エヴァとカンドンブレ教会
いつものベンチに座っているジャッキーが、こちらに向かって手を振っている
黄色いネズミのようなキャラクターの上に【Pokemon】と書かれたTシャツにジーンズという
いつも通りのスタイルだが、通り過ぎる人達がおもわず振り返るのは彼女の魅力のせいなのだろうか? あるいは見慣れないTシャツに描かれたキャラクターのせいなのだろうか?
「エヴァ〜 お腹空いたよ~」
「昨日の残りのピッザを食堂の電子レンジを借りて温めてきました」
そう言い、新聞紙に包まれたピッザを1つ渡す
「さすがエヴァ2だね、エヴァにはそんな気が効いたこと出来ないもんね」
「私もエヴァも私です 私に出来ることはエヴァにも出来ますよ それよりもそのTシャツの
キャラクターはなんなんですか?」
「ん? ピカチュウ そして後ろはゼニガメ! ポケモンって言ってね、去年から放送されているんだけど今年になって凄い人気なんだよ!」
ピッザを頬張りながら、体をひねり背中のカメのようなキャラクターを見せる ジャッキー
「よく解りませんが…幸せそうで何よりです」
そう言いながら、わずかな目眩を感じ眉間にシワを寄せる
「そうだね〜日本人に産まれていたら、もっと幸せだろうね〜毎日いろんなアニメが放送されているんだって! 幸せ過ぎて死んじゃうかも フッフフッ」
どこから見てもクールそうなジャッキーには、もっとも似合わない台詞だ……
「その若さで死んじゃったら、不幸ですよね……?」
「ところで今日この後の予定は?」
「ジャルジン·オリエンタルにあるカンドンブレの教会に社会見学に行きます」
「なんでそんな所に? ジャルジン·オリエンタルってちょっと危ない地区だよね……しかもブードゥーって……」
「大丈夫ですよ お兄様も一緒なので」
「まじで!? 私も行こうかな! ……あ~ダメだ〜午後の講義は落とせないやつだ〜」
心の底から落胆しているジャッキーの肩に手を置き ニヤッと笑い“チャオッ”と手を振るエヴァ2
愛車Bizにガソリンを入れるためにガソリンポストに寄り、マリンガ市の西端ジャルジン·オリエンタルを目指しアクセルを開ける 少し前から、わずかな目眩を感じ始めていた
エヴァ2の状態で17時間も過ごしたために、心身に大きな負担がかかっている
脳は通常の何倍ものカロリーを消費し、脳の異常なまでの活性化のために睡眠を拒む習性を持つ
そのために、これ以上エヴァ2の状態を続けるのは非常に危険であった
『エヴァ ここからは貴女の役目です 私は少し眠ります あなたのその目ですべての真実をあばきだして下さい』
アクセルを開け続け、80kmを超えると同時に【カチッ】という音が脳内に響く
眠り過ぎた朝のように、頭を左右に軽く振るとエヴァ2から託された使命を一瞬で理解する
『了解! どんな結末になろうが貴女を信じるわ それにしても兄貴め! 掃除のしすぎでマニキュアが剥がれてるじゃない! こき使ってくれてピッザだけじゃ安すぎるわね!!』
ブルーノとの待ち合わせのモランゲーラ通りのメルカードの前に約束の時間5分前に着くと
青いフースカに背中を預けタバコを吸っているブルーノとその後輩のクレイトンがこちらを見て
手招きをしている
「エヴァさん 久しぶりです! 今日も可愛いですね〜」
弾けんばかりの笑顔でエヴァにかけ寄り頬にキスをしてくる クレイトン
今日ブルーノがカンドンブレの教会にエヴァが同行する許可を署長に取っている話を聞きつけ
自分も同行させて欲しいと頼み込んだクレイトンだった
「うん 久しぶりだね スポーツジム頑張ってるみたいだね 腕とかさらに大きくなってるんじゃない?」
上背は無いが、首も太く 全体的にゴムボールを感じさせる体型のクレイトン
「はい エヴァさんを守るために日夜、頑張っています」
「相変わらず 暑苦しいわね 私は良いから兄貴を守ってね」
「ブルーノ先輩は俺より強いっすよ!?」
「そんな訳ないじゃない 子供のときよく私がいじめっ子から守ってあげたのに」
ケタケタと声を立てて笑う エヴァ
「もう子供じゃ無いんだよ! それよりエヴァで大丈夫なのか?」
軽くエヴァの頭を小突きながら、心配そうな目を向ける ブルーノ
「失礼ね 私だって役に立つ時もある……たぶん……」
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