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俺には全く関係がない。  作者: みやりく
高田湊は踊れない。
20/68

最初の曲

「で、男子たちに最初にやってほしいのはこれだよ、ちょっとあつまって」


 と言いながらなっちゃんは自分のスマホを何やら操作する。


 俺たちは言われた通り彼女の周りを囲うようにする。


「これなんだけど...」


 なっちゃんはその場にしゃがみこみ、俺たちにも少し屈むよう手でジェスチャーする。


 小柄な女の子に覆いかぶさるように集まる男四人。


 側から見てこの絵面がちょっとヤバそうだと思うのは俺だけだろうか。

 

 3人の様子はというと、案の定どこかトモヤスだけが狼狽えているように見えた。

 おまえって奴は。


「この動画をみてほしいのです」


 そう言って手にしているスマホに写る動画の再生ボタンを押す。


 和風なイントロが流れ始め、中の黒服を纏った男達が大きな掛け声と共に踊り始める。

 

 ん、これって。


「あーこれなんか聞いた事あるな」


 アッキーがそう呟く。


「あ、俺もあるわこれー。何だっけなー」


 海人にも心当たりがあるようだった。


「ソイヤ!ってやつな!」


 トモヤスがそう言って片方の拳を突き上げる。


「まあ有名だよなこれは、曲名忘れたけど」


 俺も確かに聴いた事はあったので一応なっちゃんに伝えるつもりで声に出す。


「そういや音ゲーであったな、この曲」


 またアッキーがぼそっと、俺たちには聞こえるくらいのボリュームで言う。

 無機質だがそこに冷たさは無いような、そんな声音だ。


「あーあれか!俺もやってたわ、懐いなー」


 トモヤスがさぞかし懐かしそうに言葉を返した。


「ん、みんな曲自体は知ってる感じだね!よかったよかった」


 なっちゃんがうんうんと嬉しそうに頷く。

 

 だが視線の先はまだ続くその動画の中だった。


 依然真剣な眼差しでそれを見つめている。

 

 見ている感じ、素人目にもその振り付け自体はシンプルであるように感じられた。

 

 しかし重心を低くどっしりと構えた動きや、何度も大きく張り上げる掛け声などについては、かなり苦しそうに見える。

 

 あとこの黒衣装?

 何でわざわざこんな暑くなりそうなやつにするんだ。


 しぬよこれ。

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