エヴァと長い1日 乗り込む
「この教会の名前、ンザンガ·シノってどういう意味なのですか?」
エヴァが看板だった残骸を拾い上げて、エリカに手渡す
「ああ ンザンガは西アフリカの部族の言葉で、戦場という意味だよ」
悲しそうに壊れた看板を手に取る エリカ
「戦場の鈴ですか……あなたたちの祖先の思いが込められた名前なのですね」
「この国に無理やり連れてこられた、私たちの祖先は毎日が生きるか死ぬかといった戦場のような生活を強いられていたんだろうね そんな中で小さな鈴の音ほどの希望になれるようにという思いが込められた名前なんだろうね」
「そんなエリカさんに罪を着せようとしただけでなく、殺して口を封じようなんて……」
拳を握りしめ、珍しく熱くなる ブルーノ
「お兄様……エリカさんに惚れましたね?」
ブルーノだけに聞こえるように、耳元で囁く エヴァ
「バッ バカ!何を言っているんだ!?」
「そういえばお兄様の部屋を掃除した時に発見した 健全とは言えない雑誌の傾向が年上女性
ばかりでした まさかの熟女 モグッモグッ!」
聞き取られないように、慌ててエヴァの口を塞ぐ ブルーノ
「では、気を取り直してファべレイラ家に乗り込む前に、打ち合わせをします」
壊れた祭壇を囲み 頭をつき合わせヒソヒソと打ち合わせる 4人
「それで本当に上手くいくのかしら?」
アゴに指をやり、首をひねる エリカ
「失う物が大きい人ほど、自分の運命を運任せにはしませんから 上手くいくでしょうね」
「エヴァ まだ犯人を教えてくれないのか?」
「ごめんなさいお兄様 もし教えたら その人を違う目で見たり、接してしまうと思うんです
余計な警戒を与えたくないので、もう少し待ってください」
「エヴァ 俺を子供扱いしていないか?」
少しいじけて、突き放すように言う ブルーノ
「あなたが、純粋すぎるって言ってるのよ エヴァは」
ブルーノの耳元でそう囁き、肩にそっと手を置く エリカ 一瞬で耳が赤くなる ブルーノ
「何の話をしているのか、よく解らないのですが? 俺は何をすればいいのでしょう?」
清々しいまでに、理解する事を放棄している クレイトン
「お前にしか出来ない、大事な仕事があるじゃないか 窓を見てみろ」
窓を指差す ブルーノ
「割れていますよ」
「だろ? と言うことは、泥棒が入るかもしれないよな?」
「え〜〜また留守番ですか〜!?」
「考えてみろクレイトン ギャングの抗争に突っ込んで行って、銃撃戦になるよな?
怪我するかもしれないし死ぬかもしれない、それで日給50レアルだ それか、ここで鑑識が来るまで猫と遊んでいるとするだろう それで日給50レアルだ どっちが賢い?」
「こっちすね!」
ニコニコしながらポーチで手を振る クレイトンを残し、フースカに乗り込む3人
エリカはいつもの祈祷時の装いに着替え ブルーノもポリシア·シビルの制服に着替えていた
排気音に気を使いながら、ジャルジン·オリエンタルの住宅街を抜け KAKOGAWA通りを右折するフースカ
「エリカさん 実はわたし子供の頃に何度かエリカさんに会ったことがあるんですよ」
窮屈な後部座席から、助手席に座るエリカに話しかける エヴァ
「ええ 覚えているわ スエ島袋が何度か連れてきた女の子ね」
「すごい 覚えているんですね」
「日本人が来ることが当時は珍しかったし、あなたがとても可愛かったのでよく覚えているわ」
ルームミラー越しに目が合う エヴァとエリカ
「おかげさまで、スエとセルザは今も仲良くやっています」
そのエリカの目を見ながら、軽く頭を下げる エヴァ
「スエは今もお酒を絶たれているのね あの時のわたしの呪いでは、一番好きなものを止めるという生贄が必要だったのよ でももう飲んでも大丈夫よ 彼女にそう伝えてあげてくれる?」
「えっ 大丈夫なんですか? でもきっとスエは飲まないと思います もし飲んでセルザと喧嘩でもしたら後悔すると思うので」
「そう 愛し合ってるのね……いつか時間があったら、遊びに来てと伝えてくれる?」
「はい 必ず」
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