満点の星
僕は自分の銃を背中に背負って窓から体をのりだし、化学室にあったカーテンを雨水を流すパイプの金具に結び、それを頼りに屋上に上がった。学校の屋上には一度も上がったことが無なかったから、少し気持ちが良かった。絶対にそんな状況ではないのにそんな呑気なことを考えてしまうのが義継なのだ。今いる場所が高い場所だと思い出し、落ちないように慎重に進み目的の場所についた。しかし、不幸な事に2体のゾンビとも死体とも判断つかない人が進行方向の廊下に倒れている。義継は自分の銃を構えて慎重に近づく、その死体は一度も動くこと無く無事に消火栓の前についた。(驚かせやがって…)
気持ちを落ち着かせ生まれて初めてそのボタンを押した。
「ジリリリリリリリリリ!!!!!」
想像の2倍もうるさいその音で校内のゾンビ達が一斉に集まりだした。
「うぉお!!」
目の前にひときわ速いゾンビが目の前から走ってくる。引き返す時間は無い、躊躇いもなく義継ぐは銃口を向け引き金を引いた。
「バンッッッ!!」
顔に命中し、動いていたそれは肉塊になった…
「ジリリリリリリリリリ!!!!!」
「良し!良し!良し!」
私はせっせと梯子を下ろし、誰にも気づかれ無いように駐輪場についた。サドルに股がり深呼吸を1回。頭の中で鮮明に進む順路を決めていた…
目が覚めた。服と布団は汗でびっしょりで重いが、反比例して自分の体は軽く、風邪が治ったようだ。
「喉乾いた、牛乳あったかな。」
起き上がろうとして手をついたら固い感触があった。(なんだこれ?)そこには刀が置いてあった。
「俺の木刀どこ行った?」
光希は武士に憧れていた。それで周りの目を気にすることもないまま、暇な時は我流で木刀を振るっていた。それでもクラスで浮かないのは、その欠点を補える程の顔と性格の良さと、卓越した身体能力、それにテストの点数も良い。それでも部活に入らない理由は親友と遊べる時間が減るし、なによりここまで育ててくれた祖母の手伝いをしたいからだった。
「これ、真剣じゃないのか?」
警察に届け出に出さないと、、、
「その前に腹ごしらえするか。」
冷やご飯を電子レンジでチンして、汁茶碗に味噌を入れてポットのお湯で溶かして作るだけ。
「ピンポーン」
「はーい!」
「光希!!私よ!!居ないの!?」
「いるよー」
緊迫した声に何事かなと思いながら、玄関の鍵を空ける。そこには汗だくの彼女が立っていた。
「お願い義継くんを助けに行ってあげて!!!」
彼女にこれまでの出来事をを聞いた。日は既に沈んでおり、夜の8時頃になっていた。
「なら直ぐに支度する。」
(愛用の木刀の変わりに持って行くか真剣…)目が覚めて改めてその刀を掴んで違和感を感じる。(これ偽物か?)その刀はあまりにも軽く、ちゃんと使えるのだろうかと不信感を抱いた。彼女を家に残し玄関の扉を開けた。
「僕はもう死ぬんだ…一度で良いからおっぱい揉んでみたかった…」
義継は体育館の中にある物置部屋に隠れていた。ガンガンとゾンビが今にも扉を破壊する勢いで叩いてくる音に、義継は完全に心を砕かれていた。(竹本さん、無事に家についたかな)聞き慣れた声が遠くから微かに聞こえる。
「あいつ……何処にいるんだ…」
玄関から学校までの道程を1度も立ち止まらず走り抜け、光希は無事に学校に辿り着いていた。しかし汗は止まらず、膝も笑い。今にも吐きそうなほどに疲弊していた。前を見ると友達が悲惨な姿で死んでおり、ゾンビも光希に気づいて近づいてくる。心からすぐここから離れたいと思った。義継の場所がわからないし、暗闇の中から足音だけが不気味に聞こえていた。
「可哀想だね………」
突然の人の声に義継は目を覚ます。どうやら僕は眠っていたようだ。小さな窓を見る限り、今は真夜中なのだろう。サイレンの音もゾンビの声も消えて周りは静かだった。不思議なことに目の前には黒いワンピースと腰まである黒く長い髪の毛が特徴の女の子が扉を開けてそこに立っていた。義継は反射的にその女の子に銃を向けていた。
「早く起きないと死んじゃうよ?」
義継は夢から覚める。鳴らしたサイレンの音とゾンビの叫び声で、こっちが現実だと認識する。扉は歪み、隙間からゾンビが見える。(もう時間が無い…)ふと義継はポケットの違和感に気づいた。そこには使いきったはずの弾薬が入っている。光希は躊躇わず、ポケット中の弾薬を全てを装填する。
「3発」
義継は何故未使用の弾薬がポケットにあるか、しかも最初の頃より1発増えているのか、そんな疑問よりも先に恐怖が勝り、扉の隙間に銃口を向けて引き金を引く。
「バンッッッ!!」
引き金を引いたらすぐにポンプアクション(ショットガンの持ち手部分を後ろにスライドし、空の弾を排莢する)を行い、またゾンビに照準し引き金を引く。3発撃ち終わり、3つの薬莢が地面に跳ねる。
すぐさまポケットに手を突っ込み、また3発の弾薬を装填する。その動作を一心不乱に繰り返し、本人が気づく頃にはゾンビの声も、サイレンの音も聞こえなくなり、義継の足元に数えきれない程の薬莢が落ちていた。義継は壊れかけの扉を開けて、いくつものゾンビの肉塊を踏みながら外に出た。上を見ると空は、満天の星空だった…




