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1話 ハズレスキル

「ようこそ! ここが君たちが所望したダンジョンだ!」


 その機密性や危険性の高さから、行われる試験は過酷で難解。それを証明するように、合格率は5パーセントを割る。

 そんな数パーセントの狭い門を10年間叩いてようやく俺は案内役が今指し示している場所、ダンジョンにたどり着いた。


 未知の階層、未知の資源、未知のモンスターが確認されるこの場所は、踏み入れた者にステータスシステムを付与、戦闘に長けた者を生かし、そうでない者を見捨てる実力史上主義の世界。


 そんなダンジョンでしがない貧乏中華料理屋の息子、この俺がのし上がってやる。


「まず心の内で『ステータス』と呟いてその画面を宙に映すんだ。君たちの能力は既にシステムによって数値化、さらには職業とユニークスキルがランダムに割り当てられている。初任給の確定のために確認が終わり次第、報告。以降は自由に探索してくれたまえ」


 のし上がるためにはまず強職業である【魔法剣士】或いは【勇者】、ユニークスキルは【全身体強化】、【∞魔力】、この辺を引きたい。


 ここまできてガチャ要素が絡むのは痛いが、なんだか今の俺なら……10年頑張ってきた俺なら当たりを引けそうな気がする。


『ステータス』


――――――――――

名前:栗原陽一

レベル:1

職業:料理人

攻撃力:1

魔法攻撃力:0

防御力:10

魔法防御力:10

魔力:0

ユニークスキル:料理強化(料理の腕前が上がり、通常毒によって食べられない素材も食用に変えられ、アイテムポケットにしまうことのできる特殊な料理を生み出せる)

ノーマルスキル:なし

パッシブスキル:香しい誘惑(モンスターを引き寄せやすい体質となる)

魔法:不可

ステータスポイント:0

【バフ効果】

なし

【ステータスポイント割り振り状況】

なし

【テイムモンスター】

なし

【アイテムポケット】

なし

【次回レベルアップまでに必要な経験値】

8

【累計経験値】


――――――――――


 ……。

 やっば。ハズレ引いた。

 なんでここまできてこの職業なんだよ。

 いや親のことは尊敬してるしさ、普通なら立派な職業なんだけど……。


「さて次は……君の職業とユニークスキルを教えてもらおうかな」

「えっと……『料理人』と『料理強化』、です」

「……。え? それって戦闘できるの?えっとぉ……ちなみに攻撃力は……」

「1、です……」


 気まずそうな案内役とクスクス笑う同期の探索者たち。


 なんか史上最弱の探索者だとかなんだとか小声だけど聞こえてるよ……。


「あのぅ、俺もう狩りに行ってきます!」

「ちょ、ちょっと君! そんなステータスなんだからくれぐれも気をつけて!」


 『そんなステータス』って……。

 晴々しく探索者人生がスタートしたと思ったらいきなりどん底かよ!


「くそお! こうなったらやけくそじゃあ!」

「きゅっ!」

「誂え向きにスライムがいるじゃないか! 食らえ! これが試験のせいで筋トレの鬼になった俺の一撃じゃあっ!」

「きゅきゅ?」

「……。全然、効いてない?」

「きゅっ!」

「い゛っ! ……ヤバい。ヤバいヤバいヤバいヤバい!」


 サバイバルナイフを使っているってのに俺の攻撃はほとんど効かない。

 だけどもらうダメージは尋常じゃない。


 俺、スライムもろくに倒せないのかよ。


「……。弱った奴見つかるまで、逃げるか」




 ――逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて……。


 そんなこんなで1時間。

 モンスターたちはどいつもこいつも元気も元気。


 これ一生掛けて1匹も倒せないとかあるかも……。


「はぁ。……。……。……。腹、減ったな。おっ、アルミラージの死体か。あれを成果として報告……は流石に惨めすぎる。というわけで……食ってみるか」


 辺りは同期たちがあらかたモンスターを殺してくれたお陰で静かだし、食事には持ってこいの状況。


「一応持ってきた調味料とかがこんなに早く活躍するなんて思いもしなかった。さて、捌き方も分かんないけどどうにかなるのかな? 『料理強化』発動」

『スキル、料理強化の発動を確認しました。要望を汲み取りモンスターを自動で捌きます。食材ランクC-、アルミラージに触れてください』


 スキルを発動すると、頭にアナウンスが流れ、手に持ったナイフが若干光を帯びてアルミラージの死体の脇に食材ランクとその名前、さらにそれを指でなぞるように近づけると……。


『アルミラージ:ランクC-、仕上がった料理によるバフ予想【攻撃力強化極小】。選択可能確定基本バフ【経験値取得量増加】、【全属性耐性付与】、【火事場の馬鹿力】』


 豪華すぎるバフの数々が記載されたウィンドウが開いた。

お読みいただきありがとうございます。


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