表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

コミュ障ハンター編7

 俺はエリシアのそばへと駆け寄る。怪我がないか確認したが、幸いその白い肌には傷一つない。


「けがはないみたいですね」


「ええ。それよりプロディティオが首輪の鍵を持っているはずよ。探してちょうだい」


 プロディティオのポケットを探ってみると、鍵らしきものが見つかったのでそれを首輪に使ってみる。すると首輪が取れた。


「彼から離れて」エリシアが俺に言う。言われた通り、プロディティオから離れると、一瞬で彼が氷漬けになる。それからバムトも氷漬けにされた。


「殺しはしないわ。生かしておいて、ちゃんと罪を償わせる」


 それから俺は、彼女を拘束していた縄がほどく。


「さ、クトが来る前に逃げるわよ。彼らは置いていくしかないわね。運ぶわけにもいかないし」


 俺たちは倉庫を出た。幸い、クトらしき人物に会うこともなく、新たな刺客に襲われることもなく、無事にギルドハウスに帰り着くことができた。


 それから氷漬けになった二人を連れ帰るために、大勢のギルドメンバーが倉庫へと派遣された。俺とエリシアは大事を取って、ギルドハウスで休んだ。ヴィクターはコミュ障が少し改善した程度でしかなかったので、行かせないという判断をエリシアが下した。


 倉庫へ行ったメンバーたちの話によると、氷漬けになった二人は回収できなかったという。倉庫は何者かによって火を放たれていて、彼らが来る頃には燃え盛る炎に包まれていた。


 爆発音らしきものを聞いた人が近所にいたらしい。おそらくその音がしたときに、彼らは倉庫ごと燃やされたのだろう。燃やした犯人はおそらく、クトか彼の手下のどちらかだろう。


 事態が落ち着いたところで、俺とヴィクターはエリシアに呼び出された。


「二人とも、よくやったわ。あなたたちは私の命を救ってくれた。このことについては、ギルドマスターとしてではなく、私個人として感謝してる」


「いや、俺は何もしてないですよ。ヴィクターが来なかったら二人とも死んでいた」俺は言った。


「でも彼が来るまで時間を稼いだのはあなたよ。あなたがあそこから逃げ出さなかったおかげで、私は生き延びることができたのだから」


「はあ」


「依頼の報酬とは別に、また私のほうから贈り物をさせてもらうからそれは楽しみにしていてちょうだい」


「わかりました。あ、それとエリシアさん。やりましたよ、ヴィクター。ちゃんと会話できるようになりました」


「え、ほんと? 早いわね」


「なんか話しかけてみてくださいよ」


「え、いきなり? そんなこと言われても。ああそうだ、あの剣なんだけど」


 あの剣、とはヴィクターがバムトたちを倒すのに使っていたあの黒い剣のことだろう。剣と呼んでいいのかはわからないけれど。


「あれはなんなの? オールドパーツ?」彼女は尋ねる。


 すると彼は俺のほうにすっと近寄ってきて、耳打ちしてきた。


「そう、オールドパーツ。魔力を込めると自在に形と硬さを変えることができる」


 なぜ俺に言う。


 自分で言え、とは思いつつもとりあえず、彼が言ったことをそのままエリシアに伝える。


「なるほど。で、彼はなんでそれを私じゃなくてあなたに言ってるわけ?」


 するとヴィクターは再び俺に耳打ちする。それをエリシアに伝える。


「俺以外と会話するのはまだ恥ずかしいから、だそうです」


「それじゃ、あなたなしじゃ誰とも話せないじゃない。ジョン、悪いけどもうしばらく付き添ってあげて。そして、あなただけでなく他の人ともちゃんと会話できるようにしてちょうだい。そこまでできたら、報酬を渡すわ」


「あ、うっす」


 俺の50万メルシュが手に入る日はまだ遠そうだ。

 

 

 ここまでお読みいただいて、ありがとうございます! 4月6日23時30分に次の話である「ランク7ダンジョン編1」を投稿するつもりです。そちらもお読みいただけると、うれしいです!


 ブックマーク、高評価をいただけると励みになります。そちらのほう、ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ