離婚
結局、考えているうちに寝落ちしてしまったらしく、次に目を覚ますと、そこは一戸建ての家だった私の家ではなく、ボロいアパートの和室の部屋に私は寝ていた。
襖の扉の向こう側から、お母さんの声が聞こえた。
「いつまで寝てるの?もう、何時だと思ってるの!」
お母さんは何度も私を起こしに来ていたらしく、少し眉間に皺が寄っている。
そして、気がついたことが2つあった。
一つ目はお母さんの服装が昔よりも少し派手になっていた。
家財道具はそんなたいした物がおいてあるわけでもないが、着ている服が昔見た写真と比べ、どこが現代風の服を身に付けているようだった。
二つ目は、お兄ちゃんとお父さんの姿が見えないことだ。
だから、お母さんに起きたそのままの体勢で、聞いてみた。
「おはよう。お兄ちゃんは?」
「何言ってるの?お兄ちゃんはお父さんの家にいるわよ?
全く、離婚したって言うのに、何言ってるのかしらね・・・この子は・・・」
お兄ちゃんは、お父さんの家?
正直、私はお母さんがまだ生きていることに関しての不満や驚きも隠せなかったが、なにより離婚という未知の領域にまで達している、その現実を受け入れなれ成った。
「お母さん、お父さんと離婚って何?お兄ちゃんと離れ離れってどういうこと?
私、そんなの聞いてないよ?」
と、思わず私は間髪入れずに聞いてみた。
次、目を覚ましたら、父親と母親が離婚だなんて普通はどう考えても考えられない。
「あんた、本当に何言っているの?お父さんとは、あんたが小学校卒業したと同時に離婚して、お兄ちゃんはお父さんが引き取って、あんたを私が引き取ったんじゃない。今更、何言ってるの?本当に、もう!」
私が小学校卒業といえば、お母さんが交通事故によって亡くなる、節目の年であるが、結局その年にお母さんが亡くなることはなく、そこで現実に戻りにくくなるということが起きていた。それが一応、私の中では昨日のことである。
それと同時にとなると、私がなかなか寝付けなかったあの時間帯に、父親と母親が離婚話をしていることになる。
随分と、現実とかけ離れたもうひとつの現実世界が起きているようだった。
「お兄ちゃんにはもう会えないの?どうして、離婚したの?」
「あんたもしつこい子だね・・・お兄ちゃんとは会おうと思えば会えるよ。なんで離婚したって、全部お前のせいだよ。」
お母さんにきっと初めて、拳で顔を殴られた。
「全部、お前のせい・・・」という言葉が私の心に深く突き刺さった。
私は和室の部屋に行ってしばらく引きこもった。
すると、貴以の声がした。
「大丈夫?泣いているの?」
「泣いてなんかいないよ・・・お母さんが何であんなに豹変してるの?
それぐらい教えてくれてもいいでしょ?」
「分かった。教えるよ。
おそらく、現実とは違う未来を選択した、あるいは誰かがそれを望んでしまったことによって現実ではないもうひとつの現実世界が出来上がってしまったんだ。そして、それに伴って、本来その時代にいない人、つまり元々の世界で亡くなっている人物の性格形成の段階で、世界が捻じ曲がっている影響で性格が変化したんだと思うよ。」
「それじゃあ、そこから元の世界には戻れないの?」
「うーん・・・僕からは助言が出来ないんだ。でも、前にも言ったけれど、君が望む世界にしたいのなら、それを実行すればいい。そうすれば、君はもといた世界により戻りやすくなる。それは間違いないよ。」
「貴以は私達の味方だよね?」
「味方でも敵でもないかな・・・」
「そうなんだね。でも、現実に戻るってどうすれば・・・」
「ア・・・戻らなきゃ・・・オ・・・サンガ・・・ヨンデイル・・・」
急に貴以の意識が消えた。
「お・・・さんが呼んでいる??」
一体何のことを言っているのか、その時はまだ分からなかった。




