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エヴァと長い1日 ラリー

ジャルジン·アメリカの住宅街を抜け、グイアポ通りからコロンボ通りを左折して高速に乗る

周囲の車よりも頭一つ高いグランドチェロキーは、尾行するには楽な車種である

気持ちよさそうに3車線の車の流れを引っ張るように飛ばす グランドチェロキー


「パトロール中なら、速度違反で引っ張るんだけどな 100kmを超えてるぞ」

窓から入る風に対抗して、大声を張り上げる ブルーノ


「先輩!この車で着いて行けるんっすか?こっちはフースカですよ?」

いつもの声量で十分聞こえる クレイトン


「お前な〜 向こうはV8エンジン250馬力と言ってもな、こっちはスバルの名機EJ20

水平対向4気筒DOHCターボエンジン270馬力なんだよ 舗装路なら負けるわけがないんだよ」


「何言ってるんですか フースカですよ エアコンも付いてないんですよ?」


「男のロマンなんだよ!ロマン!!フースカでポルシェをぶっちぎるんだぞ!?」


「俺なら100馬力で良いので、エアコンが付いてる車でエヴァさんとデートがしたいです」


「初めてクレイトンさんに共感しました デートはお断りしますが」

冷たく言い放つ エヴァ


「そんなかわいい顔で、冷たく言い放たれるのが……やばいです」


「クレイトンお前の方がやばいと思うぞ……いろいろと」


ジャンクションをマリアーバで降り、マリアーバ市街地へと入っていくグランドチェロキーとの間に2,3台の車両を挟み尾行する ようやく窓から入る風も落ち着き、久しぶりにタバコに火を点ける 久しぶりとブルーノが思っているだけで、実は20分ほどしか経っていないのだが……

悲しい習性というのだろうか、何かしらの行動を起こすとタバコに火を点ける 車に乗ると点け

食事を終えると点ける 朝起きても点けるし、トイレに行ったら当然のように点ける

 

「お兄様、これからは愛煙家にとって、つらい時代になると思いますよ」


「エヴァ、何を言っているんだ?」


「アメリカやヨーロッパでは、空港やレストラン、あらゆる公共施設内で禁煙になっていますからね 愛煙家に対して嫌煙家などと言う言葉まで生まれています この国は向こうの真似が大好きですから」


「歩きタバコも禁止になったりして ハッハッハッハ」

タバコを吸わない クレイトンが気楽に笑う


「冗談じゃないぞ もしも、そんな事になったら俺は家から出ないからな! 

物書きにでもなって引き篭もるよ」


マリアーバの商店が立ち並ぶセントロを抜け、田園地帯へと入っていく、しばらく走ると

舗装道路が終わり両側に田畑の広がる、未舗装の道を走るのだが 他に車の通行もないため

グランドチェロキーの真後ろについて走るわけにはいかず 遮蔽物のほとんど無い田園地帯

では尾行の難易度が格段に上がり、このまま進めば丘陵地帯となりさらに難易度が上がることになる


「先輩、この車の乗り心地がおそろしく悪いです! イデッ!」

どうやら舌を噛んだらしく、両手で口を抑える クレイトン


「サスペンションを固めてあるからな、喋らないほうが良いぞ 舌を噛むからな」


「お兄様 この先から起伏の激しい丘陵地帯になります 離されないように近づきましょう」

運転席と助手席の間から顔を出す エヴァ


「近づくと車のライトで気づかれるだろう?」


「ライトは消して下さい わたしが見えていますから大丈夫です」


「エヴァ お前が見えていても、俺が見えなきゃ無理だろう?」


「お兄様の好きなWRC(世界ラリー選手権)の夜間ステージでライトが壊れるアクシデントがあったら、お兄様は棄権するのですか? WRCに比べたら、はるかに速度も遅いですし グランドチェロキーの尾灯を追えば大丈夫です わたしを信じて下さい」

エヴァの言葉が、まるで呪文のようにブルーノの耳に染み込み 出来るような気になってくる


「わかった 消すぞ!いいな!」

“パチンッ”急に辺りが闇に包まれる 街灯もなく月明かりと、前を走るグランドチェロキーの

赤い尾灯だけを頼りにハンドルを握るブルーノ


「30m直進後、右カーブ30度……200m直進で緩やな登り 勾配角度5度です……左に障害物、右に50cm避けて下さい……240m直進後、左に大きく旋回します……その後、木製の橋

を渡りますスリップ注意……」

まるで見えているかのように、戸惑いなくエヴァの指示に従いアクセルを踏み続ける ブルーノ

そして助手席で目をつむり、必死に両手でアシストグリップを握りしめる クレイトン




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