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17 俺が連れて下りる


おまえが

ハルラ山に

行ったって聞いた

 

よりによって

誕生日に

たったひとりで

登るって


聞くなり即

車と飛行機

乗り継いだ


3年ぶりの

ハルラ山

でも

素人の女の足だ

追いついてみせる


おまえはまるで

3年前の

俺そのもの


ヒジンへの

怒りと恨みで

夢中で登った

俺そのもの


だから

手に取るようにわかる


ふんぎりつけに

行ったんだろ?


もう限界だ

いいかげん見切りを

つけてやるって


それも一理


「改名なんか言語道断

サムスンがいい」の

一点張りで


いっぱしの

彼氏気取りで

偉そうに

人の悲願に

首つっこんで


そのわりに

会わせちゃいけない

女2人を

バッタリ会わせる

無神経


自業自得で

しどろもどろの本人は

それでも懲りずに

二股清算

日一日と

ぐずぐず延ばして


惚れた女の

堪忍袋が

たったひとつの

頼みの綱で


俺が女でも

愛想尽かすよ

まちがいなく


でも サムスン


この俺が

身勝手なのは

今に始まった

ことじゃなし


もう少しだけ

俺に時間を

くれないか


他でもない

おまえだから頼む


おまえに

降参したあの日

俺は決めた


もう

逃げも隠れもしない

真っすぐ受け止めて

応えると


堂々とおまえを

受け止めて

これからいっしょに

歩いていくと


だからその前に

誠心誠意

彼女の心と

向き合ってくる

とことん

許しを乞うてくる


彼女には

一生恨まれても

しかたない

憎まれて当然


じゃなきゃ

これっぽっちも悪くない

彼女の立つ瀬が

ないもんな


誰かさんを見習って

真っ正面から正々堂々

恥をさらして

詫びてくる


だからもう少し

ほんとに

あと少しだけ

俺に時間をくれないか


岩陰に

白い小さな

花が揺れてる

こんな雨でも

笑って咲いてる


サムスンを

見かけなかったか?

この道

通って登ったろ?


サムスン

今 どこ歩いてる?

無事なおまえの

顔が見たい


俺の二の舞だけは

させない

おまえは俺が

連れて下りる


3年前の

俺みたいに

ひとりで山を

下りるなんて

泣きたくなるような

心細さ

おまえに

味わわせたくない


容赦なく

腹の底から

俺に小言をぶちまける

この世で2人と

探せっこない

おまえを俺は

絶対 連れて下りてやる


もう頂上に

着いたのか

それともどこかで

追い越したのか


道中最後の

休憩所なんか

とっくの昔に

過ぎたのに

未だにおまえに

出くわさない


登る道々

雨はひどくなる一方で

イライラしながら

毒づいた


ド素人が!

天気予報ぐらい

見て登れ!


人っ子一人いない

頂上で

待つにも待った

ごたいそうな

天気だった


辺り一面ガスの海

視界は10メートル

あるかないか

男でも

吹っ飛びそうな

暴風雨


おまえを連れに

来たんじゃなかったら

頼まれたって

登るもんか


それより何より

登頂する気が

あるのかないのか

それとも途中で

行き倒れたか


いやな予感が

首もたげたころ

聞き覚えのある

悪態聞いた


遠くかすかに

暴風混じりに


目をこらした先

ガスでかすんだ

声の主は


お世辞にも

登ってるなんて

図じゃなくて

登山路わきの

柵にすがって

どうにかこうにか

這いつくばってた


やおらめでたく

登頂するなり

見えないふもとに

雄叫び上げた


サムスンやめて

ヒジンになるだの

俺とは金輪際

おしまいだの


人に

死ぬほど心配させて

よくもまあ

ぬけぬけと

 

おまえとわかった瞬間は 

足も萎えそうなほど

ホッとして

2時間待ったことぐらい

水に流してやるはずだった


だけど

そこまで言われて

黙ってられるか


誰がキム・ヒジンだって?

誰がお払い箱?

そんなの誰が決めた?


ガスの中から

怒鳴ってやった




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