親孝行の旅③
19:30過ぎ。俺は両親と美樹達の部屋に来ていた。
3人とも温泉に入ったのか浴衣姿だ。
「どうも 本日はお忙しい中お出でいただきありがとうございます。」
「いえ こちらこそこんな素敵お部屋に泊めていただき。
温泉も入らせて頂きました素晴らしかったです。」
「喜んで頂けたようで良かったです。
この後、こちらのお部屋に夕飯を運ばせて頂きます。
地元の食材を使った料理がメインですが是非楽しんでお食べ下さい」
「ありがとうございます。楽しみにしてますね」
と親父達が美樹のご両親に挨拶に来た。
一応先月両家の顔合わせはしていたので初対面ではないけど、お互いまだ緊張はしているみたいだ。
親父達が引き上げた後、程なくして料理が運ばれてきた。
昼に食べたメニューを更に豪華にしたような和洋折衷の懐石料理。
山菜ごはんに焼き魚、お刺身、天ぷら、蕎麦に揚げ物etc
こんなメニューあったっけ?というくらい盛りだくさんだった。
「すごい豪華だね」
「本当、お昼の料理も素晴らしかったけど、さらに美味しそうね」
お義父さんもお義母さんも驚いたようだ。
まぁ昼もかなり卓也が張りきってくれたけど、これはこれで親父張り切りすぎw
「多分、美樹とご両親が来るということで父と兄が張りきりすぎたのかと・・・」
「部屋も素敵だし、食事もこんなに豪勢で、いや 本当申し訳ないくらいだよ」
「食べきれないかもしれませんが、折角ですので色々と食べてあげてください」
食べきれないかな~と思いつつ食べ始めたけど、昼食後は適度に歩きお腹も空いていたので意外と職も進んで完食。味付け諸々気に入っていただけたみたいだ。
後で、親父と兄貴に報告しておこう。
食事の後、俺は美樹と散歩に出た。
「お義父さん達、楽しんでくれてる?」
「はい お陰様で食事も温泉も喜んでくれてます」
「よかった。家が近いからすぐ会えるとはいえ、
一人娘を貰うわけだしせめて今回の旅行は美樹と楽しんでもらいたいよな」
「・・・・・」
「ん?どうした?」
「やさしいなぁ〜と思って。ますます好きになってしまいそうです」
「ははは・・・」
何だか最近の美樹の愛情表現は素で照れる。。。
部屋の前で美樹と別れ、俺は1人部屋に戻った。
"親子3人で寝るのは随分久しぶり"との話だったけど、俺はそもそも両親と一緒の部屋で寝た記憶ってのが無いかもしれない。
兄貴と幼馴染の春香さんや冬美とは小さい頃よく一緒に寝てたけど親父達は旅館やってるし一時期
経営も危うかったせいで二人とも忙しそうにしてたからな。
あ、小学生の頃に伊豆に居る叔父さんのところに旅行に行ったときは一緒の部屋で寝たかな?
まぁどちらにしても20年近く前だね。
などと昔を思い出しているうちに睡魔が。。。。
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翌日。
少し遅めに起きた美樹達はビッフェにて朝食をとった後、もう一度温泉に入るとの事だ。
#ちなみに今日はお義父さんも大浴場に行ったらしい。
美樹からの連絡を受け、自室でスマホを弄っていた俺も折角来たんだしと風呂に行くことにした。
何気に旅館裏の我が家も温泉を引き込んでるのです。
一般家庭より少し広めの風呂に朝から入る贅沢・・・・たまりませんなぁ〜
風呂を上がり牛乳を飲んでのんびりしているとと美樹から再度メッセージが届いた。
[帰り支度出来ました!]
[了解。今からそっち行くね]
思ったより早く連絡が来たので、返事をした後、慌てて身支度を整え忘れ物が無いように荷物をまとめた。そして美樹達と合流し旅館の入り口に移動。
さっき連絡を入れていたので、親父達も見送りに来てくれていた
「じゃあ色々とお世話になりました」
「是非またいらして下さい」
軽く挨拶した後、俺たちは春香さんが運転する車に乗り込んだ。
帰りは俺も一緒に電車に乗るので、春香さんが運転してくれている。
ちょっと狭いけど俺が助手席に座り美樹達3人が後部座席に座った。
帰りは、少し遠回りして付近の温泉街や紅葉を見てもらいながら駅に向かっている。
この時期の箱根の紅葉は何度見ても綺麗だ。
ちなみに道は狭くカーブも多いけど春香さんの運転はいつもながらに安定している。
駅に到着し、春香さんにお礼を言って別れた後、駅前のお土産物屋を複数見て回った。
もちろん車中でしっかりと宣伝をしていた春香さんの実家(土産物店)にも顔を出して、定番だけど
中々おいしそうな温泉まんじゅう等色々と購入した。
後は駅にて今日のお昼となる駅弁を購入しロマンスカーにて新宿へ
帰りの車中は通常の座席だけど席を回転させて4人向かい合って座った。
俺にとってはこれから あらたな家族となる人達。
旅行の感想や、俺や美樹のこれからの事等を新宿までの2時間弱食事をしながら色々と話をした。
新宿到着後、京王線に乗り換えそれぞれの家へ。
美樹も俺と一緒だ。
調布駅に到着し俺と美樹がホームに降りたところで、お義父さんから一言
「美樹の事頼んだよ」
俺は勿論「任せて下さい!」と笑顔で返事をした。




