エヴァと長い一日
疲れ果てたエヴァは、帰宅すると同時にまさに泥のように眠った
“エヴァごめんなさいね、疲れさせてしまったわね わたしが半分だけ覚醒した状態で残ってしまったから……でも今日1日で終わると思うわ”
ー「大丈夫 わたしは貴女を信じているから、貴女の正しいと思う事をしたらいいわ」ー
“ありがとう 誰も幸せな結果にはならないかも知れないけど 誰かの大切な者を奪った償いは
受けなければならないわ わたしは、貴女が正しいと思うことをしているのよ エヴァ”
いつもより早く目が覚めたエヴァは、キッチンへ行き自分のために冷たいコーヒーを作り
ブルーノのためにコーヒー豆を挽き、コーヒーを淹れる
「お兄ちゃん朝だよ! コーヒーが冷めちゃうよ」
ブルーノのお尻をバシバシっと叩く
「ああ ありがとう エヴァがコーヒーを淹れてくれるなんて珍しいな」
「豆から挽いて淹れたんだからね お昼は奢ってよね」
「本当に大学はいいのか?」
あらかじめ昨日のうちに大学は休み、同行することを伝えていた
「うん 大事な日だからね、初めてサボるよ」
「本当なら、そんな許可は出せないんだからな! 現場では絶対に俺の指示に従うんだぞ!!」
キッチンのテーブルに座り、淹れたてのコーヒーに口をつけると“うまいっ”と小さく呟く
「わかってるよ お兄ちゃんが、警察署で無理を言えるのも 全部お父さんのおかげだね」
食器棚に置かれた 家族写真に目を向ける エヴァ
「まぁこの街の警察署の人達は、親父に借りがあると思っているからな 俺が捜査官兼書記官
なんてさせてもらえるのも、そのおかげだしな でもエヴァが弁護士という同じ司法関係を目指してるのも 署長や捜査部長も嬉しく思ってるんだよ」
今日1本目のタバコに火を点け、美味しそうに目を細める ブルーノ
ー『朝一のコーヒーとタバコって、暴力的に美味いな~』ー
「例の物は、用意できてるのよね?」
「ああ 署に寄ってクレイトンと一緒に積んだら現場に向かうぞ あと携帯電話も用意してある エヴァの分もな」
「すご〜い 初携帯電話 大学でも何人か持っていてね、なんか人が大勢いるところでわざわざ電話してるんだよね〜見せびらかしているみたいで、感じ悪いの」
「いや 今日1日だけ借りるだけだけどな、それに通話料がおそろしく高いからな、意味もなく電話するなよ じゃあ行くか」
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「ちょっと〜 お兄ちゃん! 聞いてないんだけど〜 なによこの体勢!!」
マリンガ警察署に寄り、例の物を受け取りフースカに積んだのだが、後部座席のエヴァが崩れた荷物に押し潰された人のような体勢で何とか座っている??
「座っているタイプの黒人女性のマネキンを用意しろって言うんだから、しょうがないだろう?」
そうなのだフースカの狭い後部座席にエヴァと着座タイプのマネキンが収まっているのである
助手席のクレイトンが座席を目一杯前までスライドさせて、何とか押し込んだマネキンの隙間に
エヴァが潜り込んでいるという状態だった
「エヴァさん 僕が変われるものなら変わりたいのですが 物理的に無理と言いますか……
でも そんな体勢のエヴァさんも可愛いです」
笑いたいのを必死に堪えながら、クレイトンが声を掛けてくる
“キキキキッキキキッーーーー” マリンガ警察署を飛び出したフースカが急ブレーキを掛ける
マネキンを抱きかかえながら、助手席のシートの裏に張り付く エヴァ
「ちょっと〜!!! お兄ちゃん何考えてるのよ!? 可愛い妹を殺したいの!?」
「ごめん マネキンのカツラを忘れた」
路肩にフースカを止め、警察署へと駆けて戻っていく ブルーノ
「笑ったよね?」
もぞもぞと体を捻りながら、ベストな体勢を模索するエヴァ
「いえ 笑っていません」
「絶対? 神様に誓える?」
聞いたこともないような低い声で詰め寄る エヴァ
「はっ? はい誓えます」
「ふ~ん もしクレイトンが嘘をついていたらお母さんが死んじゃうとしても誓える?」
「すいません 笑いました!」
「1分以内にキットカットが食べたい」
「すぐに買ってきます!!」
フースカを飛び出し ガソリンポストへ走っていく クレイトン
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