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結論から述べると、それは偶然だった。  作者: 月乃宮 夜見


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開始10

カウンセリングルームに、契約を結んでいるスチームを呼んだ。彼は珍しいグレムリンという妖精で、ネディネーネと同じ錬金部署所属だ。


「スチームを紹介してみようと思って」


「……2人きりじゃないの?」


ネディネーネに紹介すると、彼女は首を傾げた。どうやらリコリスと2人きりでないことに不満を持っている様子だった。


「言っただろう、この時間は君が連合に慣れるための時間だと」


恐らく人見知りや警戒心が出ているのだろう、とリコリスは判断する。だが、ずっとそのままにさせるわけにはいかないのだ。ネディネーネには、魔法連合に慣れてもらわねば。


「むー」


「ん、なんかボク邪魔な感じなのさ?」


不機嫌そうな彼女に、スチームが目を瞬かせる。


「そんな事ないよ」「そうよ、邪魔よ」


「うわぁ」


リコリスとネディネーネの返答に、スチームは顔をしかめた。面倒なことに巻き込まれた、と思っているのだろう。


「……ともかく、今回は君にスチームが危ない存在でないと教えるのが目的だ。彼はスチーム。君は知っているだろうが、君と同じ錬金部署所属のグレムリンだ。そして、僕と主従契約をしている」


改めて、リコリスはスチームをネディネーネに紹介する。紹介されるままに、スチームは丁寧にお辞儀をした。


「ボク、ここではそんなに悪いことできないのさ」


妖精らしく悪戯はできるのだが、組織に重大な被害を及ぼすようなことならどんな些細なことでもできないようになっている。そう、魔法連合やリコリスと取り決めをしたのだ。


「そんな事、見ただけで分かるわよ。契約してるんでしょう。ほら、危なくないってわかったから、向こう行きなさいよ」


スチームの紹介を聞き、ネディネーネはひらひらと手を振った。


「うへぇ、露骨に邪険にされたのさ」


眉を寄せ、スチームはネディネーネから離れリコリスの方へ寄る。


「……わかったよ。スチーム、彼女のこと、たまにくらいで良いから気にかけてやってくれ」


「はーい」


リコリスが声をかけるとスチームは素直に返事をした。これで、多少はスチームと話す事ができるようになっただろう。


用事が済んだと判断したらしく、スチームはそのまま錬金部署の方へ戻った様だ。


互いに話しかけるきっかけくらいにでもなれば、と思っての紹介だったのでリコリスの目的は一応達成できた。ただ、思いの外に接触は短い。


彼女の警戒心を舐めていたといえばそう。自身には思いの外早く懐いたように見えたので不思議だった。

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