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俺には全く関係がない。  作者: みやりく
休日ですら休みにならない。
61/68

横浜

 いつもであればもう少し混んでいるはずの車内も、あらゆる方向から押し寄せる横浜の人波も、土曜の朝ではそれらがまだ控えめだった。

 

 おそらく高校生活で土日に学校へ向かった事など無かったので、これはある意味発見か。

 

 体育祭が終われば、もう行く事はないのだろうが。

 多分ね。

 

 横浜駅から綾英に向かう生徒は、大半がこの駅西口側を出て、まずはちょっとした繁華街を抜けていく。

 

 西口の交番あたりを通り過ぎるところで、近くのうどん屋の匂いが鼻をくすぐる。

 

 まともに朝食を取らずに通る時などは特に、それはなかなか空腹に訴えかけるものがあったりする。

 

 隣にはたい焼き屋、その向かいにマック、ゲーセンなど、高校生にとっては誘惑となるようなものたちが、この通りにはズラリと並んでいる。

 

 だがそんな賑やかしい様子とは裏腹に、ここら辺はそこかしこにゴミが散乱していたり、あるいは排水溝の臭いに刺激される事もしばしばである。

 

 もう慣れたが、相変わらずこの街はクリーンとは言えない。

 

 横浜駅内、中の百貨店、あるいは駅地下の空間はよく整備されているものの、外へ出てみれば、意外にもそこにはオシャンな港町、横浜の姿はない。

 

 そのイメージは、全て「みなとみらい」に託されているのだと、個人的には思う訳である。

 

 高層マンション、ショッピングモール、遊園地、海に面した土地に港。

 そして地下鉄が高い。

 

 だからここ横浜を世間が思い描く「横浜」というには、なかなかギャップがあるのである。

 

 特に環境問題については本当は改善を急ぐレベルなのだが、あまりの人の多さに公共も対応しきれていないといった所か、手に余っている状態なのだ。

  

 まあそれでも、横浜にも良い所はたくさんあると思うのだが。

 これも多分ね。

 

 まあ、すぐ近くに寄る場所がここまである高校もそう無いだろう。

 

 ちょっと歩けば海に面したショッピングエリア、「ベイクォーター」にも行ける距離だからな。

 

 高校生にとってはテンションの上がる所ではあるのだ。

 全部他人に限った話だけど。

 

 軽く息を止めつつ、決して綺麗ではない海を跨ぐ橋を渡ると、しばらく信号の並ぶ狭い道路を真っ直ぐに歩く。

 

 少しすると道路の幅が広くなり、そこをまた進めば、段々と綾英の校舎が見えてくる。

 

 耳にしていたイヤフォンを流れる曲が終わり、ちょうどそれを外しながら正門をくぐった。

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