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結論から述べると、それは偶然だった。  作者: 月乃宮 夜見


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15/50

開始15

きっかけは何だったのだろう。


魔法ならば『魔法をかけられた瞬間』だとか、言い訳ができたというのに。


とにかく。


「(僕の感情如きで、彼女を振り回す訳にはいかない。魔法薬でも飲んで、緩和させねば)」


精神異常に関する魔法薬で事足りるだろうか。


「(そういえば、最近の魔法薬はネディーネーネ君が作っているのだったか)」


まあいいだろう、と思考を放棄した。誰が作っていようと魔法薬は魔法薬だ。


「ストレスの原因は見つかった?」


後日。魔法薬を購入しているとフォルトゥナに声をかけられた。


「ああ。なんてこともない、精神異常だったよ」


「それ大丈夫なの」


「問題ない。感情など、脳内物質のコントロールさえできればどうということもない」


「そうかねぇ?」


「この系統の魔法薬を飲みたいのだが、長期摂取における注意はあるかな」


「ん? そうだねー。依存とか暴露とかはないはずだけど。やめたら戻ってくるからね」


「つまり、常飲すれば良いのだろう?」


「それはそうなんだけどさ、限度ってもんがあるんだよ」


困った様子でフォルトゥナはため息を吐く。


「あと、それ飲んでたら摂取できなくなる魔法薬とか出てくるから、ほどほどにしときなよ」


「そうだね。いずれは治る異常だから、問題はないと思うけれど」


「ふぅん?」


腕を組み、フォルトゥナは首を傾げた。疑っている様子だ。それに「原因は特定できたから、あとは対処するだけだよ」とリコリスは答え、自室へと戻る。


「ただの精神異常。緊張状態における脳内物質の過剰放出に過ぎない」


と、思いたい。何せ、こんな感情を持つなど初めてだったからだ。


「(書物で情報自体はある程度は知っているが、体験とどう違いが出るか……)」


魔法薬を飲んでいるだけで、問題は解決するのだろうか。制御できない(可能性のある)感情がこんなにも厄介だとは。


カウンセリングを終えてからも月に数度、休日が合ったタイミングでネディネーネと本を読んだり話をしたりしている。だがこの不調(?)の事を考えると、彼女とはもう会わない方が良いのではないか?


「カウンセリングの終了も、意外とあっさり受け入れてくれたし。まあ、徐々にフェードアウトくらいはできるだろう。そうして彼女と距離をとっていけば良いはずだ。脳内の報酬系の刺激量を少なくして、通常に戻す。……戻る、はずだ」


正直いうと、戻ってもらわねば困る。たった1人のハイエルフに抱いた感情で生活が変わるなど、考えたくなかった。

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