーは横に回避した――
「ドガァァァンッ――!」
黒矛が地面を叩き、地面全体が二メートル幅の穴を爆発させた!砕けた石と土が飛び散る!
ヴァイパーが反撃する間もなく――
ヴェラはすでに矛を引き、矛の尾部を後方へ激しく薙ぎ払った!
「バキィッ!」
矛尾がヴァイパーの腰側面を直撃した!
「グッ――!」
ヴァイパーの全身が吹き飛ばされ、空中で回転し、「ドガッ」という音とともに壁に叩きつけられた!
壁が亀裂を走らせ、彼の背中に激痛が走る。肋骨は確実に数本折れている。
彼が起き上がろうとした瞬間――
ヴェラはすでに目の前まで突進していた!
黒矛が彼の心臓へ直刺する!
ヴァイパーは転がって回避した――
「ズバッ!」
黒矛は彼がいた位置を貫通し、矛先が壁体に深く突き刺さった!
ヴァイパーはこの隙に槍を振るって反撃した――
「ガキン!」
ヴェラは後退せず前進し、左手で直接突き出された槍先を掴んだ!
銀色の符文が彼女の掌を灼き、「ジュウジュウ」と白煙を上げ、皮肉が焼ける悪臭を放つ!
しかしヴェラは表情を変えず、五指に力を込めて――
「バキィッ――!」
彼女の指の骨が砕けたが、同時に槍先を死ぬほど強く握りしめた!
そして右手で黒矛を抜き、矛尾をヴァイパーの顔面へ激しく叩きつけた!
「ドガァッ――!」
ヴァイパーは矛尾に撃たれ、全身が横に吹き飛び、地面を何回も転がった!
鼻梁が折れ、鮮血が視界を覆った!
彼はよろめきながら立ち上がるが、銀槍はまだヴェラの手の中にあり、彼は今丸腰だ!
ヴェラは手中の銀槍を見て、軽く笑った。
「いい武器だ」
彼女は無造作に銀槍を地面に投げ捨てた。
「だが武器がどんなに良くても、使用者が弱ければ……意味がない」
ヴァイパーは歯を食いしばった。彼は自分が相手にならないことを理解した。
完全に相手にならない。
魔法でも近接戦でも、彼は圧倒されている。
このまま続ければ、死ぬしかない!
必ず……
必ず逃げなければ!
彼は深呼吸し、両手を胸の前で印を結んだ――
「銀月秘術・月影分身ムーンシャドウ・クローン!」
彼の影が突然足元から分離し、まったく同じ銀色の人型となった!
その人型が地面の銀槍を拾い上げ、ヴェラへ突進する!
一方、ヴァイパー本体は急に転身し、反対方向へ逃走した!
ヴェラは一矛で銀色の人型を貫いた――
だがそれは影が凝縮した分身に過ぎず、貫かれた瞬間すぐに銀色の霧となって消散した。
彼女は振り向き、逃げるヴァイパーを見た。
「逃げるつもりか?」
彼女が追撃しようとした瞬間――
ヴァイパーは突然懐から黒い球体を取り出し、激しく地面に叩きつけた!
「ドオオオオンッ――――ッッッ!!!」
黒い球体が爆発し、大量の黒煙を放出した!
普通の煙霧ではなく、特殊な魔法煙霧で、感知、視覚、さらには魔力探知まで遮断できる!
黒煙は瞬時に拡散し、半径五十メートルの範囲を覆った!
ヴェラの視界が黒煙に遮られた。
黒煙が晴れた時には――
ヴァイパーはすでに夜色の中に消えていた。
ヴェラはその場に立ち、ヴァイパーが逃げた方向を見つめたが、追わなかった。
彼女は焼け焦げた左手を見下ろした。銀槍に灼かれた指がゆっくりと治癒している。
「最後の切り札の逃走手段か……」彼女は静かに言い、口元に笑みを浮かべた。「賢明な判断だ」
彼女は振り向き、ルーンの方へ歩き出した。
「しかし……闇の勢力の者が、こんな場所に現れるとは……」
ヴェラの眼差しが深くなった。
「どうやら……厄介なことになりそうだ」




