第1章:転生管理局、ブラックすぎ!
佐藤太郎(25歳、無職)は、コンビニで買った298円のカップラーメンを抱え、夜の街をトボトボ歩いていた。頭の中は、昨日読み終えたなろう小説の余韻でいっぱい。「ああ、俺も異世界でチート能力ゲットして、ハーレム無双してえな…スローライフもいいな」とか呟きながら、横断歩道に差し掛かる。と、その瞬間――ドカン! 信号無視のトラックが太郎を直撃!
「うわっ! 痛っ! ……って、え、痛くねえ? 俺、死んだ?」
目を開けると、そこは真っ白な空間。目の前には、銀行の窓口みたいな受付カウンター。背後にはデカデカと「転生管理局」と書かれた看板。待合室には、死んだらしい人間たちがゾロゾロ並んでる。サラリーマン風のおっさん、ギャルっぽいJK、なぜか柴犬まで。「いや、犬も転生すんの!? なろうにそんな設定ねえぞ!」と太郎がツッコむと、柴犬が「ワン!」と元気に応える。カオスすぎる。
「次! 佐藤太郎! さっさと来なさい!」
鋭い声に振り返ると、カウンターには金髪碧眼の美少女。白いドレスは女神っぽいが、目はクマで真っ黒、髪はボサボサ、手にはエナドリ。完全にブラック企業の中間管理職のオーラだ。名札には「ルナリア・転生管理局主任」とある。
「え、俺? あの、転生って…異世界行くやつですよね? チート能力とか、スローライフとか!」
ルナリアは、書類の山をガサガサ漁りながら吠えた。「スローライフ? ふざけんな! お前みたいななろうオタクが転生希望殺到させて、こっちは過労死寸前なの! 書類処理追いつかねえ、システムはバグだらけ、異世界からクレームの嵐! ったく、トラック転生多すぎ!」
太郎、ポカン。「え、トラックってなろうの定番じゃ…」
「定番じゃねえ! お前で今月567人目だ! トラック業界と癒着してんのかってレベル! もう人手足りねえんだよ!」
ルナリアの愚痴が止まらない。聞けば、なろうブームで転生希望者が爆増し、転生管理局は完全なブラック企業化。女神たちは24時間365日稼働、残業代なし、休憩はエナドリを飲む5秒間のみ。転生者のわがままな要求(「ハーレム100人!」とか「無限ガチャ!」)や、システムエラーで異世界がカオスに。ルナリアに至っては、3日寝てないらしい。
「で、お前、佐藤太郎。ステータス見せな」
ルナリアが指を鳴らすと、太郎の前になろう風のステータス画面がポップアップ。
佐藤太郎(25歳、無職)
• 筋力:E
• 知力:E
• 魔力:E
• 運:S
「うわ、俺、全部E!? いや、運だけSって何!? なろうの主人公なら全ステMAXだろ!」
「ハッ! 運S以外ゴミとか、なろう脳でイキんな! てか、お前、死ぬの早すぎ。まだ処理の順番じゃねえのに、勝手に死にやがって!」
ルナリアの毒舌に、太郎はムッとする。「いや、トラックが悪いんじゃ…」
「言い訳無用! もう人手足りねえから、お前、臨時職員な!」
「は!? 臨時職員!? 俺、異世界でスローライフする予定なんですけど!」
「スローライフ? 寝言は寝て言え! ほら、契約書にサイン!」
ルナリアが突きつけたのは、A4用紙500枚の「転生管理局臨時雇用契約書」。内容は「転生者選別」「チート能力調整」「異世界バグ修正」「クレーム対応」と、ブラック臭しかしない。太郎、泣きそうになりながらサインする。「俺のハーレム無双…どこいった…」
女神業の過酷な現実
初仕事は「転生者選別試験」。ルナリアの説明によると、転生希望者の面接をして、どの異世界に送るか、どんな能力を付与するかを決めるらしい。「お前の凡人視点が役立つ」とか言われ、太郎は半信半疑で面接室へ。そこは、まるでハローワークの窓口。転生希望者が長蛇の列で、書類の山、システムエラーの警告音、ルナリアのイライラが響き合う地獄絵図だ。
最初の希望者は、40歳のサラリーマン・山本一郎。スーツはヨレヨレ、目はハーレムへの憧れでギラギラ。
「俺、異世界でハーレム無双したい! チート能力で最強になって、女騎士も魔女もエルフも全部俺のもの!」
太郎、なろう知識がフル回転。「おお、定番のハーレムルート! いいね、山本さん! 能力は…『無限魔力』と『魅了の瞳』でどう?」
ルナリアが絶叫。「バカ! そんなチート盛ったら、異世界の経済崩壊する! 魅了の瞳とか、倫理的にアウト! お前、センスねえな!」
「え、なろうなら普通じゃ…」
「普通じゃねえ! お前のなろう知識、害悪でしかない!」
結局、山本には「農作物の成長促進スキル」を付与し、農業特化の異世界に送ることに。山本は「俺のハーレムは!?」と叫びながら転生ポータルに吸い込まれる。太郎、ちょっと申し訳ない気分。
次の希望者は、ギャル風のJK・彩花。「アタシ、魔法少女系の異世界でキラキラしたい! SNS映えするやつ!」
太郎、ノリノリで提案。「よし、彩花ちゃんには『無限キラキラ魔法』! 攻撃も防御も全部キラキラ!」
ルナリア、頭を抱える。「お前、マジでやめろ! そんな魔法、MPバカ食いするし、敵が目眩で訴訟起こすぞ! てか、システムの負荷考えろ!」
結局、彩花には「SNS拡散スキル」を付与。魔法少女系異世界に送られ、ポータルから「#異世界キラキラ」と投稿する声が聞こえてきた。
初仕事で大失敗!
面接を進めるうち、太郎のなろう知識が暴走。「無限ガチャ」「ドラゴン召喚」「世界滅亡魔法」など、ヤバすぎるチートを提案しまくる。ルナリアが止める間もなく、10人くらいがバグった能力で異世界に送られる。
「太郎、お前、なんてことしてくれてんだ!」
ルナリアの叫び声の中、転生管理局のモニターに赤い警告。「異世界パワーバランス崩壊! 緊急出動要請!」どうやら、太郎が設定した「世界滅亡魔法」を持つ転生者が、村で魔法を誤爆。村が謎の光に包まれ、スライムが空を飛び始めたらしい。
「え、俺のせい!? いや、なろうなら派手な展開が…」
「黙れ! お前も異世界行って、バグ修正してこい!」
ルナリアに転生ポータルを無理やりくぐらされ、太郎は初の異世界へ。目の前には、光り輝くスライムの大群と、キレてる村人たち。「お前のせいで村がスライムまみれだぞ!」と詰め寄られる中、太郎は叫ぶ。
「俺、臨時職員なのに! スローライフどこいった!?」