総務の川原慎吾君
少々短めですが、、、
株式会社ライズのあるビルの5F。
このフロアは総務部と経理部、社長室と応接室がある。
今日はそんな総務部に中途で入社した川原君のお話。
「おい川原 スマホ鳴ってるぞ」
「ん? 本当だありがとな」
席に戻り机に置いてあったスマホを取りディスプレイを見る。
『かなめ姉さんからだ!!』
家が隣同士で、小さいころからいつも一緒だった1つ年上の憧れのお姉さん。
いつしかその思いは恋心となり、姉さんの高校卒業のタイミングで告白した。
でも振られた。。俺にはもっとふさわしい人がいるんじゃないかと。。。
俺には姉さんしか居ないのに。。。
それから少し関係はギクシャクはしつつも挨拶や軽い会話くらいはしていた。
社会人になってからはお互い忙しくほとんど顔をわせる機会もなくなっていたけど、昨年転職した際に久々に会った。
親同士も仲が良く、前の職場の人間関係に疲れ転職したことを聞いたらしい。
久々に会った姉さんは少し大人っぽくなっていた。
俺の話を聞いて新しい職場で頑張れよと優しく言ってくれた。
その後は、時々メッセージのやり取りができるくらいの関係には戻れた。
近所の知り合いくらいのやり取りだけど、それでもうれしかった。。。
やっぱり俺はこの人が好きだ。。。
そんな姉さんからの着信。
『なんだろう。今までメッセージばっかりだったのに何か緊急事態』
と少し慌てて電話を取る。
「はい 川原です。姉さんどうしたの?」
「ごめん。今仕事中だよね。ちょっと急ぎだったんで電話しちゃった」
「はは 大丈夫だよ。姉さんの頼みとあれば機密情報の1つや2つ!」
「いや、そんな物騒なものいらないからw」
真面目に姉さんの頼みならという意気込みだったけど軽くスルーされた。。。
でも急ぎの要件ではあるらしい。
「慎吾の会社のSEさんで相原さんって人知ってる?」
「知ってるよ。社内のネットワークとかも見てくれてる人だしね。相原さんがどうかしたの?」
「うん。ちょっと友達絡みなんだけど、相原さんの事が好きな子がいてね。
応援してあげてるんだけど、この間女性と一緒にいるところ見たらしくて」
「ふ~ん まぁ相原さんって優しいし女性にモテそうだしね。
で、俺に彼女とかいるか聞いてほしいってことでよいのかな?」
「無理はしなくていいけど出来ればお願い!
あと、その一緒にいた女性だけど友達が言うには
20代前半で童顔 少し茶髪で身長は160位 スレンダーで胸は大きめらしいんだけど、
社内にそんな子って居る?」
「断定は出来ないけど、相原さんの部署に配属された新人さんが確かそんな感じの子かも
新人研修した時の写真あるけど見てみる?」
「お願い。後でメールして。ちなみにその子って慎吾目線から見て可愛いと思う?」
「う~ん 好みとかは別にして普通に可愛い子だとは思うよ」
『俺的には姉さんが一番だけどねw』
「そうなんだ。。。うん。ありがとう。とりあえずメール待ってるね」
『あっ電話が終わる もっと姉さんと話がしたい。。。』
「・・・慎吾?」
「あ、姉さん今度の土曜日空いてる?
上野でミュシャ展やってるけど良かったら一緒に行かない?確か好きだったよね」
「えっ?う、うん今度行こうとは思ってたけど、慎吾って絵とか興味あったっけ?」
「最近好きになったんだ。だから専門家の姉さんに解説してもらおうかと思って。ダメかな?」
「そういうことならOkだよ。どっちにしても行くつもりだったしね」
「本当!ありがとう。じゃぁ不忍口の改札前に11:00待ち合わせでいいかな」
「いいよ。じゃメールよろしく!」
『やったーーー姉さんをデートに誘えた』
何だかよくわからないけど、きっかけくれた相原さん本当にありがとう!
今度コーヒーでも奢ります!
「おーーい川原 彼女さんと電話するのはまぁ許すけど、そろそろ仕事戻れ~」
「す すみません。。。」
というか"彼女さん"姉さんが彼女。。。う、うれしすぎる。。。
季節は6月だけど、遅まきな春が近づきつつある川原君でした。