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霧の中
ここは………いったいどこだろうか。
俺は真っ白な霧の中にいるようだった。
周りにも、足元にすら何もない。
ひんやりとした湿った空気がまとわりつく。
彼女は無事だろうか。
彼女の名を呼びたかった。
意識が薄れる中、必死に俺の名を呼ぶ彼女の声が聞こえた。
一言でいいから答えたかった。
今からでも、もう遅いかもしれないけど、
それでももう一度、彼女の名を呼びたかった。
でも声が出ない。
喉の奥からかすれた空気が抜ける音だけがする。
力を入れようにも入らない。
もう一度…、もう一度だけ……
「ロ…ザ……リー…」
その瞬間、俺の右手が誰かの手に包まれた。
「レイ様、レイ様!」
大好きなその声に呼ばれてゆっくりと目を開けた。




