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氷と花の  作者: 千雪はな
最終章 オルトランド王国へ
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祝福の旅立ち

いよいよオルトランドへの帰国の日がやってきた。


俺とロザリーは謁見の間で国王ライアンに出立の前の挨拶をしていた。


「この旅の安全と、二人の末永い幸せを祈る」


「ありがたきお言葉」


ライアンと俺が決まりきった挨拶を交わしていると、ロザリーが俺の横から走り出した。


「兄様!」


ライアンは呆れたように、ロザリーのハグを受け止めた。


「兄様、どうかお元気で。ユリセラを頼みますね」


「ああ、わかった」


ライアンが、ロザリーに向かって微笑んだ。


「ローズ、一応正式な場なのだが…」


「お別れの挨拶は、心残りがないようにしたかったの」


「でもローズ、貴女の婚礼の儀に俺も招待されるだろうし、またこれからも会えるんだぞ」


「それはそうね。婚礼の儀は、兄様が来てくださるのを楽しみにしているわ」


「レイモンド殿、こんな妹だがよろしく頼む」


「あら、こんなってなあに?」


「お前は立場に対して自由にしすぎるところがあるだろう。オルトランド(むこう)では気をつけるんだぞ」


そう言われて頬を膨らますロザリーの横顔が見えた。


「ははは、仲が良い兄妹だな」


俺が笑うと、ライアンとロザリーもこちらを見て笑った。


ライアンはロザリーの方に向き直り、優しく声を掛けた。


「ローズ、レイモンド殿と幸せにな。そして彼をしっかりと支えなさい」


「はい、兄様。ありがとう」


ロザリーは、もう一度ライアンにぎゅっとハグをして、晴々とした笑顔で俺の元へ帰ってきた。


俺とロザリーは並んでライアンに向かって背筋を正した。


「今回は本当に世話になった。今後もユリセラと我が国が良い関係が続けられることを願う」


「ああ、私も同感だ。…そろそろ時間か」


謁見の間の扉が開かれ、馬車の用意ができたことを告げていた。


「レイモンド殿、ロザリーを頼んだ。オルトランドまで良い旅を」


俺がお辞儀をすると、ロザリーも深くお辞儀をした。


 ◇ ・ ◇ ・ ◇


出発の時がやってきた。城のメインエントランスには、多くの見送りがロザリーを待っていた。


ロザリーはその皆に向かって一礼すると、俺に笑顔を向けた。


「レイ様、参りましょうか」


「皆と少しぐらい言葉を交わしてきていいんだぞ。遠慮することはない」


「ありがとうございます。でも大丈夫です。この一週間、ゆっくり話す時間を持てましたから。それに、今、話し出したら名残惜しくなってしまうわ」


「そうか、では行こうか」


俺はロザリーの手を取り、馬車へと向かい、ロザリーに続いて俺も乗り込んだ。


馬車は静かに走り出し、正門を出た。


そこには大勢の民が待っていた。手を振る者、拍手をする者、バラの花を振っている者も多くいた。


「こんなに…」


ロザリーは目を潤ませながら、でも笑顔で沿道で見送る民へと手を振っていた。


やがて人垣が途切れると、俺の肩に頭をこつんと置いてふぅっと息を吐いた。


「あんなふうに見送ってもらえるなんて、私は幸せ者ですね」


そう言って俺を見上げて、幸せそうに笑った。


俺はロザリーを抱き寄せ口付けた。


「そんな貴女と一緒にいられる私は、もっと幸せ者だな」


ロザリーは、少し頬を赤らめて嬉しそうに微笑んだ。

年内の更新はこのお話までです。また年明けに落ち着いたら再開します。


皆様、よいお年をお迎えくださいませ。

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