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エヴァと長い1日 序章

フースカの窮屈な後部座席で、19歳の乙女とは思えない体勢で車に揺られること20分

ようやく目的地であるジャルジン·オリエンタルの街並みが見えてくる

「この格好を知り合いに見られたら、軽く死ねるわね……デニムを履いてきてよかったわ」

ブツブツ言いながら、フースカの後部座席から這い出すように出てくる エヴァ


カンドンブレ教会であるンザンガ·シノから2区画離れた路上に車を止め、通学中の子供たちが

「フースカ アズール」と叫びながら、友達の肩を“バシバシッ”と叩き合い

あられもない姿で車から降りてくるエヴァを見て、指をさして笑う 

隠密の捜査であるはずだが、いろいろと台無しな兄妹と他1名である


「お兄ちゃん……この車って捜査には向かないと思う……」


「俺もそう思うけど、警察車両よりマジだろう? さて準備に取り掛かるか!

まずエヴァはアリー二の家にいるエリカを迎えに行ってくれるか? クレイトンはそこにある布をマネキンに掛けて教会まで運ぶぞ」

念の為に昨夜からアリーニの家に避難しているエリカを迎えに行く エヴァ

隠密捜査の為に今日はポリシア·シビルの制服ではなく、ジーンズにポロシャツの上にベストを着たクレイトンが後部座席から、座っているタイプのマネキンを右往左往しながら、なんとか取り出すと頭から布を掛けてブルーノの手を借り、背中に背負う

まるで背負子に子供を座らせているかのようなシルエットに笑いを堪える ブルーノ

しかも子供ではなく 身長で言えばクレイトンより高いであろう 座っているタイプのマネキンなのだ それを筋骨隆々の男が背負っている……

「クレイトン、エヴァが戻るまでしばらくかかると思うが……ぷっぷっぷぷぷー」

耐え切れずに吹き出してしまう ブルーノ


「先輩 勘弁してくださいよ〜 降ろしていいですか?」


「駄目だよ まもなく来ると思うから、すぐに運び込める準備をしておかないとな」

そう言い、タバコに火を点けると美味そうに目を細め、遠くを見ながら滔々と語りだす


「父親は背負子を肩に担ぎ、その中にちょこんと座った幼い子供が周りをキョロキョロと見渡している 父親の一歩一歩は力強く背負子のフレームが揺れるたびに、子供は嬉しそうにキャッキャッと声を上げる 父親はそのたびに振り返り汗を滲ませた顔に微笑みを浮かべながら応える

あっはっはっはっは〜〜 ごめん笑いすぎた腹が痛い」

ひぃっひぃっと胸を押さえながら呼吸を整える ブルーノ


「先輩 小説家になれますよ」

冷たく言い放つ クレイトン


「俺の夢だったけどな ブラジルで小説家になっても食べていけないだろう? ブラジルの作家が書いた小説読んだことある?」


「そういえば……無いですね というか小説を読んだこと無いです」


“プッルルルルルッ プッルルルルルッ” ブルーノのポケットの携帯電話が鳴る

ー「はいっ」ー


ー「エリカと一緒にもうすぐ教会に着くよ しかし生まれて初めて携帯電話で電話するのが兄貴

とは……なんか冴えないね〜」ー


ー「馬鹿な事を言ってないで、周囲には十分注意して来るんだぞ!」ー

そう言うと電話を切り、クレイトンを見る 懲りずにひとしきり笑ったあと教会へと向かう


      〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「昨夜は電話で言われた通り、自宅には帰らず アリーニの家に泊めてもらったけど

そろそろ理由を教えてもらえるかしら?」

教会に居るときとは違い ジーンズに赤いブラウスというラフな服装に帽子を深めに被った

エリカが聞いてくる


「それは後で、ゆっくり説明しますから 今は早急に準備を………ぷっはははっは」

教会の見える角を曲がると、座るタイプのマネキンを背負ったクレイトンが目に入り

エリカと2人で指をさして笑う エヴァ



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