表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

第1章:転生管理局、ブラックすぎ!

佐藤太郎(25歳、無職)は、コンビニで買った298円のカップラーメンを抱え、夜の街をトボトボ歩いていた。頭の中は、昨日読み終えたなろう小説の余韻でいっぱい。「ああ、俺も異世界でチート能力ゲットして、ハーレム無双してえな…スローライフもいいな」とか呟きながら、横断歩道に差し掛かる。と、その瞬間――ドカン! 信号無視のトラックが太郎を直撃!

「うわっ! 痛っ! ……って、え、痛くねえ? 俺、死んだ?」

目を開けると、そこは真っ白な空間。目の前には、銀行の窓口みたいな受付カウンター。背後にはデカデカと「転生管理局」と書かれた看板。待合室には、死んだらしい人間たちがゾロゾロ並んでる。サラリーマン風のおっさん、ギャルっぽいJK、なぜか柴犬まで。「いや、犬も転生すんの!? なろうにそんな設定ねえぞ!」と太郎がツッコむと、柴犬が「ワン!」と元気に応える。カオスすぎる。

「次! 佐藤太郎! さっさと来なさい!」

鋭い声に振り返ると、カウンターには金髪碧眼の美少女。白いドレスは女神っぽいが、目はクマで真っ黒、髪はボサボサ、手にはエナドリ。完全にブラック企業の中間管理職のオーラだ。名札には「ルナリア・転生管理局主任」とある。

「え、俺? あの、転生って…異世界行くやつですよね? チート能力とか、スローライフとか!」

ルナリアは、書類の山をガサガサ漁りながら吠えた。「スローライフ? ふざけんな! お前みたいななろうオタクが転生希望殺到させて、こっちは過労死寸前なの! 書類処理追いつかねえ、システムはバグだらけ、異世界からクレームの嵐! ったく、トラック転生多すぎ!」

太郎、ポカン。「え、トラックってなろうの定番じゃ…」

「定番じゃねえ! お前で今月567人目だ! トラック業界と癒着してんのかってレベル! もう人手足りねえんだよ!」

ルナリアの愚痴が止まらない。聞けば、なろうブームで転生希望者が爆増し、転生管理局は完全なブラック企業化。女神たちは24時間365日稼働、残業代なし、休憩はエナドリを飲む5秒間のみ。転生者のわがままな要求(「ハーレム100人!」とか「無限ガチャ!」)や、システムエラーで異世界がカオスに。ルナリアに至っては、3日寝てないらしい。

「で、お前、佐藤太郎。ステータス見せな」

ルナリアが指を鳴らすと、太郎の前になろう風のステータス画面がポップアップ。

佐藤太郎(25歳、無職)

• 筋力:E

• 知力:E

• 魔力:E

• 運:S

「うわ、俺、全部E!? いや、運だけSって何!? なろうの主人公なら全ステMAXだろ!」

「ハッ! 運S以外ゴミとか、なろう脳でイキんな! てか、お前、死ぬの早すぎ。まだ処理の順番じゃねえのに、勝手に死にやがって!」

ルナリアの毒舌に、太郎はムッとする。「いや、トラックが悪いんじゃ…」

「言い訳無用! もう人手足りねえから、お前、臨時職員な!」

「は!? 臨時職員!? 俺、異世界でスローライフする予定なんですけど!」

「スローライフ? 寝言は寝て言え! ほら、契約書にサイン!」

ルナリアが突きつけたのは、A4用紙500枚の「転生管理局臨時雇用契約書」。内容は「転生者選別」「チート能力調整」「異世界バグ修正」「クレーム対応」と、ブラック臭しかしない。太郎、泣きそうになりながらサインする。「俺のハーレム無双…どこいった…」


女神業の過酷な現実

初仕事は「転生者選別試験」。ルナリアの説明によると、転生希望者の面接をして、どの異世界に送るか、どんな能力を付与するかを決めるらしい。「お前の凡人視点が役立つ」とか言われ、太郎は半信半疑で面接室へ。そこは、まるでハローワークの窓口。転生希望者が長蛇の列で、書類の山、システムエラーの警告音、ルナリアのイライラが響き合う地獄絵図だ。

最初の希望者は、40歳のサラリーマン・山本一郎。スーツはヨレヨレ、目はハーレムへの憧れでギラギラ。

「俺、異世界でハーレム無双したい! チート能力で最強になって、女騎士も魔女もエルフも全部俺のもの!」

太郎、なろう知識がフル回転。「おお、定番のハーレムルート! いいね、山本さん! 能力は…『無限魔力』と『魅了の瞳』でどう?」

ルナリアが絶叫。「バカ! そんなチート盛ったら、異世界の経済崩壊する! 魅了の瞳とか、倫理的にアウト! お前、センスねえな!」

「え、なろうなら普通じゃ…」

「普通じゃねえ! お前のなろう知識、害悪でしかない!」

結局、山本には「農作物の成長促進スキル」を付与し、農業特化の異世界に送ることに。山本は「俺のハーレムは!?」と叫びながら転生ポータルに吸い込まれる。太郎、ちょっと申し訳ない気分。

次の希望者は、ギャル風のJK・彩花。「アタシ、魔法少女系の異世界でキラキラしたい! SNS映えするやつ!」

太郎、ノリノリで提案。「よし、彩花ちゃんには『無限キラキラ魔法』! 攻撃も防御も全部キラキラ!」

ルナリア、頭を抱える。「お前、マジでやめろ! そんな魔法、MPバカ食いするし、敵が目眩で訴訟起こすぞ! てか、システムの負荷考えろ!」

結局、彩花には「SNS拡散スキル」を付与。魔法少女系異世界に送られ、ポータルから「#異世界キラキラ」と投稿する声が聞こえてきた。


初仕事で大失敗!

面接を進めるうち、太郎のなろう知識が暴走。「無限ガチャ」「ドラゴン召喚」「世界滅亡魔法」など、ヤバすぎるチートを提案しまくる。ルナリアが止める間もなく、10人くらいがバグった能力で異世界に送られる。

「太郎、お前、なんてことしてくれてんだ!」

ルナリアの叫び声の中、転生管理局のモニターに赤い警告。「異世界パワーバランス崩壊! 緊急出動要請!」どうやら、太郎が設定した「世界滅亡魔法」を持つ転生者が、村で魔法を誤爆。村が謎の光に包まれ、スライムが空を飛び始めたらしい。

「え、俺のせい!? いや、なろうなら派手な展開が…」

「黙れ! お前も異世界行って、バグ修正してこい!」

ルナリアに転生ポータルを無理やりくぐらされ、太郎は初の異世界へ。目の前には、光り輝くスライムの大群と、キレてる村人たち。「お前のせいで村がスライムまみれだぞ!」と詰め寄られる中、太郎は叫ぶ。

「俺、臨時職員なのに! スローライフどこいった!?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ