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俺には全く関係がない。  作者: みやりく
高田湊は踊れない。
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ソイヤ

「最初はこうやってセットします」


 左手を右足の方につけるようにじて上半身を捻るようにして前かがみになるなっちゃんを後ろから横一列になって見る俺達。

 

 言われた通りポーズを少し真似してみる。この体勢だけでもうキツい。


「最初のカウントは、1、2、3、4、5、6、7、ソイヤ!」


 そう言ってさっきのトモヤスのように右手の拳を天に突き上げるなっちゃん。


 これはさすがに分かるんだけど、声出すのはっず。


「2、2、3、4、5、6、7、8...」


この8小節を4回目まで繰り返した後、こちらの方をパッと振り返る。


「とりあえずここまでやろう!最初はゆっくりめでいくね」


「1、2、3、4、5、6、7!」


「ソイヤ!」


 3人に被せるように小さめに声を出す。

 ま、まあ今は出さなくてもいいだろ。


「2、2、3、4、5、6、7、8」


 なっちゃんの振りに合わせて俺達も動く。

 まだいける、いけるぞ。


 こんな感じで8小節×4のペースで振り付けを進めていき、何周目かの所で気づく。

 

 いや、これ覚えられんの?

 なっちゃんの動きについていく事が最終的な目標ではない。

 

 これを一人で、しかも原曲のテンポで合わせていかなければならない。


「じゃあ一回原曲のテンポでやってみよー、わたしのカウントに合わせてね!」


「はーい」


 3人はまだ余裕といった感じを見せていた。


 トモヤス、アッキーはバスケ部、海人はサッカー部、俺は帰宅部。

 

 普段の運動量の差は圧倒的だった。

 

 俺も中学まではサッカーをやっていたが、もう一年以上もブランクがあるとなると、普段の体育の時間だけでその差を埋めるのには無理があった。

 

 体育自体大して本気でやってないし。


「1、2、3、4、5...」


 うわ、速っ。これはついて行けるのだろうか。


「3、2、3、4...」


 段々と付いていけなくなっていく。

 

 3人の方をチラと見ると、難なく付いていけている様子だった。

 

 つまり俺だけが明らかに遅れを取っていた。

 

 これだ、この感覚。

 なっちゃんのカウントと自分の頭の中で思っているテンポがズレていく。

 そのズレは段々と大きくなる。

 

 そして、ソイヤの掛け声があるカウントに差し掛かる。


「...5、6、7」


「ソイヤ!」


「ソイヤ!」


「え?」


 驚いたように一同俺の方を向いていた。

 

 ワンテンポ遅れたソイヤが、左端にいる俺の側から飛んで来たから。

 

 俺は、リズム音痴だった。

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