大事なのはいつだって
無事に学校から脱出した義継は、とりあえず家に帰ることにした。帰り道に何体かゾンビを撃ち倒したが、もうゾンビを撃つことに抵抗は無かった。
「腹減ったなぁ…」
昨日からなにも食べてない義継は、今ではご飯のことばかり考えていた。脱出した当初は、光希たちはどうなったのかという心配もあったが、休憩したい気持ちと、学校から自分の家が近いという理由からとりあえず休むことを優先した。義継の家は5階建ての少し古いマンションで、4階に住んでる義継は階段の手すりを頼りに少しずつ歩みを進めた。3階にさしかかる所で男の人が倒れている。顔に見覚えがあり、お隣さんだと気づく。まだ息があり、苦しいのか悶えている。
「大丈夫ですか!?」
義継はそう言いながら肩を揺すった。
「助けてくれ…」
50代半ばのお隣さんは額に脂汗を滲ませながら声を絞り出すように頼んできた。どうやら右太ももから出血しているが、致命傷ではない。まだ助かる。
「重っ…‼」
義継は最後の力を振り絞り、お隣さんに肩を貸して引きずるように4階に上り、隣の扉ブザーを鳴らす。一時してから扉があいて女の子1人が心配そうにしている。義継は倒れるように入る。女の子は軽くパニックになりながら、救急箱から消毒液を取り出していた。
「あなたも怪我はしていませんか?」
「僕は平気だけど、おじさんは苦しそうなんだ…」
義継は目を閉じて仰向けになった状態で伝えた。家に入ってから安心したのか、凄まじい疲労がどっと出てきて身動きがとれなかった。気づけばそのまま深い眠りに落ちていた。
義継は泣き声で目を覚ますと、見覚えがない天井と部屋に少し困惑する。隣には助けたお隣さんが眠っていて、その隣には座って軽くパニック状態で泣き崩れている女の子。ふと手元に銃が無いことに気づく(銃がない!!!)焦って辺りを探す。部屋に無かったので、襖を開けて別の部屋を確認しようとしたら、ズキンと頭痛を感じる。(きっと軽い脱水状態だろう)頭を押さえながら襖を開けた。机の上に銃が置いてあり、ほっと一安心する。安心したら次は(水が飲みたい!)水が欲しくて台所の蛇口をひねり、犬のようにがぶ飲みする。
「ふぅ…」
少し落ち着いて、濡れた口を腕で雑に拭い。義継も少し冷静になると、自分の姿がシャツとパンツ状態であることに気づく。(服どうしたっけ!?)とりあえず大事な銃を背中に担いで、恐る恐る先ほど寝ていた部屋を覗いたら、相変わらず泣き止まない女の子と静かに寝るお隣さん。異常な状況であることはわかるが、自分の下着姿が恥ずかしくて女の子の居る部屋に入れない…
「一旦自分の家に戻りますね、、、お世話になりました。何かあれば隣にいるので呼んで下さい…あ、鍵は玄関ポストに入れておきますね。」
僕は自信無さそうな声でまるで一人言のように伝えた。
「お邪魔しました…」
正直なところ、聞こえてるのかわからないけど伝えた。伝えた通り、しっかり外から鍵をかけて鍵は玄関ポストに入れて、自分の家に帰った。
「お帰り!!僕!!!」
帰ってすぐさま冷蔵庫を開けて、そのまま食べれそうなものを口に入れていった。口に頬張った状態で下着を脱ぎシャワーを浴びる。
「シャワー最高だぜ!!、、、生きてる僕!!」
「シャワー浴びてるだけで生きてる実感を感じる!!!」
一人言を言いながらシャワーを浴びた後、新しい下着と持ってる中で一番動き易く丈夫そうな服に着替えて、少し銃の手入れを行い、銃と一緒にベットに入る。銃を抱き枕状態にして寝るのだ。だが寝ようとしても頭の中でモヤモヤと考えていた、親友が助けに来なかったこと、隣人の様態とその娘さんの涙…(自分の事で精一杯のやつが同情なんかするな)
そう自分に言い聞かせて眠った。




