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結論から述べると、それは偶然だった。  作者: 月乃宮 夜見


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転換2

だが、そもそもどうやって意識させるのだ。


「(エルフの生態について知る方が良いのか?)」


エルフの求婚といえば花冠を渡す事などだが、それでネディネーネの感情を揺すれるとは考え難い。なぜなら話を聞いた限り、彼女は他のエルフとの接触が低いからだ。


つまり、エルフの慣習がハイエルフであるはずの彼女に通じるとは思えない。


「(……ならば、人間の方式でやってみるというのはどうだろうか)」


エルフと人間はよく似ている。ハーフエルフという存在が居るように、人間とエルフで子は作れるのだ。つまり、人間のやり方で彼女を落とせる可能性はある。


「(最も確実なのは、ハーフエルフの者に両親の話を聞く事だが……不躾だろうか)」


文献はあったはず。まずは書籍での情報収集を行うことにする。


と思っていたのだが。


「(彼女の方から来るとは)」


ネディネーネの読む本が恋愛ジャンル(ラブロマンス)の方へ行った。冒険譚や童話から、徐々に寄せてみようかと考えていたのだが。


自覚的なのか無意識なのかは知らないが、恋愛ジャンルを勧めたのが誰かは判る。


師匠(せんせい)か」


恐らく、ネディーネーネが何か——例えば『人間の男を引き止めたい』だとか相談をしたのだろう。そして彼女の交友範囲から対象に予測をした。


それと、最近のリコリス自身の行動。リコリスが訴えた精神的な異常をどう捉えたかは判らないが、恐らくフォルトゥナは面白半分でやっている。だが、この機会を逃す訳にはいかない。


「(彼女に人間の生態、および求愛行動などを学ばせて……どうする)」


内面は幼くあるが、彼女は賢い。恐らく本当は人の文字はとっくに理解しているし、こちらの言葉も話せるだろう。それをあえてリコリスに見せないのは何かしらの意図があるだろうが、敵対行為ではないので気にする事はない。


だから、彼女に恋愛ジャンルの本を読ませ理解させる事は可能だ。


「(理解をさせる事はできても、情緒を得られなければ僕の望む方向に持って行く事はできないだろう)」


動物の生態や求愛行動を知ったとて、その動物に恋愛感情を持つのかと言う話だ。


「(エルフに、人間の行動心理学は通じるのか?)」


エルフは見た目こそ人間と似ている。だが、話す言葉や慣習は異なる。彼女がいくら他者との関わりがなかったとはいえ人間に生態を寄せる事ができるのか。


「(……とにかく、試してみるしかないか)」


ダメ元で試してみて、無理だったら他の方法を考える事にした。

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