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昼休み直前、社内のシステムが突然クラッシュした。
オフィスからは悲鳴のような声が響いている。
「うわ…本当に?さっきまで入力してた在庫データ全部消えたの……」
後輩の神楽アオイが、呆れたように声を上げた。
「あ、朝倉さん。在庫のデータ、確認お願いできます?」
「……俺が?」
神楽アオイは端末を差し出すと、肩をすくめる。
「ええ。だって、在庫まわりって基本、朝倉さんの担当じゃないですか」
別に責任を押しつけるつもりじゃない――と言いたげな口調。でも、実際押しつけられてる。
俺は無言で彼女から画面が真っ暗になったノートPCを受け取ると、
作業室の隅で端末にログインした。
──そこで、“異常”に気づいた。
画面の端に、普段は出てこないウィンドウが浮かんでいたのだ。
《スキルログ:エラーを解除しますか?》
「……は?」
クラッシュしたからか?こんな画面普段なら絶対に出てこない。
変なエラーが出たのかとショックを受けつつ、再度画面を見ると
《スキルID: 『在庫』 / 状態:構造不一致》
まるで、スキルに“構造”があって、それがエラーを起こしているみたいな。
(まさか……これ、俺にしか見えてないのか…?)
「神楽さん、この画面って見えてるかな」
確認をしてみたが
「え?この画面って真っ暗の画面のことですか?」
と、呆れた顔で俺を見てきた。
再度画面を見ると
《構造修復モードを起動しますか?》と表示が出てきた。
──はい
──いいえ
「……はい?」
わけも分からないまま、俺は『はい』をクリックした。