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エヴァとマリンガ警察署

「エヴァじゃないか!? 久し振りだな」

マリンガ警察署の受付に座っていた職員のルーカスが髭面を綻ばせカウンター越しにエヴァの手を取り、頬にキスをしてくる

ルーカスはエヴァの父が警官として勤めていた時の同僚で、ある事件による怪我が原因で一線を退き それ以来、受付などの雑務をこなす職員として勤めている

「久し振り!! ルーカスおじさんも元気そうだね 兄に会いに来たんだけど入ってもいい?」

「もちろんいいけど 彼氏も一緒にかい? ブルーノなら資料室に居るぞ」

「彼氏じゃないけど。。。まぁ良いか じゃあまた後でね」

「ああ 黙って帰るなよ 菓子を用意しとくからな」


職員用通路を抜け2階の資料室へと階段を上がる

「恋人だと思われちゃいましたね」

少し嬉しそうな アドリアーノ

「なんか説明するのも面倒だから それよりお菓子って何だろうね〜 パソキーニャかな?

ルーカスおじさんは昔からお菓子と言えばパソキーニャなのよね〜 って言うか未だに私のことを子供だと思ってるわよね」

「此処の人達とずいぶん仲がいいのですね?」

すれ違う署員たちがエヴァに声を掛けたり、手を振り通り過ぎて行く

そのたびに笑顔で手を振り返すエヴァだが、その表情にはどこか淋しげな影が感じられた

「私の父さん以前ここで働いていたからね。。。あっ!ここよ」

資料室と書かれたドアに手を掛ける エヴァ


古い紙の匂いが漂う資料室の長机の一脚に座り、エヴァの兄ブルーノは最近導入された

コンピューターに向かい何かのデータを入力していた

「お兄ちゃんアドリアーノを連れてきたわ」

エヴァの後ろに付いていたアドリアーノがブルーノに軽く頭を下げる

「ああ わざわざすまないな、君がアドリアーノか?」

立ち上がり右手を差し出し、力強い握手を交わす

「あの よろしくお願いします」

「うん エヴァの友達だから特別扱いするわけじゃないが、エヴァも心配しているようだからね いくつか聞きたい事があるから座ってくれるかい」

そう言いながら対面の椅子をエヴァとアドリアーノに勧める

まずは型通りの質問をしてパソコンに打ち込んでいく

「なるほど、先週の土曜日から帰っていないと。。。これまでにも無断で外泊するような事は?」

「ええ 時たまありましたが、翌日には連絡をしていたそうですし 大概は彼女の所でしたのでこちらからも連絡が出来たので母も心配していなかったのですが」

「と言うことは、彼女の所にも行っていないし、彼女に連絡も無いと言うことか。。。

お兄さんの写真を持ってきてもらったんだったね」

アドリアーノから写真を受け取ると、エヴァの目を一瞬見つめた後 写真へと目を落とす

その表情を読み取ろうと注意深く見つめる エヴァとアドリアーノ


写真に視線を落としたブルーノが、眉をひそめ頬を強張らせる

エヴァとアドリアーノを順番に見つめる ブルーノのその瞳には同情や憐憫、慈悲といった色が

浮かんでいた

「そんな。。。」と力無く一言発したアドリアーノの両肩が震えるのを感じ取ったエヴァは

20cmも自分より大きな彼を、まるで支えようとでもするように両肩に手を回し抱き寄せた

「ちょっと待ってお兄ちゃん! 本当に間違いないの!? チラッと見ただけじゃない!?」

「残念ながら間違いない。。。アドリアーノを見たときから、よく似ているので嫌な予感はしていたんだ」

「どういう事ですか? 兄は何かの事件に巻き込まれたというのですか?」

「アドリアーノ 君は18歳の大人だからね 単刀直入に伝えるよ 今から言う事を気をしっかりと持って聞いてくれ 君のお兄さんは、先週の土曜深夜から日曜の朝方に何者かに殺害され

マリアーバの河原から雑木林に少し入った場所で発見された 詳しい話しは、今から君のお宅にお邪魔してご両親も一緒に聞いてもらうことになる」

「あの。。。この事を両親に話してもいいでしょうか? 父と祖父には仕事から戻ってもらわないといけないので。。。」

精一杯、気丈に振る舞うアドリアーノだが唇から血の気が失せ わずかに震えていた

「ああこの電話を使ってくれ 君のお兄さんを殺した犯人は必ず捕まえるからな」


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