ひとり
「もう、戻らなきゃ・・・」
私は少し化粧を直してトイレをでた。
「ごめんね。」
「いいよいいよ夜景見てた。」
たっちゃんが「そろそろ時間?」と聞いてきたので、
「あっ・・・うん。そろそろ時間だから帰んなきゃ。」
たっちゃんには明日朝早く出かけるから早めに帰ると伝えてあった。
本当は明日隼人と早朝から車で日帰り旅行する予定だった・・・
明日の予定は無くなったが、もう辛くて限界だった。
駅の改札で、「ありがとう。じゃあねー」とたっちゃんに見送られ改札に入った。
この時の私は自分の事しか考えないで、
たっちゃんの気持ちなんて考えていなかった・・・
たっちゃんを傷つけていたことなんて考えず、最低な女だった。
電車に乗り崩れそうな気持ちを抑えながら最寄りの駅で降りて、
なんとか自宅までたどり着いた。
すると、家の玄関の鍵を閉めリビングに入ると
一気に力が抜けて座り抑えていた涙が流れてきた。
「っふっふえ・・・はやとおぉ・・・・・会いたいよおぉ・・・・本当は別れたくない・・・・
っふふえーん・・・なんでぇぇなんでぇ好きになんなきゃ良かったぁ・・・・」
我慢していた私の心は限界だった。
その後も溢れてくる涙を止めることはできなかった。
数日間は隼人の事を思い出すたび泣いた。
学校は長期休みに入っていたので家からほとんど出ることも無かった。
泣くことが無くなってからも誰とも連絡をとらず引きこもっていた。
「もう、しばらく恋なんてしたくない。
頑張ったって叶わなきゃいみがない。
疲れるだけはもう、いや・・・私は頑張っても無理なんだ・・・
こんなに辛いなら、裏切られるなら一人のほうがいい」
そう考えるようになっていた。