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エヴァとカンドンブレ教会 2

「エヴァ お前も目を通しておけ」

ブルーノからバインダーを手渡され、そこに挟まれた書類に目を落とす

これから向かうカンドンブレ教会の概要が書かれていた

*設立   1966年

*種別   カンドンブレ教会

*名称   ンザンガ·シノ(Nzanga·sino)

*代表者  エリカ·シルビア·ダ·シルバ

*所在地  ガラポ通り1120番地 ジャルジン·オリエンタル

その他に電話番号などの情報や、納税番号などが記載されており

これまでに犯罪事件などに関わった事が無く 備考欄には5年ほど前に猫の騒音で苦情が一度だけ

それも保健所などの立ち入りの記録が無いので、すぐに収まったようだ



「今まで何のトラブルも無いなんて……みんなブードゥーって危険だと思ってるけど、全然そんな事無いんじゃない?」

「ブードゥーにも色々あるんじゃないっすかね? 実際に子供を生贄にしたって事件も過去に数件ありますし」

「まぁ 先入観無しで一度、見させてもらおうか エヴァはどうする一緒に乗っていくか?」

運転席のドアを開け、シートをスライドさせ後席に行くスペースを確保する ブルーノ

「2ドアやめようよ〜 エアコンつけようよ〜 助手席がいいのにクレイトン太り過ぎだよ〜」

などと文句を言いながら、するりっと後部座席に収まる エヴァ

フースカの後部座席は極狭なためにクレイトンでは後部座席まで入れるかも怪しいのだ

「すいませんエヴァさん それならエヴァさんが運転したら並んで座れますし一石二鳥ですね!」

「何が一石二鳥なんだ!? この車は誰にも運転させないんだよ」


マリンガ市内でも日系人が多く住む地域である カコガワ大通りを疾走する 青いフースカ

アッセマ日本学校の西側を抜けると、ちょうど下校時刻なのか校門から出てきた子供たちが

“フースカ アズール!!”と言いながら叩きあっている

「この文化は、しばらく廃れそうにもないわね ハッハッハ〜」大笑いのエヴァ

「僕の育った街って、小さな街で走ってる車の90%がフースカだったんで街中で叩き合いですよ」

「何そこ!? ちょっと行ってみたい」

「何にも無い所ですけど ぜひ一度 僕の実家に行きませんか? 家族に紹介します」

「なんでお前の家族にエヴァを紹介するんだ!?」

「それは今後の為にも、家族に紹介しておくほうが良いかと……お義兄さん」

「誰がお義兄さんだ!! 馬鹿なことを言ってないで仕事をしろ!!」

不機嫌そうに窓を開けてタバコに火を点ける ブルーノ



2本目のタバコを吸い終わる頃、ジャルジン·オリエンタルのカンドンブレの教会に到着する

フースカを教会があるはずの番地から少し離れた路肩に止める

制服で来ている、クレイトンを車に残し ブルーノとエヴァの2人で教会を探す

普通の住宅街の一角で注意して見ていなければ教会があると言われても見逃してしまうだろう

それほど、一般の住宅と変わらないが、よく見ると【ンザンガ·シノ】と彫られた看板が門の上に取り付けられており

周囲の住宅では駐車場に当たるスペースに3人掛けのベンチが3脚囲むように配置され

その中央には鮮やかな赤色の布が掛けられたテーブルがあり、ヤシの葉が広げて置かれ

その上には、ロウが溶け切った燭台とお香の煙が漂っている

「どうやら、ここのようだな……」

「なんだか雰囲気があるよね〜 このお香の匂い好きだな〜」

ベンチの一角で巨大な水タバコのパイプを咥え、ぷかぷかと煙を吐き出す ヒッピー風の女に

エヴァが話しかける

「えっと、エリカ·シルビアさんは居ますか?」

よく見ると両腕だけでなく、顔にまでタトゥーの入ったヒッピー女がギロリッと視線を上げる

「祈祷中……」

「あっ そうなんだ? 入って待っててもいい?」

返事も聞かずに、門の金具を外しズカズカと入っていくと、少しムッとしているヒッピー女の正面のベンチに腰を下ろす エヴァ

「あっ! その漢字知ってる〜 [愛]アモールって意味だよね」

彼女の左腕に書かれているタトゥーを指差す エヴァ

「日本人か? それならこれも知ってるか?」

シャツの胸元を広げ、左胸に書かれた[神]のタトゥーを見せつけてくる ヒッピー女

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