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結論から述べると、それは偶然だった。  作者: 月乃宮 夜見


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14/50

開始14

間違った感情を抱いてしまった。


そう、自覚した。


そもそもの感情の根本が、まだリコリスに理解できていなかったのだが。何かを否定的に感じるなど、新たな知識の受け入れに邪魔な感情である。故に、間違った感情だとリコリスは判断した。


「(……これは、彼女にだけ持ち合わせた感情なのか?)」


ともかく、ネディネーネが関連している事は理解している。自室のソファに腰掛け、考察する。


「(他の、僕と関係が近い者で例えるとどうだ?)」


まずは検証せねばなるまい。そして、フォルトゥナやスチームが自分の知らないところで成長した様を考えてみる。


「(……そもそも、(ruby:師匠:せんせい)は自立しているし僕とは関係ないか。スチームは……契約を切って自立してもらうのはかなり難しい話ではないか?)」


グレムリンであるスチームが、自立したとなるとまずは妖精の収集家に狙われてしまいそうである。そうならないためにも一応契約を結び、保護者として安全を保証しているのだ。


「(なぜ、彼女に否定的な感情を覚えた)」


何に嫌だと感じた。深く、思考する。


「(彼女が『自分の知らない間に』成長および自立した事が嫌だったのなら)」


これは、ネディネーネに対する執着か。


「(ではなぜ、僕は彼女に執着を覚えたんだ)」


調査先で怪異を見つけて保護するなど、よくある事だ。


「(だが、それの世話をしたのは初めてだったか)」


でも、世話を焼いているスチームにそのような感情を持った事はない。


「(なら、何が違う)」


種族、造形、性別……まあ、枚挙すれば数多ある。それは当然に、違う生き物だからだ。


「(いちいち検証するのは、あまりにも面倒だ)」


同じハイエルフなどそう簡単に見つかるはずもなし。それに、恐らく他の怪異相手ではこのようにならないだろうと確信を持っていた。


「(……彼女にだけ抱く感情……?)」


どこかで似たような文献を見た覚えがある。誰か特定の相手に強く持つ、執着心によく似た感情を抱かせる魔法を。


「(そう、これだな)」


部屋に置いてある魔導書を一つ抜き出す。これは精神に作用させる魔法を集めた魔魔導書だ。該当ページを開き、内容を確認する。


「(恋愛感情を抱かせる魔法……)」


彼女に魔法をかけられた、だとか馬鹿な事は言わない。そもそも、精神に作用する魔法などとっくに防御済みだからだ。


「(つまり、これは自分で発生させた感情の流れという事か)」


やはり、間違えた感情を抱いてしまったらしい。


そう自覚した。

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