ゆめのなかの温泉
あったかいお布団に包まれて、ふわふわふわふわ。
みんなが寝静まった頃、ぼくだけの冒険が始まるんだ。
みんなが眠ったことを確認すると、ぼくはお布団でトンネルを作る。
お布団のトンネルをくぐり抜けると、長い長い滑り台に到着。
しゅーっと滑り降りると、僕だけの世界。
白くてふわふわであったかい世界。
おともだちの恐竜に乗って、冒険に出発だ。
ステゴザウルスだから、すーくんって呼ぶんだ。
すーくんが歩くと、どすんどすんと音がする。
今日はどこに行こうと考えていたら、水の中にすーくんが入って行った。
あったかくて……温泉かな? そう思ったら、冷たくなってきた。だから、慌てて抜け出してもらった。
すーくんに乗ってどすんどすん進んでいく。
ここは、らんぼうもののオウムたちのすみかだ。
「おい、なにしにきた」
「かえれかえれ」
「おまえなんていらない」
そんなオウムたちに、とっておきな魔法のことばをかけてあげるんだ。
「みんなぼくのおともだちだ。だいすきだよ。一緒に歌を歌おう」
すーくんがどすんどすんとリズムをとる。
その音に合わせてぼくが歌う。
オウムたちも思わずつられて、ピーピーと歌ってしまうんだ。
みんなで楽しく過ごしていたら、眠くなってきちゃった。
おやすみなさい。
「りくったら、毎朝ベッドから落ちているわ……おねしょもしてる! 起きて、りく?」
短い作品ですが、最後までお読みいただきありがとうございます。