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エヴァとファべレイラ家 3

居間のドアを閉めても、ジェシカのすすり泣く声が聞こえてくる

あの空間から抜け出せた事に、どこかホッとしている自分を恥じつつ後ろに続く2人を見る

「兄の部屋は2階です」

階段のあるエントランスホールへと向かっていると家政婦のタリータとエヴァの声が耳に入る

「いったい何があったのですか? 奥様が心配なのですが。。。」

「私も詳しい事は何も。。。」

「タリータ エルトンが事件に巻き込まれたそうなんだよ」

突然 エントランスホールに現れたアドリアーノに少し驚きながら振り返る2人

「えっ 大丈夫なのですか?」

「うん。。。どうなんだろう? タリータすまないけど、こちらの警察の鑑識の方をエルトンの部屋に案内してくれるかい?」

螺旋になった階段を3人が上っていくのを見送る


「ところでエヴァ先生、それはムンクの真似ですか?」

未だに自分の両耳を塞ぐように両手を添えているエヴァに対面の壁に掛けられたを絵を指差す 

「ああっ これは。。。いろいろあって はははっ」

このムンクの叫びって、彼が叫んでいるのでは無く 誰かの叫びを聞きたくないために耳を塞いでいるんだ!? ずっと彼が叫んでいるのかと思ってたけど。。。 唐突に閃く エヴァ


黙ってエヴァの横に座り頭を抱え込んでいるアドリアーノの肩に手を置く

「お母さん 大変だね。。。」

「ええ 母に報せるのが一番怖かったんです たぶん父も祖父もそうだったと思います

エヴァ先生に母さんのこと、ちょっと聞いてもらってもいいですか?

なんていうか。。。母さんって、すごく純粋な人なんですよ 昔からそうだったんですけど

あの祖父の父の代から、この街で病院やってて、いわゆるこの街の名士ってやつでして

母さんはその一人娘として何不自由なく育ったんですよね、典型的な“箱入り娘”ってやつですね

母さん、そういう人なんで 世間の嫌な部分とかに全然触れてこなかったんです 

祖父も親父も、母さんが傷つくのは絶対に許さない感じで、家のことも全部家政婦さんに任せてたし、母さんが責任取るとか、誰かに怒られるとか、そういう経験が全然ないまま今まで生きて来たんです 守られるのが当たり前みたいな感じで。。。」


滔々と語り続けるアドリアーノの話を、うんうんと黙って聞く エヴァ


「で、そんな母さんが兄が死んだと聞かされて。。。母さんは、現実を受け止められなかったんだと思います 普通の人なら、何とか辛い現実を受け入れようとしますよね?

でも母さんには、そういう経験も、やり方も、全然なくて いきなり最悪の形で現実ってやつがぶつかってきたんです だから取り乱しちゃって

正直、僕もどうしていいか分からなくて。。。ただただ、兄貴がいない現実も辛いし、母さんが壊れそうな姿を見てるのも。。。本当に辛いです

こんな事件を起こしたやつを僕は絶対に許さない」

「なんか。。。凄いね このブラジルでそんなふうに人を育てる事が出来るんだね」

「祖母が母の幼い時に亡くなった事で、祖父の母に対する愛情が尋常で無かったと親類から聞いたことがあります

自分が仕事に行っている間は家政婦に、絶対にテレビや雑誌などで陰湿な事件を取り扱った物が母の目に入らないようにと厳しく言いつけるとか 少し大きくなってからは、良くない友達を作らないようにと、どこに行くのにもボディガードが付いていたそうですから」

「そうなんだ 君ってお母さんが大好きなんだね」

驚いたように目を丸くして頬を染める アドリアーノ


その時、居間の方から祖父の怒鳴り声が聞こえてくる

「だから言っておるじゃろう!! あのブードゥーだか黒魔術だかの女がやったに違いないんだ!!!

今すぐ捕まえて来い!!!」






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