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結論から述べると、それは偶然だった。  作者: 月乃宮 夜見


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拒絶

「嫌よ!」


提案を、開口一番にネディーネーネは断った。


「どうしてだね」と困惑するリコリスに


「お前まで、私を見捨てる気?」


そう、強く睨み付ける。


「……そのようなつもりはない」


「なら、どうして一緒にいるのをやめようなんて言うのよ!」


視線を逸らす彼に、ネディネーネは嘘だと直感した。『見捨てるつもりがあった』その事実に、更に苛立ちが募る。それと同時に、きゅう、と胸が苦しくなった。だが、それをこらえてリコリスを睨み付ける。涙は零れなかった。


「それは、個人的な事情があってだね……」


リコリスはにこやかな表情をしているが、それは作られた表情だと分かる。穏便に事を済ませたいという魂胆がまるわかりだ。


「何? 他の怪異でも拾ってきたわけ?」


「いや、それはない。基本的に、それは修道部署の仕事だからね。そもそも、君に出会ったのも君を拾ったのも偶然だ」


「じゃあ、私にかまっても良いじゃないの」


「……そう、だね。……仕方ない。今まで通りでいいよ」


深くため息を吐き、リコリスはネディネーネに折れてくれた。これで月に数度にまで減った一緒に居られる時間が減らされないと分かり、内心で安堵する。


「仕方ないって何よ! 私と一緒にいるのが嫌な訳?」


「ええと……返答に困る」


そう答えるリコリスは本気で困惑している様子だった。結構珍しい表情に、ネディネーネは首を傾げる。


「どうして?」


「……君に言えることではない」


すると彼は視線を逸らした。そこで、最近リコリスが視線を合わせてくれなくなったことにネディネーネは気付く。初めの頃は割と目線があっていたし、物理的な接触も多少はあったのだ。それが、いつの間にか減っていた。彼がネディネーネから離れようとしていたのはつい最近の事じゃないと分かる。


「何よそれ」


言いつつ、ネディネーネは不快さに顔をしかめた。離れようとするなんて、許せない。「(私を森から連れだしたくせに)」ネディネーネは内心で呟く。


「ともかく。僕は君の自立のために、君との時間を減らそうと思っていたのだけれど」


「嫌! 嫌ったら嫌よ! これ以上お前と本を読んだり遊んだりする時間は減らさないから! 仕事が入った訳でもないんでしょう?」


自立して欲しいとは彼からは何度か言われているし、実際行動してきた。だけど一緒に居てはいけない理由にはならないはずだ。


「……そうかい。分かった」


その時、一瞬目つきが鋭くなった気がしたが、気のせいだろう。

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