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異端の継承者  作者: bunz0u
第一章
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闇と竜と超能力者

 空に広がる闇の中、そこには一つの人影が存在していた。その魔族の名はアエチディード、身の丈もあるほどの髪をもち、ローブを着ている魔族だった。


「近づいてくるものが三つ。何かしら」


 アエチディードは目を開くと、体を上昇させて闇の上に出る。それから周囲を見回すと、近づいてくる三人をすぐに発見した。


「あれは…」


 そうつぶやいて首をかしげている間に、三人はアエチディードを発見し、接近してくる。


「そういえば邪魔をするおかしな人間達がいたとか」


 それからアエチディードは右手の人差し指を立て、そこに小さな球状の闇を作り出した。そして、それを指だけ曲げて軽く放る。


 それは空中を進み、男はそれに反応して右の手のひらを向ける。


「お前達は下がれ」


 次の瞬間、男の手に闇がぶつかり、弾けると同時にそこから強力な衝撃波が発した。だが、男は瞬時に左手をそえると、その衝撃波を自らの力で押さえ込んだ。


「やるのね」


 アエチディードは首をかしげると、男をしげしげと見る。


「おいおい、ちょっと待てよ」


 そこにマグスが口をはさむと、アエチディードは初めてその存在に気づいたような顔をした。


「おまけ、そっちはそれほどでもないか」


 その虫でも見るような目に、レギはため息をついた。


「どうもあちらさんはこいつにしか興味がないらしいね」


 レギの言葉に、マグスは目の前の男を見てから、首を横に振る。


「おいおい、ずいぶん大した奴だな。俺を無視するなんて」

「思い知らせてやればいいでしょ」

「わかってる」


 そう言ってからマグスは男の肩に手を置いた。


「準備はいいか?」

「…あれは強い、お前達は退け」


 振り向かずにそれだけ言うと、男はマグスの手を肩からどかした。そして、二人をおいて一直線にアエチディードに突進する。


「どの程度かしら」


 そうつぶやくと、アエチディードは男に向かって手をかざす。そこから身長ほどもある円状の闇が一瞬で作り出され、男に向かって勢いよく放たれた。


 男は手を前に出し、それぶつかる前に黄色い光を発生させる。その光と闇が激突すると衝撃が周囲に走るが、男はそれをものともせずに、闇を突破してさらに前に進んだ。


「まあまあ」


 アエチディードはまったく動じずに、今度は自分の背丈ほどもある球体の闇を作り出した。男はそれに突っ込みはせずに、大きく右側に動いて回りこむように飛ぶ。


 さらに、その上からマグスが降ってきて勢いのまま蹴りを入れようとする。アエチディードは音もなく水平に移動してそれをかわすが、間髪入れずに下からレギの放った小さな竜巻が襲いかかった。


 アエチディードはそれに向かって闇の球体を向け、あっさりと竜巻を砕く。しかし、左側面から勢いを増した男が突撃した。


「遅い」


 言葉と同時に闇の球体が左に振られ、男と激突する。黄色の光は闇の球体を半分ほど削ったがそこで止められてしまう。


「弱い」


 つぶやきと同時に削られた闇の球体が元に戻り、さらに倍のサイズとなって男を内部に取り込んだ。だが次の瞬間、闇の球体が黄色に染まると、それは内部から弾けた。


「少しはやるのね」


 やはりアエチディードは動じずに急上昇した。そして、三人の上を取ると、両手を掲げて空を覆う巨大な傘のような形の闇を作り出した。


「穿て」


 闇の傘が槍となり、王都に向かって放たれる。


「まずい!」


 男はその切っ先の前に立つと、両手に黄色い光をまとい、落下してきたその巨大な槍を止めた。しかし、止められたのは一瞬、アエチディードが軽く手を動かすと巨大な槍は再び落下を始めた。


「もらった!」


 マグスがレギの生み出した風に乗って、真横からアエチディードに向かう。


「邪魔」


 アエチディードが軽く手を振ると、マグスはあっさりと吹き飛ばされる。そしてもう一度腕が振られると、距離をとっていたレギも衝撃を受けて吹き飛ばされた。


 それからアエチディードは下に視線を向けると、自らが放った槍が再び止められているのを見て、多少驚いた表情を浮かべる。


「思ったよりもやるのね、でも無駄」


 そう言うと、アエチディードは自分が潜んでいた巨大な闇に手を向ける。すると、ドラゴンゾンビから立ち上っていた一本の光の柱が曲がり、そこに収束をした。


 数秒後、その闇が鼓動を始める。


「生贄は十分。さあ、目覚めなさいブレイズドラゴン」


 言葉が終わると同時に闇が弾け、そこから姿を現したのは鮮烈な赤い鱗を持った巨大な竜が姿を現した。それを確認すると、アエチディードは再び槍をなんとか受け止めている男に視線を移す。


「まだ頑張ってるの。成長してるとでも?」


 軽く首をかしげたアエチディードは男と同じ高度まで下がり、その様子をしげしげと見つめる。男の手から発する黄色い光は最初よりもその輝きを強くしている。それでも、槍を止めるのが精一杯ですぐ近くのアエチディードに対応する余裕はない。


「ブレイズドラゴン、結界をやりなさい」


 それに応じるように赤い竜、ブレイズドラゴンは咆哮をあげるとその口に炎を漲らせた。そして、その炎が青くなった瞬間、それはまるで光線のように放たれた。


 それが王都に降り注ごうとしたまさにその時、男の発する光が一気に膨れ上がると、闇の槍の軌道が変えられ、それにぶつけられ、両方とも四散する。


「やっぱり成長してるわ」


 アエチディードは楽しそうな笑みを浮かべ、両手に小さな闇の球体を生み出した。


「でも、目的もあるから遊んではいられないのが残念」


 そして闇の球体を男に向かって投げる。それに対応することによって男は動きを封じられ、その横をブレイズドラゴンが急降下で通過していく。


 だが、その前に巨大な竜巻が現れて勢いを削ぐと、さらに長大かつ無骨な金属の棒を持ったマグスがブレイズドラゴンの横に飛び上がっていた。


「このトカゲが!」


 フルスイングされた棒がブレイズドラゴンの首を強かに打った。その衝撃でブレイズドラゴンは体勢を崩したが、大きく羽ばたいて上昇しながら軌道を修正し、再び口に炎を漲らせ始める。


 男はそこに向かって受け止めていた闇の球体を弾き返そうとしたが、アエチディードが指を鳴らすと、いきなりその上空、ブレイズドラゴンの両隣に巨大な闇が発生した。そして、そこにドラゴンゾンビから立ち上る光の柱が収束する。


「残念だけど、もう二匹呼び出せるのよ」


 言葉が終わると同時に闇が弾け、最初の一匹と同じドラゴンがもう二体現れた。アエチディードはゆっくりと片手を上げる。


「さあ、ブレイズドラゴン達。邪魔者を排除して結界を破りなさい」


 青い炎が放たれ、残りの二体が咆哮を上げながら急降下を開始した。

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