エヴァと長い1日 追跡
通話中の携帯電話をエリカに渡し、2台のバイクが右折していった路地をタイヤを軋ませながら
曲がる フースカ
「もしもし!今2台のバイクを追っています! そちらは無事ですか?」
フースカの爆音に負けるまいと声を張り上げる エリカ
「我々は無事ですが、マネキンは木っ端微塵です それとエヴァには追跡せずにすぐに戻るように伝えて下さい!」
窓から教会内をのぞき込み、椅子やマネキン、祭壇までもが被弾していることに頭を抱える
「あの エヴァさんが断る!と言っています」
「だろうなっ! 無茶をさせないように見張って下さい なんとか追いつきます!!携帯は切らないで!!」
そう言うと、教会を飛び出し 見張りをさせてもらっていた向かいの家に飛び込む
「お願いします 車を貸して下さい 緊急事態なんです!!」
銃声を聞き、窓から外を伺っていた住人に大声で頼み込むと勢いに押されたのか、あっさりと鍵を投げてよこす
「門扉を開けろ 追うぞ!!」
ガレージに停められたフォルクスワーゲン·ブラジリアに渡された鍵を差そうとするが差さらない そもそも形状がまったく違うのだ 渡された鍵をよく見ると[YAMAHA]と書かれている
車の脇に停められたバイクに目をやるとYAMAHA DT180と書かれている
住民に一言いいたかったが、こちらの方が早いかと思い直し キーを差し込む
“パンッパパパッパパンッー パンッパパッパパアンパンッー”
単気筒特有の甲高い排気音とともに、オイルの焼けた匂いが漂う
奴らの乗っていたバイクはHONDA CBX250ツイスター そしてこっちはオフロードYAMAHA DT180 馬力でほぼ倍の差か……クレイトンは邪魔だな
クレイトンがスライド式の門扉を開けきる前にウィリーをしながら、通りへ飛び出す ブルーノ
「先輩!俺は!?」
「現場を頼んだ!」
さらに何やら叫んでいたが、風切音に掻き消される
そして携帯電話が通話中な事を確かめて、エヴァの現在地を確かめる
「驚いた…本当に聞こえていたなんて えっとKAKOGAWA通りを、モランゲーラに向けて走っています それよりエヴァがさっきからおかしいのですが?」
「ああ 大丈夫です むしろ安心です バイクで追っていますので無茶をしないでください」
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ジャルジン·オリエンタルの住宅街からKAKOGAWA通りを右に曲がり、ギアを3速に入れ軽くアクセルを踏み込むと、シートに背中を押し付けられるような加速とともにフースカの速度計が80kmを軽く振り切る
【カチッ】エヴァ2が完全に覚醒する
ほぼ1日、エヴァの意識の中で常に半分覚醒していた為に、わずかな頭痛を感じながら
ステアリングを握る手に力を込める
「エリカさん この事件ですが、今日で終わらせます ちょっと協力して頂く事になりますが
よろしくお願いします」
「えっ? ええ……こんな事、早く終わらせてもらえるならいくらでも協力はするけど まさか命まで狙われるなんて……」
急に口調の変わったエヴァの顔を覗き込む エリカ
「保身に走った利己的な人間の行動を予測しきれませんでした 人の命を軽く見すぎですね」
「でも エヴァはこうなる事も予測していたから、昨夜からアリーニの家にわたしを避難させていたんでしょう?」
「はい 最悪の事態を想定しただけです 昨夜のうちに動く可能性は低いと思っていましたので、しかしいきなり発砲してエリカさんを殺害しようとしたのが想定外だったということです
あの……携帯電話で兄が喋っていますので、話してもらえますか?」
このフースカの爆音の中で、手の中にある携帯電話の受話口の声など聞こえるはずがないと
訝しみながら、耳を近づけると
「……………今、どこを走っていますか?」
「驚いた…本当に聞こえていたなんて えっとKAKOGAWA通りを、モランゲーラに向けて走っています それよりエヴァがさっきからおかしいのですが?」
会話の後半を、エヴァに聞こえないように声を落とす
「ああ 大丈夫です むしろ安心です バイクで追っていますので無茶をしないでください」
「エリカさん 兄に伝えて下さい フースカを傷つけるけど、ごめんなさいと」
表情も変えずにそう言い、バスの専用レーンに進入すると猛烈な加速で居並ぶ車を次々に追い越し、はるか前方にいた2台のCBXに並ぶ
「あの車を傷つけるって言っています!!」
「やめろ〜〜!!」
“キッキキィィィィッーーーーーードッシャン!!”
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