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たっくんと呼ばれた少年は、活発そうな少年だ、
髪の毛は肩ほどまで伸ばし、日に焼けた肌がタンクトップから覗いている。少し寒そうな格好だ
季節的には春先か、秋口だろう‥
「優志って言ったっけ?ゆうって読んでいいか?」とたっくんは聞いてくる。
「うんいいよ‥あの‥たっくんって名前は‥」
「ああ‥俺は佐上拓哉‥ま‥たっくんでいいよ」とたっくんはケラケラと笑う。
ふと、たっくんは園子に何やら話かける。
それは小声でよく聞き取ることが出来なかったのだが‥「‥だな‥で‥やしろはいないのか?」
やしろ?って何だろうか
僕には分からなそうな話だ。
「なあ、ゆう!これから行きたいとこってあるか?」
「まあ、東京と比べたら面白い所なんて何も無いけどな‥」
「たく‥川とか山とか神社とか新鮮かもじゃない?ね‥ゆうくん」
とサトコが提案してくる。僕にとってはどれもとても魅力的に感じた。そもそもに東京に住んでるとはいえ、僕は基本的に家から出れないのだから、外の世界は全て新鮮に見える。
「あ‥じゃあさ、学校で缶蹴りしようぜ!勿論最後に鬼だった奴罰ゲームな」
「ガキだなぁたく‥ま‥ゆうくんそれでいい?」
「うん!それがいい!」
心が踊りだすような高揚感に包まれる。
この村特有の空気感にも僕にとっては新鮮で全てが魅力的に感じる。何より友達と遊ぶとか初めてで。とても楽しみだった。