序章 〜Poison・Tragedy〜
宿命と言うべきなのか――
運命と言うべきなのか――
私は同族を……
狩らなくてはいけない
Rose・Spirit=Thorn……主人公、人間と吸血鬼の混血の少女
Coffin……スピリット=ソーン家の若き執事
Liumu=Saramant…魔女、カルムの双子の妹
Karumu=Saramant…魔女、リウムの双子の姉
Lidel=Crow…メイド、孤児
Rure…メイド
Chaos…ローズの事を良く思わない吸血鬼
3年に一度、歳を取り約300年生きる吸血鬼たち。
人間が彼らを嫌うように、彼らもまた人間を嫌う。
この物語は、人間と吸血鬼との間に生まれた少女の物語。
―ねぇ、私は人間?それとも…―
==序章 〜〜Poison・Tragedy〜〜==
雷鳴の轟く中、‘食事の間’と称されたその部屋は、何時にもまして静かで、金属と陶器のぶつかる音だけが響いていた。
この部屋には2人しか居ない。
皺の多い、人間で言えば70歳くらいの老紳士と、17歳くらいの黒髪の少女である。
カシャン!!…カラン…カラン…
突然、老紳士の手から持っていたナイフとフォークが床に滑り落ちた。
彼は喉を押さえ低い呻き声を漏らしながら床に倒れた。
「おじいさま!!コーフィン、ルア、手当てを!!」
少女の声を聞きつけ、部屋にコーフィンと呼ばれた執事とルアと呼ばれたメイドが入ってきた。
「お嬢様、一体何が…エドワード様!!」
「毒が、盛られているわ…。」
メイドが不気味に呟いた。