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異端の継承者  作者: bunz0u
第三章
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最強の一撃

「行くぞ!」


 アテリイが先にしかけるが、ゼムスデーモンは地上まで急降下し、そのまま後方に滑るように移動して距離をとった。


「逃がすか!」


 アテリイはすぐにゼムスデーモンを追って急降下すると、そのまま着地はせずに地面すれすれを飛んで、ゼムスデーモンに大剣を向けて突っ込む。


 だが、ゼムスデーモンはその刀身を自らの剣で抑え込んで止めると、押し込まれながらもなんとか勢いを止めた。そして地面に足をつけたアテリイとゼムスデーモンは至近距離で睨み合う。


「お前は戦いに何を求めているんだ!?」

「戦いをやめてどうなるというんだ?」

「そうしなければ何も始まらないぞ!」

「いいや、すでに始まっている」


 アテリイはゼムスデーモンの言葉に何かを感じたが、それが何かを理解する前に大剣を蹴って跳ね上げると、そのまま剣から手を放してゼムスデーモンの懐に入る。


「モードメテオ! ダブルドライブ!」


 アテリイの両腕が燃え盛る岩をまとい、その拳が高速で下からの軌道を描き、ゼムスデーモンの腹に叩き込まれた。一発ではゼムスデーモンは動かなかったが、アテリイは両腕を高速回転させてさらに燃え盛る拳を連続で打ち出す。


 その連撃でゼムスデーモンの体が浮き上がり、アテリイは右腕を大きく引くと、そこに強烈な突きを繰り出した。インパクトの瞬間に炎が爆発的に広がり、ゼムスデーモンの体が上空に打ち上げられた。


「アライアル!」

「わかってる!」


 アテリイの声に応じ、アライアルの乗ったイエイズデーモンがゼムスデーモンの上をとった。そして、アライアルがその背中を蹴って宙に舞う。


「決めるぞ!」


 アライアルの全身から赤い光が満ち溢れ、その瞬間落下が止まる。


「オーバードライブ!」


 一気に赤い光が広がり、その形が足を先端として矢のようになると、空中のゼムスデーモンに向かってアライアルの右足が向けられ、一気に放たれた。赤い一筋の矢となったアライアルはゼムスデーモンの背中に突き刺さり、一瞬の抵抗の後、そのまま地面に激突した。


 ゼムスデーモンは地面に埋まるが、すぐにそこから衝撃波が走り、アライアルを空中に弾き返した。そして、その衝撃波はアテリイまでも巻き込み、周囲の地面に亀裂を走らせる。


「ちっ!」


 アライアルは空中で姿勢を立て直すが、その上にゼムスデーモンが現れ、踵を落とす。アライアルは正面からそれを受けて地面に叩きつけられた。


「それ以上は!」


 その間にアテリイが入り込み、両腕に強烈な青白い光をまとわせる。


「モードブリザード! ブラスト!」


 突き出された両手から氷の嵐が爆発的に発生し、ゼムスデーモンを吹き飛ばした。アテリイはそれを逃さずに追撃をかける。


「モードライトニング! フラッシュ!」


 アテリイの体が雷光に包まれると、次の瞬間にはその姿が消え、ゼムスデーモンの背後に現れていた。そして、振り返ったゼムスデーモンの頭を左手でつかむ。


「バースト!」


 今までにない強烈な爆発がアテリイの左手の中で起こり、ゼムスデーモンの頭部に炸裂した。


「おおおおおおおおおおおお!」


 それは一発では止まらずに連続で炸裂すると、ゼムスデーモンを地面に落とし、さらに爆発を連発させて地面を抉っていく。


 だが次の瞬間、ゼムスデーモンの右手が伸びてアテリイの左手をつかんでいた。それによってガントレットが歪み、砕け散る。


 そこでアテリイはそれに構わず右の拳を振り下ろすが、ゼムスデーモンの顔面の中心をとらえたはずのその一撃の手応えは鈍いものだった。


「いいぞ」


 そしてゼムスデーモンの言葉が響くと同時に、両者のいる地面が地中から抉りとられるようにして空中に浮かび上がり、粉々に砕け散った。アテリイはその衝撃で後方に下がると、一度動きを止める。


 その視線の先には、ぼろぼろになったゼムスデーモンの姿があったが、そこから感じられる力はむしろ増大している気配すらあった。さらに、砕け散った土が落ち始めると、それに呼応するかのようにゼムスデーモンの体が修復されていく。


「お前達の攻撃は実に見事だった。今度は我が力、見せてやろう」


 ゼムスデーモンが静かに動き出した瞬間、空からイエイズデーモンのブレスが襲いかかる。さらに、下からは赤い光を全身にまとったアライアルが一直線に飛び上がってきていた。


 だが、ゼムスデーモンはブレスには左手を向けて簡単に防ぐと、その姿がぶれたように見え、アライアルの蹴りはすり抜けるようにして空振りになっていた。


 ゼムスデーモンはすれ違いざまににアライアルの胸元に手を伸ばすと、衝撃波でアテリイに向かって吹き飛ばす。アテリイはそれを受け止めるが、その時にはすでにゼムスデーモンが目の前に到達していた。


「すまん!」


 アテリイはアライアルを上に放り投げるが、構えをとるよりも先にゼムスデーモンの右の拳が胸元の装甲を打ち砕いていた。それでもアテリイは左足を振り上げるが、それよりも体を引かれて空振りになってしまう。


「いいぞ!」


 ゼムスデーモンはそこでアテリイの背後に回り込み、その背中に真っ直ぐ蹴りを叩き込んだ。アテリイの背中の装甲は砕けたが、それでも踏みとどまると、体を回転させて右の裏拳を繰り出す。ゼムスデーモンはその拳を受け止めると、ガントレットごと握りつぶす勢いで力を込めた。


「くっ! バースト!」


 アテリイはガントレット内部で爆発を起こして装甲を砕き、右腕を抜きながら振り返る。しかし、その時にはゼムスデーモンは距離をとり、そこから右の後ろ回し蹴りを放っていた。


 アテリイはそれに左の蹴りを合わせるが、勢いで負けて足の装甲を打ち砕かれてしまう。さらにゼムスデーモンはアテリイの右足を蹴り、その装甲も破壊し、アテリイの体勢を崩した。


「どうした!」


 ゼムスデーモンはアテリイの腰に拳を叩き込み、続けて下から足を振り上げてアテリイを上空に蹴り上げる。


「それでは!」


 次はそこに突っ込み、すれ違いざまにアテリイの腹に一撃を加えてから背後に回る。


「我を倒すことなどできんぞ!」


 そしてアテリイの背中に両足を炸裂させ、地面に叩き落とした。ゼムスデーモンはその前に着地して様子を見る。土煙の中からは、全身の装甲を砕かれたアテリイがゆっくりと立ち上がり、ぼろぼろの様子とは対照的な笑みを浮かべた。


「来い、次で決着だ」


 アテリイは腰を落として右手を引いた構えをとり、左手で手招きをした。


「いいだろう」


 ゼムスデーモンも笑みを浮かべると、地面を蹴った。


「アテリイ!」


 フォルブランの声が響くと同時に、発動した結界によってゼムスデーモンの動きが止まった。それは一瞬だったが、アテリイにとってはそれで十分だった。


「はあっ!」


 アテリイの左の掌底がゼムスデーモンの体の中心に吸い込まれるように決まる。その一撃は何の変哲もないように見えたが、アテリイがゆっくりと左手を引くと、ゼムスデーモンはその場に両膝をついて動きを止めた。

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