到着
目的地の会談が行われるキサニーチェ宮殿には、まだ日が高いうちに到着した。
近くに時間を調整する街がないため、元々、早い到着の可能性は了承済みだ。
到着後すぐに広間へと通され、そこにはユリセラ国王が待っていた。
「レイモンド殿、遠い所までようこそ」
「こちらこそ、貴重な時間を感謝いたします。ライアン殿、またお会いできて光栄です。遅ればせながら、国王への即位、お祝い申し上げます」
「ありがとう。そのように畏まらないでくれ。私の方が少しだけ早く国王に即位しただけだ。貴殿とはこれまで通りの関係でいたいと思っている」
「では、そのお言葉に甘えさせてもらおう」
そう言うと、お互いに王子同士で会っていた時と変わらぬ少し砕けた笑顔になった。
「レイモンド殿、貴殿にはもっと早くお会いしたかった。本当にロザリーを助けてくれて、何とお礼を言ったらいいかわからない程、心から感謝している」
そう言って、ライアンは深くお辞儀をした。
「襲撃の件、殊更、前国王のことはお悔やみ申し上げる。我が国でロザリー殿を助けることができたが、深く傷ついたまま帰国されたと思う。元気にされているだろうか?」
「帰国直後はかなり憔悴して、気持ちも不安定で心配したのだが、数ヶ月するとずいぶん前向きになって、医官らも精神的な回復の早さに驚いていた。貴国で過ごした時間が、心の支えになっているのであろうと。
レイモンド殿や側に支えてくれた者達のことを何度も話していて、今でも懐かしそうにしているんだ。
心の傷まで癒してくれて、本当に感謝している」
「そうか、元気にされているならよかった」
俺は心から安堵した。
帰国した後、穏やかに過ごしていたであろうことが伺え、今も元気に過ごしている、最も知りたい話を聞くことができた。
「ロザリーのことは、また夕食会の時に話そう。それまで少し時間があるから、庭でお茶を用意させている。よかったら、そちらで休んでくれ」
「ああ、そうさせていただく」
ライアンは「では、また後程」とにこやかに広間を後にした。
◇ ・ ◇ ・ ◇
到着の挨拶を終え、エバンスは休むと言うのですぐに滞在用に用意された部屋へと向かったが、俺とオスカーは庭の見えるホールへ案内された。
ホールの窓の外には、よく手入れされた美しい庭が見えた。
ユリセラは我が国よりは温暖だが、北部に位置するこの地の冬の寒さはそれなりに厳しい。外で過ごすのは寒いだろうと思ったが、テラスはガラス張りの温室のようになっているようだった。
そこにテーブルを並べて綺麗に飾り付けされた空間に、お茶の用意がされていた。
大小三つのテーブルが並ぶ中、一番大きなテーブルの横には、我々を待つように立つスラリと背の高い女性が―――
「えっ、ロザリー……⁈」




