エヴァの長い1日 張り込み
[もしもしブルーノです ファべレイラ家の見張りにつきました そちらの動きは、どうですか?]
[ああ こっちは、若い男3人でショッピングセンター、マリンガパークだな]
[それは被害者の弟アドリアーノと従兄弟2人ですね アントニー先輩、引き続き尾行をお願いします]
[了解 そっちも何か動きがあったら教えてくれ]
[了解しました]
「普通に買い物のようだな あの従兄弟2人は事件当日にはサンパウロだったしな」
折りたたみ式の携帯電話を”パカッパカッ”ともて遊びながら
「3時か……これがあったら、腕時計も要らなくなるよな 家の電話も使わなくなるだろう?」
「そうですね 今はまだ通話料金が高いですが、みんなが持つようになれば通話料金も安くなるでしょうし、通信速度が上がればパソコンのような使い方も出来るようになると思いますよ」
いつもと違う、エヴァの話し方に体をひねって後部座席を凝視する クレイトン
「電話が出来て、時間がわかるだけで十分だと思うぞ 確かに通話料はバカ高いのは、なんとかして欲しいけどな」
タバコを吸いながら話をしているが、片時もファべレイラ家の門から目を離さない ブルーノ
「お兄様 考えてみて下さい、近い将来この携帯電話にカメラやビデオが付くようになるでしょう 現在のデジタルカメラの小型化から考えれば、技術的にそれほど難しくないと思います
通信速度が上がり、国民のほとんどが携帯電話を所有するようになると顔を見ながら話したり
事件事故をリアルタイムに共有できる未来になると思いますよ」
「そんな未来って幸せかね〜 なんだか24時間ずっと誰かに監視されて、情報が溢れ過ぎて
ずっと仕事をしているような気がして休まらないような気がするな
まぁ俺は、タバコとコーヒーと車さえあれば、あとの物は割とどうでもいいんだけどな」
窓の外に向けて、タバコの煙を吐く
「あの先輩……エヴァさんが、おかしいです 知的と言いますか クールと言いますか……」
後ろを向いた姿勢のまま固まり、目を見開く クレイトン
「ああ こっちのエヴァは初めてだったな こっちもあっちも同じエヴァだが、まぁTPOってやつだ」
「よくわからないっすけど こっちもあっちも素敵すぎます 惚れ直しました!」
「クレイトンさん張り込み中です あなたが監視しなくてはいけないのは私じゃなく、ファべレイラ家ですよ」
冷たく言い放つエヴァに、クレイトンは慌てて前を向き直すが、歓喜の表情を浮かべていたのを
しっかりとブルーノに目撃されていたのだった
ー『そういえば、エヴァ2の方とこんなにゆっくりと話すのは初めてかもしれないな』ー
そんな事を考えながら、刻々と張り込みの時間は過ぎていく
陽も沈み、辺りが暗くなり閑静な住宅街の街灯に明かりが灯り始める頃
ファべレイラ家の跳ね上げ式の門が開くと、車のライトが通りを照らす
「誰か出て来ますね でかい車です」
睡魔に襲われていたクレイトンが、目を擦りながらダッシュボードへ身を乗り出す
「ジープ·グランドチェロキーだな 5.9L V8エンジン250馬力 相手にとって不足は無いな
こっちに来るぞ、頭を下げろ!」
V型8気筒の重低音を響かせながら、フースカの横を通り過ぎて行く グランドチェロキー
「アドリアーノの祖父ジョージでした お兄様、尾行しましょう」
「見えたのか? クレイトン、アントニー先輩に電話をして状況説明だ」
フースカのキーを回し、前方の十字路でスピンターンをきめると、騒音に気を遣いながらも
最速でグランドチェロキーの後を追う 青いフースカ
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