27話 外でアレ
ローファンタジー週間26位ありがとうございます!
『人間:朝比奈ひなたをテイムしました。基本バフが互いに共有されます』
結局ここまできてそれはできないとも言えず女性をテイム。
その名前をアナウンスで知ることとなった。
これで俺たちは3人のパーティーとなったわけだが……まさかたかだか2日でこんなことになるなんて……。
パーティーでの探索をする人たちはいる。
いるけど倒したモンスターの素材、というか報酬の分配で揉めることが多々あるらしく、当初は俺も1人で探索活動をするつもりだった。
朝比奈さんは家がお金持ちみたいだから、そんなにがめつく言ってくることはないだろうし、むしろスキルのお陰で儲けが出るようなら助かるけど……その詳しい内容を一般の人に説明できないから、結局葵にまた呆れられるんだろうな。
「あの、ありがとうございます!どうかよろしくお願いします!」
「改めてあよろしくね。私はミーク。主は栗原陽一で知っての通り料理人よ」
「なんでミークが全部……。まぁいいや。よろしく朝比奈さん」
「はい! 栗原さん、ミークさん!」
「行動はちょっとヤバイ子だなって思ったけど、元気もいいしなんだか後輩ができたみたいで嬉しいわ」
「後輩……。じゃあミーク先輩、いや、それだと距離感があるような……。ミーク姉さんって呼んでもいいですか?」
「!? あ、あなたがそう呼びたいなら構わないわよ」
満更でもなさそうな表情を見せるミーク。
向こうでは末っ子だったか、そもそも兄妹がいなかったか……ともあれ葵がどう反応するかは置いといて、この2人が仲良くやっていけそうで良かったよ。
正直『カモ』発言があっただけにもっとギクシャクすると思ってたからちょっと安心だ。
「それじゃあ早速武器を作ってお金稼ぎ、といきたいところだけどまずは料理よね。陽一、早く3人前用意して! そうすればきっと2階層の主の武器を作れるくらいにはレベルアップできるはずよ」
「はいはい、分かってますって。それじゃあ3人分で、内1つは基本バフをつけられるか?」
『可能です。それでは素材に触れてください』
「了解」
グラデビーパの死体に触れると、その大量の足から一際太いものを選んで切断。
俺が素材の下処理を始めると同時に、ミークは慣れた手付きでキャンプ用のテーブルを組み立て、俺がガスをセットしておいた二口コンロ、と各種鍋を広げた。
今思えば探索にこれだけ持ち込んで、しかもミークにずっと背負わせていたのは申し訳なかったと反省すら覚える量。
今後は3人での探索になるし、その辺りもちゃんと係を決めておこう。
「こんなに道具が……。ってその、でも、レベルアップって私まだ1レベルなのであんまり期待しないでもらえると助かるんですけど……」
「ああ……。なんとなく察してはいるけど料理の効果をはっきり知っている訳じゃないものね……。お望み通り私たちがあなたにあんまり期待しないであげるのは構わないけど、陽一の料理の効果には期待しすぎくらいが丁度いいわよ」
「えっと、それって――」
「粉は持ってきてて、出汁も……水は飲み水があって……。具がなさすぎるし、卵もないけど、そこはスキルでなんとか上手くなるってことかな」
困惑する朝比奈さんを横目に、使い捨ての更で生地を作り、半円の穴が空いたフライパンと水を注いだ鍋を火にかける。
何を手に入れてもこの料理ならそこまで不味くならないだろうと思って準備してきたけど、まさかこんなにぴったりな素材が手に入るとは思わなかった。
グラデビーパのぶつ切りした足しっかりを茹でて、ぬめりを落とすと、熱したフライパンに生地を入れ、その次にそれを投入。
多めの油が生地の外側かりっと焼き、見た目はなかなかに上手そうなものができた。
3人分の取り皿に分け、お好みでソースとマヨネーズをかければ……。
『料理【グラデビーパたこ焼き】が完成しました』
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